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変化に強い企業力の醸成を支援する「事業再構築補助金」
2022.05.12 | 補助金情報

変化に強い企業力の醸成を支援する「事業再構築補助金」

「事業再構築補助金」は、コロナ禍での経済社会の変化に対応し事業再構築に意欲のある中小企業を支援する目的で2021年に新設されました。第2回となる今回は、「事業再構築補助金」2021年の第1~4回公募での採択状況や各枠の特徴について、小規模・中小企業に焦点を絞りながら解説します。

「事業再構築補助金」は、コロナ禍での経済社会の変化に対応し事業再構築に意欲のある中小企業を支援する目的で2021年に新設されました。第2回となる今回は、「事業再構築補助金」2021年の第1~4回公募での採択状況や各枠の特徴について、小規模・中小企業に焦点を絞りながら解説します。

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新事業・業態への変革に意欲のある企業を支援

事業再構築補助金とは

「事業再構築補助金」は、コロナ時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編またはこれらの取組みを通じて規模拡大を図るなど、事業再構築に意欲のある中小企業の挑戦を支援する目的で2021年に設けられた新制度です。
昨年は第1~5回の公募があり、今年(令和4年)は第6~8回の公募が実施される予定です。今回のコラムでは、小規模・中小企業が該当する項目に焦点を絞って解説していきます。

事業再構築補助金における各枠の補助率

事業再構築補助金における「補助率」は設備投資総額に対して給付される補助金の割合を指します。
補助率2/3の「通常枠」では、昨年3月に新設された従業員20人以下の上限2千万円の枠、50人以下の上限4千万円枠、100人以下の上限6千万円枠、101人以上の上限8千万円枠と、従業員数によって補助金の上限が異なっています。「通常枠」は他の申請枠に比べると最も要件の難易度が低く申請しやすいものの、採択での加点項目や優遇措置が少ないのが難点です。

補助率3/4の「回復・再生応援枠」「最低賃金枠」は、従業員数5名以下では上限500万、6〜20人は上限1000万、21人以上は1500万円の区分となっています。

補助率2/3の「大規模賃金引上枠」は従業員101人以上の企業が対象ですが、従業員数が多いほど賃上げのハードルは高くなるため活用頻度も低い枠です。

補助率1/2の「グリーン成長枠」は昨年3月末に新たに設けられた事業類型で、国が提唱するグリーン成長戦略の「実行計画」14分野にある取組みのほか事業再構築を計画する事業者が活用できる枠です。通常は一度採択されると他の補助金では再採択されませんが、グリーン成長枠は過去に採択された事業者も申請可能で、従業員要件等もないのが利点です。ただ、再申請の場合は減点になるため不利になること、中小企業の補助額は1億円が上限なので設備投資の回収を考慮すると割に合わないことなどから、中小企業での申請は難しいと思われます。

事業再構築補助金の申請要件

事業再構築の申請に必要な条件は以下の3つです。
①コロナ禍の影響で2020年4月以降の連続する6ヵ月のうち3カ月間で10%以上の売上(または付加価値)が減少していること
②事業再構築を行うこと
③認定経営革新等支援機関と事業計画を策定し補助金額が3000万円を超える場合は前述の機関に加えて金融機関による支援が要件となること

また、事業再構築にそぐわない(不採択または交付取り消しになりやすい)事業は
①事業の大半を外部に委託する事業
②資産運用的性格の強い事業
③第三者に沈滞する事業
④他の法人・事業者と同一または類似内容の事業
⑤他の補助金と同一または類似内容の事業
⑥農業(加工や調理などの提供を行わない生産のみの場合)
となります。

補助対象経費の詳細

補助対象経費は、補助金申請時の事業計画書に記載する経費に限られます。
会計上では資産として計上されている「建物費(土地付き建物の購入は対象外)」「建物改修費」「設備費」「システム購入費」のほか、損益計算書では経費として一時的な損金に落ちる「外注費」「研修費(教育運営費や技術研修など現場の教育研修)」「技術導入費(知的財産権の導入や特許権の使用料等)」「広告宣伝費・販売促進費(チラシ作成Web広告、展示会出展等)」も補助対象経費に含まれます。

第1~4回公募での事業種別、類型別、金額別に見る採択率

第1〜4回公募での採択率を事業主別に見ると、製造、宿泊、飲食サービス、卸売・小売り業の割合が高い傾向となっており、サプライチェーンの川上・川下に近い事業者がコロナ禍での影響を最も受けたことが読み取れます。

「通常枠」「緊急事態宣言特別枠」「最低賃金枠」「大規模賃金引上げ枠」「卒業枠」という類型別では、「通常枠」の申請が最も多いものの採択率は34~40%と低く、昨年の第3回公募で新設された「最低賃金枠」「大規模賃金引上枠」はもともと間口が狭く申請件数自体も少ないため採択数も少数でした。

金額別で最も申請が多い枠は、2021年度に設けられた「緊急事態宣言特別枠」の補助上限1500万円、次いで金融機関の確認書が不要な上限3000万円の枠、20名以下の事業所の補助上限4000万円と、多くの企業が各枠での上限額を申請しています。また、100名を超える事業者は申請件数・採択率ともにあまり多くはないことから、補助金を必要としているのは事業規模の小さな小規模・中小企業であることがわかります。

事業再構築での要件5類型

事業再構築での要件は、おおよそ5つの型に分類されます。
「新分野展開」での要件は、既存事業・商品サービスに加えて新製品等の開発や新市場への進出を計画し、事業計画期間終了後に新製品の売上高が総売上高の10%となる計画を策定することです。
「事業転換」「業種転換」は主事業や主商品・サービスを転換するもので、事業計画期間終了後には新製品等の属する事業が売上高構成比の最も高い事業となる計画策定が要件になっています。
「業態転換」は、新設備を導入して製造方法を変更するとともに売上高のうち新事業の占める割合が10%を超える計画策定が要件となっています。しかし業態転換に伴う既存売上の減少は要件に含まれないので計画の際は注意が必要です。
「事業再編」は事業を譲り受けるなどして事業再編を行い、それを通じて新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換のいずれかを行うことが要件になっています。

株式会社サクシードでは、この「事業再編」の補助金申請として支援するほか、「ツグナラ」で第三者承継に繋げ、地域の企業同士が安心して承継を行えるように努めています。

※本コラムの情報は掲載当時のものとなります。

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