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実質負担1割の寄付で地域に貢献できる「企業版ふるさと納税」
2024.12.09 | 中小企業経営

実質負担1割の寄付で地域に貢献できる「企業版ふるさと納税」

法人税の軽減効果を得ながら、各地域の取り組みに貢献できる「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)」を、3回にわたり解説していきます。今回は連載第1回目として、自治体のプロジェクトに企業が寄付をする「企業版ふるさと納税」の概要やメリット、寄付する際の注意点についてお伝えします。

法人税の軽減効果を得ながら、各地域の取り組みに貢献できる「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)」を、3回にわたり解説していきます。今回は連載第1回目として、自治体のプロジェクトに企業が寄付をする「企業版ふるさと納税」の概要やメリット、寄付する際の注意点についてお伝えします。

地域を応援しながら企業のイメージアップを図れる「企業版ふるさと納税」は、国の特例措置により令和6年度(2025年3月末)まで延長となりました。寄付額のうち実質負担1割で挑戦できる今が「企業版ふるさと納税」参画のベストタイミングです。

●連載:企業版ふるさと納税

企業版ふるさと納税①
 【本記事】実質負担1割の寄付で地域に貢献できる「企業版ふるさと納税」

企業版ふるさと納税②
 社員が派遣先の自治体で活躍する「企業版ふるさと納税(人材派遣型)」

企業版ふるさと納税③
 企業版ふるさと納税に寄付した企業が受給できる「地域雇用開発助成金」

実質負担1割の寄付で地域に貢献できる「企業版ふるさと納税」

企業版ふるさと納税とは

企業版ふるさと納税(正式名称:地方創生応援税制)は、地方創生を目的に、自治体と企業の協働を促進する国の税制支援策です。
企業は、各自治体が策定する地方創生の取り組みに寄付を行うことで、税制上の優遇措置を受けることができます

個人向けのふるさと納税との違いは、以下の表のとおりです。

令和6年まで企業の実質負担額は1割

企業版ふるさと納税は2016年に制定され、企業の寄付額のうち、損金算入3割と税額控除3割を合わせた計6割が、法人税からの税額控除となっていました。
2020年には、国が地方創生を促進させる目的で行った税制の見直により、税額控除が3割から6割に引き上げられ、控除額が最大9割にまで拡充されました
寄付企業の実質負担が最小1割となるこの特別措置は、税制改正時から令和6年度(2025年3月末)まで延長されています。

1,000万円を寄付した場合は、最大900万円の法人関係税が軽減されることとなっています。

なお、寄付額の下限は1回につき10万円以上と比較的低めに設定されており、少額でも参画しやすくなっています。

下記リンク先に寄付予定金額と所得金額を入力すると、企業版ふるさと納税の税額控除を試算することができます。
企業版ふるさと納税 税額控除シミュレーター
※サクシードが提携している企業版ふるさと納税ポータルサイト「river」へ遷移します

寄付の活用団体数や実績

企業版ふるさと納税の制度開始から8年が経った、令和6年8月30日の寄付企業数は7,680社となり、寄付を活用している自治体は1,536団体にまで増加しています。

令和2年度の税制改正以降は、寄付額や寄付件数が一気に増加しました。
令和5年度の実績と比較すると、寄付額は約10倍の約341億円まで伸び、寄付件数は約6倍の8,390件となっています。

企業版ふるさと納税の対象となるプロジェクトや事業は、各自治体が地域再生計画として申請し、国から認定を受けた事業です。
自治体の寄付金の使い道としては、しごとづくり、子育て・ひとづくり、移住・交流支援、まちづくり、農林水産業、観光・その他の事業分野になっています。

しごとづくり:地域産業振興、観光振興、農林水産振興、ローカルイノベーション、人材の育成・確保等
地方への人の流れ:移住・定住の促進等
働き方改革:少子化対策、働き方改革等
まちづくり:小規模な拠点、コンパクトシティ

参考:地方創生事例の紹介(内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生」)
https://www.chisou.go.jp/sousei/case/index.html
https://www.chisou.go.jp/sousei/pdf/chihousousei_jireisyu.pdf

参画のメリット

企業版ふるさと納税を活用するメリットは、以下の3つです。

①寄付を通じて地域に恩返しができる
企業版ふるさと納税は、個人のふるさと納税と同様に、支援したい自治体を選ぶことができます。
かつてお世話になった自治体への被災地支援や、特産品づくりなどに寄付金が充てられることで、復興や活性化の一押しとなります。
②社内、地域でのSDGsやESGへの意識高揚
企業版ふるさと納税の対象プロジェクトは、各地域の教育や文化振興、産業の発展、環境保全などの課題解決が中心となっています。
企業が寄付により各自治体の課題解決を支援することで、地域が持続可能な社会に向けた一歩を踏み出すきっかけとなります。
企業側も、寄付により地域の課題解決を支援することで、SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンスを踏まえた投資や経営)への意識高揚の機会が生まれます。
③地域支援に取り組む企業として社会的評価が上がる
プロジェクトの取り組みは、自治体のホームページなどで掲載される場合も多く、企業の認知度向上やイメージアップにつながります。
また、CSR(企業活動における社会的責任)を実践する企業として認知され、取引先や金融機関からの信頼が得られるようになれば、円滑な取引やパートナーシップにつながる可能性も生まれます。

企業版ふるさと納税の留意点

①青色申告書を提出している法人であること
企業版ふるさと納税(人材派遣型)の税額控除が認められる企業は、青色申告を提出している法人に限られます。外国法人も対象に含まれています。
②寄付先からの返礼品や経済的な利益の受け渡しは禁止
企業版ふるさと納税は、公平性や透明性の確保のため、経済的な利益の受け渡しが禁じられています
経済的な利益の解釈はさまざまですが、「付加価値の提供」「シナジー創出」に重きが置かれており、教育プログラムでの協働や寄付企業同士の交流会といった場の提供は許容されているようです。
  • ✖️ 寄付の見返りとして補助金を受け取る
  • ✖️ 換金性の高い商品を受け取る
  • ◯ ホームページや広報誌で寄付企業名を公開
  • ◯ 寄付企業名入りの銘板の設置
  • ◯ 公正なプロセスを経た上での地方公共団体との契約
※物納による寄付も可能ですが、支出時に価値を換算できるものでなければならないため、内閣府からは推奨されていません。
③対象外の自治体がある
企業の本社がある自治体への寄付は対象外となっています。
地方交付税の不交付団体となっている都道府県では、受けることができません。
また、首都圏整備法で定める、既成市街地・近郊整備地帯などの市区町村への寄付は対象外となります。
↓企業版ふるさと納税の対象地域はこちら(内閣官房長・内閣府総合サイト「地方創生」)
https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/portal/tiiki_index.html

企業版ふるさと納税の全体フロー

企業版ふるさと納税の全体の流れは、次の通りです。

  1. 各自治体が地方版総合戦略を作成
  2. 地方版総合戦略を基に、地方公共団体が地域再生計画を作成
  3. 内閣府が計画を認定
  4. 地方公共団体がホームページなどで情報を公開
  5. 企業が寄付
  6. 企業が所在する自治体(法人住民税・法人事業税)、国(法人税)による税額控除

自治体による寄付活用事案の起案や企画の段階から、企業が参画できるケースもあります。

企業側の寄付の申請フロー

地方公共団体への企業の寄付の流れは、次の通りです。

①寄付先の自治体を選ぶ
企業版ふるさと納税の対象は、国が認定した「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」のみです。
寄付先は、内閣府地方創生推進事務局のホームページやポータルサイトからも確認できます。
弊社サクシードが連携している、企業版ふるさと納税活用支援サービス「river」(株式会社カルティブ運営)では、寄付を受付している自治体やプロジェクトを一括検索できます。
寄付したい自治体を探したい場合:https://cpriver.jp/lg_search/
プロジェクトから探したい場合:https://cpriver.jp/project/
事業や目的、関心に合うプロジェクトを探してみましょう。
②地方創生事業に寄付を申し込む
直接寄付を申し込みたい場合は、寄付したい自治体の窓口に問い合わせて、企業版ふるさと納税の寄付申出書や事前確認書等を提出します。
必要書類を提出し、寄付金を支払うと、受領証明書が発行されます。
受領証明書に記載されている寄付金の受領日や金額は、税額控除の申告の際に必要となります。
③法人税・地方税を申告
税額の控除を受けるには、確定申告期限内に税務署に書類を提出する必要があります。
税金を申告する際は、法人税等申告書別表(地方創生応援税制)に寄付先や寄付金額などを別表に記入し、法人税等申告書や領収書、寄附証明書などの必要書類とあわせて提出します。
提出書類に問題がなければ、手続きは完了です。寄付金額に応じて、最大9割の税額控除が受けられます。

企業版ふるさと納税の疑問は、ぜひ「river」へ

もっと詳しく企業版ふるさと納税を知りたい方や、面倒な手続きを代行してほしいという経営者様は、弊社サクシードが連携している、企業版ふるさと納税活用支援サービス「river」(株式会社カルティブ運営)をぜひご活用ください。

企業版ふるさと納税活用支援サービス「river」
https://cpriver.jp/

どのような地域支援のニーズがあるか確認したい、寄付予定の地方公共団体が企業版ふるさと納税をどのように活用しているか調べてほしい、同時に複数の自治体に寄付したいので調整してほしいなどのご要望も、併せてご相談いただけます。

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Writer ツグナラ事務局
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