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M&Aをはじめるベストなタイミングとは?【引継ぎ企業編】
2023.04.27 | 事業承継

M&Aをはじめるベストなタイミングとは?【引継ぎ企業編】

事業継続や発展のための手段としてM&Aを活用する際には、挑戦するタイミングが大事になります。今回これからはじめてM&Aに挑戦していこうという引継ぎ手(買い手)に向けて、踏み出す最適なタイミングを組織状態から判断する方法を紹介します。

事業継続や発展のための手段としてM&Aを活用する際には、挑戦するタイミングが大事になります。今回これからはじめてM&Aに挑戦していこうという引継ぎ手(買い手)に向けて、踏み出す最適なタイミングを組織状態から判断する方法を紹介します。

国内M&A件数は過去最多を更新中

M&Aによる事業承継は、事業発展の可能性を生み出す選択肢の一つとして広く認知されるようになりました。上場企業に留まらず、地域の中小企業間でもM&Aは活発に行われるようになってきています。
株式会社レコフデータの調べによると、国内企業のM&A件数は、2021年は4,280件、2022年には4,304件と2年連続で過去最多を更新しています。非公開のM&A件数も含めると、膨大な数になると推測されます。
M&Aの件数が増加している背景には、厳しい事業環境を生き抜くためにM&Aに活路を見出そうという企業の動きも関係していますが、日本の中小企業が抱える後継者不在問題を無視できません。2025年までに約127万社が後継者不在による廃業・倒産の危機に直面するであろうと予測されており、そうした危機感を背景に日本全体でM&Aを含めた事業承継を促進していこうという動きがあります。「事業承継・引継ぎ補助金」などは、まさにそうした国の施策の1つです。そうした情勢の中でM&Aに対する社会的な気運が高まっていることが、この増加の一因だと考えられます。

M&Aに踏み出すベストタイミングのサイン

M&A検討の際には、譲り手(売り手)となる相手先企業の事業内容や金額を重視しがちです。しかしM&A成功のためには、相手企業に対する要求よりも、まず自社の状態をよく把握し「この会社にだったら任せられる」と思える組織に成長させておくことがカギとなります。
会社によって文化や価値観は異なり、M&A後の経営体制の移行期には組織同士の融合が進められます。どんな人であっても、新たな環境に適応するのは決して簡単なことではありません。特に譲り手企業の社員にとっては、業務だけではなく職場環境も変わるため、心理的にも大きな負荷がかかります。引き継いだ社員を受け入れられる柔軟さを持ち、M&A後のスムーズな統合のためにも、引継ぎ手側の組織づくりは大事なファクターの1つです。
では、どこまで組織づくりができていたらM&Aに挑戦できるのでしょうか。特にこれからはじめてM&Aに挑戦しようと考えている企業において、M&Aに取り組むタイミングの判断はつきにくいことでしょう。そうした時の判断材料を次から解説していきます。

M&A最適期の組織の目安

自社がM&A最適期を迎えたと判断できる基準は次の2つになります。

M&A最適機を迎えた企業の2つの特徴
1. ナンバー2の社員に会社を任せられる状態になっている
2. 組織マネジメントにより管理できている

1. ナンバー2の社員に会社を任せられる状態になっている

具体的には、経営者が1週間不在でも、ナンバー2の社員により社内のオペレーションが回っていれば、M&Aに挑戦できるベストタイミングといえるでしょう。
M&Aでは、成立までのプロセスもにも多大な労力を要しますが、最も重要かつ労力を必要とするのはPMI(Post Marger Integration)とも呼ばれる、M&A成立後に異なる文化を持つ組織間の統合を図るプロセスです。重要な意思決定を除き、短期的にでも会社の管理を任せられる社員がいれば、その分、経営者はPMIに注力できます。迅速でスムーズな承継のためにも、自社の管理統括機能を高めておくことが先決です。

2. 組織マネジメントにより管理できている

経営者が舵をとり社員を牽引していた体制から成長し、組織マネジメントによって管理できている状態に達していることもM&Aに適したタイミングであると判断できる指標です。属人的だった業務のマニュアル化やリソースの分担ができていれば、承継側も負担なく引き継ぐことができます。

M&Aによって譲渡側の事業と従業員を守り、組織として発展していくことができれば、地域の課題解決にも繋がります。組織化の次のステップとしてM&Aに挑戦することで、会社だけではなく、会社を支える社員の成長も期待できます。

これからM&Aを検討したいとお考えの企業においては、上記2つの項目を満たせているかを、具体的に動き始めるかどうかの目安にしてみてください。既に達成できているならば、M&A最適期、ベストタイミングを迎えていると判断できます。、迷うことなくM&Aの実現に向けて走り出してください。
会社をさらに成長させていきたい、新たな事業を展開していきたい、後継者不在の同業から引継ぎ相談を受けているなど、M&Aを検討するきっかけや動機は様々であると思いますが、最初の準備として上記の2つの状態を満たすことが、円満なM&Aの第一歩になります。

ツグナラ事務局
Writer ツグナラ事務局
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