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令和5年度の概要確定。中小企業のポジティブな投資を支える2大補助金とは?
2022.12.21 | 補助金情報

令和5年度の概要確定。中小企業のポジティブな投資を支える2大補助金とは?

先日、令和4年度2次補正予算が衆院を通過し、令和5年度の補助金の概要が固まりました。このコラムでは特に企業経営者からの注目度が高い2つの補助金「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」についてご紹介します。

先日、令和4年度2次補正予算が衆院を通過し、令和5年度の補助金の概要が固まりました。このコラムでは特に企業経営者からの注目度が高い2つの補助金「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」についてご紹介します。

事業再構築補助金とものづくり補助金

新型コロナウイルスの影響が続く昨今ですが、さらに原油価格や物価の高騰、円安の進行など、企業は厳しい環境に直面しています。また、最近話題となっているのが防衛費増額とその財源としての法人税増税や復興特別所得税一部転用です。増税はまだ先の話とはいえ、「企業は賃金を上げろ!そのうえで税金を払え!」という2重苦・3重苦にもなる政府方針は、今後も中小企業の現状に一層追い打ちをかけることになりそうです。

一方で、この現状に対して企業向けに政府が支援の方針を示しているのが補助金です。先日、令和4年度2次補正予算が衆院を通過し、令和5年度の補助金の概要が固まりました。このコラムでは特に注目度の高い2つの補助金についてご紹介します。

1. 事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を打破する新事業展開を支援するため、中小企業経営向けとしては破格の6,000万円という補助金額を引っ提げて令和3年3月より公募開始となりました。コロナ禍によって事業に影響を受けていることが前提のため、コロナ禍後の売上高がコロナ禍前に比べて減少していることが申請要件であり、直近では物価高騰等の緊急対策枠なども制度に追加されたのが記憶に新しいところです。当初は令和5年1月13日の第8回公募で終了する予定でしたが、新型コロナに加え、物価高騰等の経営環境の悪化が追い打ちをかけ、この状況から抜け出せる見通しが立たないことから、令和4年度2次補正でも5,800億円の予算がつきました。これは令和3年度補正予算にて事業再構築補助金に割り当てられた6,000億円とほぼ同じ規模です。

今度の再構築補助金では、物価の高騰等が与える影響が調達コスト等の増加により「利益」にも影響を及ぼしていることから、「売上高減少要件」が撤廃されます。これにより、売上減少要件に該当しなかったため事業再構築補助金の申請を断念せざるを得なかった企業も申請が可能になります。

また、大胆な賃金引上げを行う事業者には補助率や補助上限額を引き上げる措置が追加されました。

この他にも脱炭素に努める企業や、サプライチェーンを国外から国内に回帰を促す企業の取り組みに活用できる補助金枠などが新設されています。

今のところ詳細については続報を待つこととなりますが、公募開始は令和5年3月下旬頃を予定しているとの事務局アナウンスが発表されています。利用を検討される企業においては着々と準備を進めておくことをおすすめいたします。

2. ものづくり補助金

ものづくり補助金は平成24年度補正予算で新設された、中小企業向け補助金としては最も知名度の高い補助金です。「ものづくり」と名前についているように、当時は製造業が中心で、日本の技術力を象徴するような商品の研究開発色の強い補助金でした。最近では予算名に「生産性革命推進」とつくように生産性の向上をうたった事業テーマに変わってきており、製造業以外の企業の申請も増えてきています。生産設備のような直接生産に要する設備だけでなく、「生産性向上」に繋がる事業であれば、管理システムなどのバックヤードの改善にこの補助金を適用することも可能です。

ものづくり補助金は、令和元年度の公募回から社員の所得向上に努める企業を優先的に支援するよう、賃上げ要件や最低賃金超過要件などを制度に組み込んできました。最近ではDXを推進する取り組みに係る「デジタル枠」や脱炭素の取り組みに資する「グリーン枠」が創設されています。

令和4年度2次補正では、引き続き生産性革命推進事業として2,000億円が予算付けされます。これまでとの違いとしては、環境分野の投資加速化を狙った「グリーン枠」の補助上限額を3段階に分け、従前よりも使いやすくした点、事業再構築補助金と同様に大胆な賃上げを行う場合に最大1,000万円を加算する、というインセンティブが付与される点です。

今回ご紹介した事業再構築補助金、ものづくり補助金の他にも、生産性革命推進事業に基づく補助金としてDX推進のための「IT補助金」・小規模企業の生産性向上を図る「小規模事業者持続化補助金」・事業承継・M&Aを実施した企業に対する「事業承継・引継ぎ補助金」など、様々な状況に応じた補助金があります。

企業を取り巻く環境は今後しばらく厳しい状況が続くことが予想されますが、ポジティブな投資はこの状況打破に最も有効な手段です。これらの補助金を活用できる機会にアグレッシブに攻めてみてはいかがでしょうか。

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押山 健司
Writer 押山 健司
押山 健司
Writer 押山 健司
株式会社サクシード 執行役員 公的支援責任者  
JMAA認定M&Aアドバイザー
栃木県田沼町(現 佐野市)出身。大原簿記専門学校 札幌校卒業後、
宇都宮市内の税理士法人に就職し14年間勤務。
退職後、IT企業の経営管理部門にて、財務・労務・税務・人事業務のほか、マネジメントシステム(ISO9001・プライバシーマーク・ISO27001(ISMS))の運用と新規認証取得(ISMS)に携わる。
中小企業においても経営管理業務の強化の重要性を感じ「中小企業診断士」の取得を決意、1次試験合格を機に、より多くの中小企業の支援に尽力したいと考えるに至り、現職へ転職。財務・会計をはじめ補助金申請のスペシャリストとして活動している。

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