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お好み焼
株式会社ハートランド
鉄板を囲みあたたかな日常を分かち合うハートフルな人づくり
経営理念
楽しく・かっこよく
アルバイトさんや、社員や、お客さん、家族。自分を取り巻く全ての人が幸せそうな様子をみて、自分自身が「楽しい」と感じられる人。
楽しく過ごせる環境をつくり、実践し、皆を引っ張っていく人。
そんな人を「かっこいい」と考えています。
弊社で働く全ての人が、仕事や職場を通じて自分自身を誇れるようになってほしいと願っています。
代表者メッセージ
大阪市西淀川区で生まれ育った私は、子どもの頃から、冬になると毎週のようにサザエさんを見ながらお好み焼きを食べていました。
その頃は、まさか自分が「お好み焼き屋さん」になるとは思ってもいませんでした。
12年勤めた大和ハウス工業の流通店舗事業部から脱サラし、2001年34歳の頃にオーナー店長として「お好み焼 道とん堀」のFC事業を始めてから、20余年が経ちました。
家族と自分のために、たった一人で始めたこの事業ですが、家族や本部、仲間達に助けられ、気づけば運営店舗は最大時25店舗となっていました。
今では、家族のほかにも大事なものが増え、人は一人で生きてはいけないと身をもって実感しています。
2007年4月からは四国地区のエリア本部を、2008年には山口地区エリア本部を任せていただくことになり、身の引き締まる思いです。
下積み時代を経て成功したフランチャイズ本部として、皆様の期待にお応えできるよう、これからも精進いたします。
振り返った時に「あの時はひよっこだった」と感じられるように、会社とともに楽しく成長を続けていきたいと思っています。
今日よりも楽しい明日のために、10年後に今よりも大好きな自分と仲間に会えるように、日々向上し続けていきます。
代表取締役 林 浩司
私たちのこだわり
総合ハウスメーカーの営業を経てFCオーナー店主に転身
お好み焼きやたこ焼きといった「粉もん」文化が根づく大阪府で生まれ育ちました。実家では、冬の週末にテレビを見ながらお好み焼きを食べるという習慣がありました。幼少期はあまり意識していませんでしたが、お好み焼きに対する愛着は、家族で囲む食卓から生まれたのかもしれません。
学校を卒業した後は、大和ハウス工業に入社し、営業として神奈川県の厚木支店に赴任することになりました。郊外型店舗を建設するための土地の取得や、出店いただくテナントの誘致を行い、神奈川県で過ごすうちに初めてテナントとして「お好み焼道とん堀」を知りました。
大阪では、店でお好み焼きを食べる場合は店の人に焼いてもらうのが一般的ですが、道とん堀はお客様ご自身で焼くシステムになっており、お客様の好みに合わせて火加減や味つけをアレンジできることも、とても目新しいと感じました。サービスを提供する店側も、本部のレシピ通りに材料を用意して混ぜ、決められた具材を乗せてお客様に提供するシンプルなオペレーションであり「飲食業の経験がない人でも挑戦しやすいのでは」と思いました。
その後、厚木支店から横浜支店に転勤となり1年ほど勤めましたが、道とん堀を知ってからは、もともとあった「自分の考えで自由に経営をしてみたい」という思いに火がつき、起業したいという気持ちが強くなっていきました。建設業と飲食業では業種は違いますが、サービスの創造という根本の部分は同じだと考え、思い切って道とん堀のFC経営に挑戦することにしました。
初めは、本部の研修で焼き方や接客などの基礎を学んで現場から入りました。目の前の皿を洗ってお客様に食事を提供し、お客様からの信用を着実に積み重ねていく大切さを実感し、目の前にあることをさぼらずに取り組んでいけば着実にステップアップできることを実感しました。
2001年には埼玉県川越市の神明町店のオーナー店長として独立起業を果たしました。道とん堀の本部は東京都福生市(ふっさし)にあり、関東を中心に店舗展開が進んでいました。競合の多い本場の大阪よりも、スペースが広くとれる関東の郊外であれば、前職での知見を活かしながら展開していけると考え、まず関東圏での展開を検討しました。その中で埼玉県を選んだのは、妻の実家になるべく近く、自宅から通えるところに店を構えることで妻や子どもを安心させてあげたかったからです。起業当初は、私はオーナーとして朝から晩まで店にいる必要があり、なじみのない場所で妻と子どもの二人きりでは、多くの負担をかけてしまいます。出店場所は家族を第一に考えた結果ではありましたが、人口が多くベッドタウンの埼玉県は飲食業も盛んであり、初出店の場所としては大変良かったと思っています。
順調に店舗数を伸ばし、遠隔地の山形の店舗を引き継ぐ
店舗の経営をするようになり、まず初めに感じたことは、正論を言っているだけでは社員もアルバイトもついてこないということでした。職場には様々な価値観をもった方が集まりますが、経営者は社員一人ひとりに同じ方向を向いてもらえるよう働きかけていかねばなりません。人をまとめる立場に立つ以上は、清濁併せ呑む度量をもち、どのような環境の中でも変わらず傷つかないダイヤモンドのような輝きをもち続けなければ、店は続けていけないと実感しました。
1店舗目の経営を始めた当初はなかなか慣れず大変でしたが、立地や働き手に恵まれたことで軌道に乗り、埼玉県内で1年に1~2店舗のペースで店舗数を増やしていきました。しかし起業から3年が経ち、7店舗ほど出店したところで、出店に適した場所がなかなか見つからなくなってしまいました。埼玉県に近い東京への進出も考えましたが、郊外型の店舗に合う土地はなかなか見つからず、競合との衝突を避けるため長野県や群馬県への店舗展開も検討し、現地に足を運んで土地や物件を探しましたが、弊社の戦略に合う土地は見つかりませんでした。困っていたところ、別事業者が経営していた山形県の道とん堀FC3店舗が閉店するという情報を得ました。遠隔地ではありましたが、前事業者の元で働いていた社員が残り、設備もそのまま使える状態だったため、本当にタイミングが良かったと思います。3店舗を引き継ぐまでは山形県にはご縁がなかったので、地域性も何もわからない状態でしたが、引き続き働いてくれた地元の社員の助力もあって安定していきました。
山形県の3店舗の引き継ぎが成功したことで、遠隔地での店舗管理に自信がつき、全国規模での店舗展開を考えるようになりました。道とん堀本部は、2005年頃には全国で200店舗にまで拡大していましたが、四国エリアは飛び地だったからか、道とん堀の店舗はゼロでした。海を隔てているからこそ競合も少なく自由に展開していけるのではと思い、今度は自分の手で四国エリアを開拓しようと決めました。2007年には、道とん堀本部から四国地区エリア本部、2008年には山口地区エリア本部としての機能を受託し、四国エリアと本社のある埼玉県を中心に店舗展開を進めていきました。
震災と感染拡大の苦しい時期に、鉄板を囲むあたたかな「日常」を提供
四国エリアの店舗展開が落ち着いてきた2011年、東日本大震災がありました。山形県にある弊社の店舗は、それほど大きな被害はなかったものの、東北から北関東にかけては物資が届かず、少し離れた埼玉県でも、ガソリンを入れるのに長い列に並ばなければならないような状態が続いていました。震源地の近県では店を開けられないところがほとんどでしたが、大変な時こそ、いち早く店を開けてあたたかい食事を提供し、地域の方に安心してもらいたいと考えました。被災直後から物流が回復するまで、週2、3回は材料を詰め込んだ自分の車で東北に物資を届け、山形の店舗では明け方の4時頃まで社員とともに、お好み焼きの材料となるキャベツを切り続けました。ガソリン代や高速代などを考えると赤字ではありましたが、損得なく誰かのために行動できることこそが人として格好いいと思いました。
比較的震災の被害が少なかった山形県には、震源地に最も近かった宮城県から家を失った方々が避難してきていました。震災後、早くから店を開けていた弊社の店舗にも被災者の方が訪れるようになり、やっとひと心地つくことができた安心感からか、涙を流しながらお好み焼きを召し上がっている方もいらっしゃいました。あたたかな食卓を囲む団らんの時間は、当たり前のようでいて今この時しかないものだと気付かされました。皆様にお好み焼きを振る舞い「日常」を提供することができたのは、明け方まで一緒にキャベツを切るなど、店を開けるために惜しまず協力してくれた社員のおかげだと思っています。
2020年からの新型コロナウイルスの感染拡大も、飲食業として大きな影響を受けた出来事でした。当初はいつ終息するかもわからず、弊社を含む飲食業は、感染防止のため営業をするか否かの判断を迫られました。弊社も悩みましたが、社員の雇用と収入の確保のため、社員は通常通り出勤してもらうことに決めました。飲食業全体が厳しい状況の中で経営を維持していくため、アルバイトにしわ寄せがいってしまったこともあり、反省しなければならない部分も多くありました。新型コロナウイルスが5類になり、街に人通りが戻るようになった現在は、少しずつ客足が戻り赤字から回復することができていますが、今後は外部環境の変化に対応し、事業を継続できる経営体制に変えていきたいと思っています。
たぬきをテーマにした店づくりを徹底し売上を伸ばす
弊社がFCとして加盟している道とん堀は、お客様ご自身にお好み焼きを焼いていただくスタイルですが、私自身は大阪出身なので、焼いていただくスタイルが受け入れられるかどうかがわからず、当初は不安でした。20余年経った現在は、道とん堀本部や弊社の店舗展開とともに、自分でお好み焼きを焼くスタイルが定着しているという手応えを感じています。
そのほか、道とん堀独自の取り組みとしては、店員による「ぽんぽこぽん」というかけ声が有名です。道とん堀は、たぬきをテーマにした店づくりをしており、店内にもたぬきの置物や八相縁起の絵がかけられています。「ぽんぽこぽん」のかけ声は、私が経営者となった2、3年後の2003年頃に、道とん堀本社から会社方針として実施することになりました。かけ声は「ご新規3名様ご案内いたします、ぽんぽこぽん」などで、店員が店内に呼びかける際に付け足してもらっています。強制ではないので、かけ声がない店舗もあるかもしれませんが、「ぽんぽこぽん」と言ってもらえるのを楽しみに来店されるリピーターの方のためにも、弊社では全店舗で全社員に、なるべく元気よくかけ声をかけてもらうようにしています。「ぽんぽこぽん」のかけ声は、道とん堀としての独自性や付加価値にもなっており、元気なかけ声は売上にも大きく貢献しています。お客様の期待にお応えするためにも続けていきたいと思っています。
お客様が満足し社員も楽しめるハートランドのサービス
現在の社員は、パート・アルバイトを含め約350名です。弊社の採用に関するハードルは比較的低く、多様な人財が働いています。弊社の方針を知っていただくため、入社した方にはまず始めに、私の考えや理念をまとめた「ハートランドの基本」を読んでもらっています。この「ハートランドの基本」は、グループウエアソフトで共有しており、私からの連絡事項や日々考えていることなども記載し、社員はいつでも見られるようにしています。リアルタイムで共有しておきたい情報は、各店舗や役職者ごとのグループLINEの方で伝えるようにしています。
組織体制としては、以前はエリア担当を置き、担当者に数店舗を任せていたこともありました。しかし人を介して店舗の状況を知るよりも、直接関わった方がタイムラグも生じず、店長の負担が少なく済むだろうと考え、現在は私と各店舗の店長が直結する形にしています。また近年になってからは、店舗に顔を出さずとも情報の共有や管理ができるようになったため、埼玉県内の店舗の訪問は月1回以下、四国や山形といった遠方の店舗は月1回のペースで会議を行っています。
社員への教育としては、お好み焼きや粉ものの聖地である広島や大阪などをツアーに組み込んだ、社員研修旅行を実施しています。研修では、接客時の言葉遣いやお好み焼きの焼き方など、道とん堀の社員として基本的なことを教えています。研修の内容は社員もアルバイトも同じであり、お好み焼きのプロとして格好よく接客し、焼けるようになってもらえるようなプログラムになっています。自分は素人だと思っていても、お客様から見れば長年お好み焼きを焼き続けてきたプロに見えることもあり、お客様においしいと言っていただけるレベルにまで技術を上げ、楽しい食事のひとときを提供することが弊社のサービスだと思っています。
社員の交流を促す行事としては、1ヵ月から2カ月に一度実施している、会議という名目の社員旅行です。コロナ禍の時期を除いて10数年にわたり実施している恒例行事で、先月は高尾山を散策した後に打合せや飲み会を行いました。来月には沖縄会議を予定しています。
年末年始は、社員もアルバイトもあまり出たがらないものですが、ここ5年ほどは、元旦の利益を社員とアルバイトで折半し受け取れるという取り組みを行っています。1月1日、2日を休業するかどうかは各店舗の方針により決めることができますが、弊社としては、家族が集う年末年始にこそ鉄板を囲み、楽しく食事をしていただきたいと思っています。お客様も笑顔になり、出勤した人の懐もあたたかくなり、全員がwin winになれるいい取り組みだと思っています。
楽しく、かっこよく、面白くあろうとする心持ちを大事に
弊社の取り組みや姿勢は、弊社が掲げる理念「楽しく・かっこよく」に即しています。楽しく前向きに取り組もうとする姿、格好よくあろうと努力する心持ちは、子どもから大人まで共感できる、ごくシンプルな在り方だと思っています。自分を楽しませることができれば余裕が生まれ、周りの人も楽しんでもらいたいと思えるようになれるはずです。この職場だからこそ感じられる面白さに気付いてもらい、互いにカバーし合える組織をつくり上げていきたいと思っています。
ハートランドの「ハ」は「林」であり、この林ランド、林ワールドでは、私自身が楽しいと思える場所をつくり上げてきました。この楽しく、面白くという部分は、私が生まれ育った大阪に由来する気質だと思っています。今後も、一緒に取り組む社員が楽しめるような会社をつくり続けていくので、この職場をうまく活かしながら、自分自身を高めていってほしいと思っています。振り返った時に「面白かった、楽しかった」と言い合えるように、今を格好よく、精一杯、社員それぞれのワールドをつくり上げていってほしいと思っています。
FC加盟先やM&Aにより、異分野の仲間の輪と事業を広げたい
創業の第一期は、オーナー店長として起業し鍛えられた埼玉県であり、第二期は、遠隔地の店舗管理を経験した山形県がキーだったと思っています。独立開業をしてから20年以上が経った現在は、18店舗を運営するまでになりましたが、FC経営としては道とん堀のみであり、会社として成長を続けていくためにも2本目、3本目の事業の柱が必要だと思うようになりました。現在の世の中では、気候変動や家畜の感染症などにより、食材がいつストップするかもわからない状況が続いており、食材が手に入らず店を開けられなくなる不安も常に抱えています。多少のことが起こっても傾かない基盤をつくるため、他地域展開を始めた頃から、弊社のノウハウを活かせる別のフランチャイジーを探し続けています。
既に形になっている事業をM&Aで引き継ぐことも、地域に必要な事業を残し、時間やコストを有効に活用しながら発展できる一つの手法だと考えています。私自身としては、建設業と飲食業という異業種からの転向で成功できたこともあり、今後もあらゆる分野を経験してみたいという想いもあります。あえて業種を絞らず挑戦することで、可能性を広げていきたいと思っています。
M&Aで重視し大切にしたいことは、相手先の経営者様がどのような経営をしてきたのか、社風が合うかどうかというところです。今後も「楽しく・かっこよく」という理念は曲げず、むしろ参画していただきたいので、理念の融合を図りながら、共感の輪を広げていきたいと思っています。
この20余年のオーナー経験により、多少のことであれば受け入れ、乗り越えられる度量も身につけられたと思います。いい出会いを見逃さないよう、日本全国で相手先の会社様を探し、引き継ぎや新事業開拓を通じてより多くの仲間を見つけていけたらと思っています。
総合ハウスメーカーの営業を経てFCオーナー店主に転身
お好み焼きやたこ焼きといった「粉もん」文化が根づく大阪府で生まれ育ちました。実家では、冬の週末にテレビを見ながらお好み焼きを食べるという習慣がありました。幼少期はあまり意識していませんでしたが、お好み焼きに対する愛着は、家族で囲む食卓から生まれたのかもしれません。
学校を卒業した後は、大和ハウス工業に入社し、営業として神奈川県の厚木支店に赴任することになりました。郊外型店舗を建設するための土地の取得や、出店いただくテナントの誘致を行い、神奈川県で過ごすうちに初めてテナントとして「お好み焼道とん堀」を知りました。
大阪では、店でお好み焼きを食べる場合は店の人に焼いてもらうのが一般的ですが、道とん堀はお客様ご自身で焼くシステムになっており、お客様の好みに合わせて火加減や味つけをアレンジできることも、とても目新しいと感じました。サービスを提供する店側も、本部のレシピ通りに材料を用意して混ぜ、決められた具材を乗せてお客様に提供するシンプルなオペレーションであり「飲食業の経験がない人でも挑戦しやすいのでは」と思いました。
その後、厚木支店から横浜支店に転勤となり1年ほど勤めましたが、道とん堀を知ってからは、もともとあった「自分の考えで自由に経営をしてみたい」という思いに火がつき、起業したいという気持ちが強くなっていきました。建設業と飲食業では業種は違いますが、サービスの創造という根本の部分は同じだと考え、思い切って道とん堀のFC経営に挑戦することにしました。
初めは、本部の研修で焼き方や接客などの基礎を学んで現場から入りました。目の前の皿を洗ってお客様に食事を提供し、お客様からの信用を着実に積み重ねていく大切さを実感し、目の前にあることをさぼらずに取り組んでいけば着実にステップアップできることを実感しました。
2001年には埼玉県川越市の神明町店のオーナー店長として独立起業を果たしました。道とん堀の本部は東京都福生市(ふっさし)にあり、関東を中心に店舗展開が進んでいました。競合の多い本場の大阪よりも、スペースが広くとれる関東の郊外であれば、前職での知見を活かしながら展開していけると考え、まず関東圏での展開を検討しました。その中で埼玉県を選んだのは、妻の実家になるべく近く、自宅から通えるところに店を構えることで妻や子どもを安心させてあげたかったからです。起業当初は、私はオーナーとして朝から晩まで店にいる必要があり、なじみのない場所で妻と子どもの二人きりでは、多くの負担をかけてしまいます。出店場所は家族を第一に考えた結果ではありましたが、人口が多くベッドタウンの埼玉県は飲食業も盛んであり、初出店の場所としては大変良かったと思っています。
順調に店舗数を伸ばし、遠隔地の山形の店舗を引き継ぐ
店舗の経営をするようになり、まず初めに感じたことは、正論を言っているだけでは社員もアルバイトもついてこないということでした。職場には様々な価値観をもった方が集まりますが、経営者は社員一人ひとりに同じ方向を向いてもらえるよう働きかけていかねばなりません。人をまとめる立場に立つ以上は、清濁併せ呑む度量をもち、どのような環境の中でも変わらず傷つかないダイヤモンドのような輝きをもち続けなければ、店は続けていけないと実感しました。
1店舗目の経営を始めた当初はなかなか慣れず大変でしたが、立地や働き手に恵まれたことで軌道に乗り、埼玉県内で1年に1~2店舗のペースで店舗数を増やしていきました。しかし起業から3年が経ち、7店舗ほど出店したところで、出店に適した場所がなかなか見つからなくなってしまいました。埼玉県に近い東京への進出も考えましたが、郊外型の店舗に合う土地はなかなか見つからず、競合との衝突を避けるため長野県や群馬県への店舗展開も検討し、現地に足を運んで土地や物件を探しましたが、弊社の戦略に合う土地は見つかりませんでした。困っていたところ、別事業者が経営していた山形県の道とん堀FC3店舗が閉店するという情報を得ました。遠隔地ではありましたが、前事業者の元で働いていた社員が残り、設備もそのまま使える状態だったため、本当にタイミングが良かったと思います。3店舗を引き継ぐまでは山形県にはご縁がなかったので、地域性も何もわからない状態でしたが、引き続き働いてくれた地元の社員の助力もあって安定していきました。
山形県の3店舗の引き継ぎが成功したことで、遠隔地での店舗管理に自信がつき、全国規模での店舗展開を考えるようになりました。道とん堀本部は、2005年頃には全国で200店舗にまで拡大していましたが、四国エリアは飛び地だったからか、道とん堀の店舗はゼロでした。海を隔てているからこそ競合も少なく自由に展開していけるのではと思い、今度は自分の手で四国エリアを開拓しようと決めました。2007年には、道とん堀本部から四国地区エリア本部、2008年には山口地区エリア本部としての機能を受託し、四国エリアと本社のある埼玉県を中心に店舗展開を進めていきました。
震災と感染拡大の苦しい時期に、鉄板を囲むあたたかな「日常」を提供
四国エリアの店舗展開が落ち着いてきた2011年、東日本大震災がありました。山形県にある弊社の店舗は、それほど大きな被害はなかったものの、東北から北関東にかけては物資が届かず、少し離れた埼玉県でも、ガソリンを入れるのに長い列に並ばなければならないような状態が続いていました。震源地の近県では店を開けられないところがほとんどでしたが、大変な時こそ、いち早く店を開けてあたたかい食事を提供し、地域の方に安心してもらいたいと考えました。被災直後から物流が回復するまで、週2、3回は材料を詰め込んだ自分の車で東北に物資を届け、山形の店舗では明け方の4時頃まで社員とともに、お好み焼きの材料となるキャベツを切り続けました。ガソリン代や高速代などを考えると赤字ではありましたが、損得なく誰かのために行動できることこそが人として格好いいと思いました。
比較的震災の被害が少なかった山形県には、震源地に最も近かった宮城県から家を失った方々が避難してきていました。震災後、早くから店を開けていた弊社の店舗にも被災者の方が訪れるようになり、やっとひと心地つくことができた安心感からか、涙を流しながらお好み焼きを召し上がっている方もいらっしゃいました。あたたかな食卓を囲む団らんの時間は、当たり前のようでいて今この時しかないものだと気付かされました。皆様にお好み焼きを振る舞い「日常」を提供することができたのは、明け方まで一緒にキャベツを切るなど、店を開けるために惜しまず協力してくれた社員のおかげだと思っています。
2020年からの新型コロナウイルスの感染拡大も、飲食業として大きな影響を受けた出来事でした。当初はいつ終息するかもわからず、弊社を含む飲食業は、感染防止のため営業をするか否かの判断を迫られました。弊社も悩みましたが、社員の雇用と収入の確保のため、社員は通常通り出勤してもらうことに決めました。飲食業全体が厳しい状況の中で経営を維持していくため、アルバイトにしわ寄せがいってしまったこともあり、反省しなければならない部分も多くありました。新型コロナウイルスが5類になり、街に人通りが戻るようになった現在は、少しずつ客足が戻り赤字から回復することができていますが、今後は外部環境の変化に対応し、事業を継続できる経営体制に変えていきたいと思っています。
たぬきをテーマにした店づくりを徹底し売上を伸ばす
弊社がFCとして加盟している道とん堀は、お客様ご自身にお好み焼きを焼いていただくスタイルですが、私自身は大阪出身なので、焼いていただくスタイルが受け入れられるかどうかがわからず、当初は不安でした。20余年経った現在は、道とん堀本部や弊社の店舗展開とともに、自分でお好み焼きを焼くスタイルが定着しているという手応えを感じています。
そのほか、道とん堀独自の取り組みとしては、店員による「ぽんぽこぽん」というかけ声が有名です。道とん堀は、たぬきをテーマにした店づくりをしており、店内にもたぬきの置物や八相縁起の絵がかけられています。「ぽんぽこぽん」のかけ声は、私が経営者となった2、3年後の2003年頃に、道とん堀本社から会社方針として実施することになりました。かけ声は「ご新規3名様ご案内いたします、ぽんぽこぽん」などで、店員が店内に呼びかける際に付け足してもらっています。強制ではないので、かけ声がない店舗もあるかもしれませんが、「ぽんぽこぽん」と言ってもらえるのを楽しみに来店されるリピーターの方のためにも、弊社では全店舗で全社員に、なるべく元気よくかけ声をかけてもらうようにしています。「ぽんぽこぽん」のかけ声は、道とん堀としての独自性や付加価値にもなっており、元気なかけ声は売上にも大きく貢献しています。お客様の期待にお応えするためにも続けていきたいと思っています。
お客様が満足し社員も楽しめるハートランドのサービス
現在の社員は、パート・アルバイトを含め約350名です。弊社の採用に関するハードルは比較的低く、多様な人財が働いています。弊社の方針を知っていただくため、入社した方にはまず始めに、私の考えや理念をまとめた「ハートランドの基本」を読んでもらっています。この「ハートランドの基本」は、グループウエアソフトで共有しており、私からの連絡事項や日々考えていることなども記載し、社員はいつでも見られるようにしています。リアルタイムで共有しておきたい情報は、各店舗や役職者ごとのグループLINEの方で伝えるようにしています。
組織体制としては、以前はエリア担当を置き、担当者に数店舗を任せていたこともありました。しかし人を介して店舗の状況を知るよりも、直接関わった方がタイムラグも生じず、店長の負担が少なく済むだろうと考え、現在は私と各店舗の店長が直結する形にしています。また近年になってからは、店舗に顔を出さずとも情報の共有や管理ができるようになったため、埼玉県内の店舗の訪問は月1回以下、四国や山形といった遠方の店舗は月1回のペースで会議を行っています。
社員への教育としては、お好み焼きや粉ものの聖地である広島や大阪などをツアーに組み込んだ、社員研修旅行を実施しています。研修では、接客時の言葉遣いやお好み焼きの焼き方など、道とん堀の社員として基本的なことを教えています。研修の内容は社員もアルバイトも同じであり、お好み焼きのプロとして格好よく接客し、焼けるようになってもらえるようなプログラムになっています。自分は素人だと思っていても、お客様から見れば長年お好み焼きを焼き続けてきたプロに見えることもあり、お客様においしいと言っていただけるレベルにまで技術を上げ、楽しい食事のひとときを提供することが弊社のサービスだと思っています。
社員の交流を促す行事としては、1ヵ月から2カ月に一度実施している、会議という名目の社員旅行です。コロナ禍の時期を除いて10数年にわたり実施している恒例行事で、先月は高尾山を散策した後に打合せや飲み会を行いました。来月には沖縄会議を予定しています。
年末年始は、社員もアルバイトもあまり出たがらないものですが、ここ5年ほどは、元旦の利益を社員とアルバイトで折半し受け取れるという取り組みを行っています。1月1日、2日を休業するかどうかは各店舗の方針により決めることができますが、弊社としては、家族が集う年末年始にこそ鉄板を囲み、楽しく食事をしていただきたいと思っています。お客様も笑顔になり、出勤した人の懐もあたたかくなり、全員がwin winになれるいい取り組みだと思っています。
楽しく、かっこよく、面白くあろうとする心持ちを大事に
弊社の取り組みや姿勢は、弊社が掲げる理念「楽しく・かっこよく」に即しています。楽しく前向きに取り組もうとする姿、格好よくあろうと努力する心持ちは、子どもから大人まで共感できる、ごくシンプルな在り方だと思っています。自分を楽しませることができれば余裕が生まれ、周りの人も楽しんでもらいたいと思えるようになれるはずです。この職場だからこそ感じられる面白さに気付いてもらい、互いにカバーし合える組織をつくり上げていきたいと思っています。
ハートランドの「ハ」は「林」であり、この林ランド、林ワールドでは、私自身が楽しいと思える場所をつくり上げてきました。この楽しく、面白くという部分は、私が生まれ育った大阪に由来する気質だと思っています。今後も、一緒に取り組む社員が楽しめるような会社をつくり続けていくので、この職場をうまく活かしながら、自分自身を高めていってほしいと思っています。振り返った時に「面白かった、楽しかった」と言い合えるように、今を格好よく、精一杯、社員それぞれのワールドをつくり上げていってほしいと思っています。
FC加盟先やM&Aにより、異分野の仲間の輪と事業を広げたい
創業の第一期は、オーナー店長として起業し鍛えられた埼玉県であり、第二期は、遠隔地の店舗管理を経験した山形県がキーだったと思っています。独立開業をしてから20年以上が経った現在は、18店舗を運営するまでになりましたが、FC経営としては道とん堀のみであり、会社として成長を続けていくためにも2本目、3本目の事業の柱が必要だと思うようになりました。現在の世の中では、気候変動や家畜の感染症などにより、食材がいつストップするかもわからない状況が続いており、食材が手に入らず店を開けられなくなる不安も常に抱えています。多少のことが起こっても傾かない基盤をつくるため、他地域展開を始めた頃から、弊社のノウハウを活かせる別のフランチャイジーを探し続けています。
既に形になっている事業をM&Aで引き継ぐことも、地域に必要な事業を残し、時間やコストを有効に活用しながら発展できる一つの手法だと考えています。私自身としては、建設業と飲食業という異業種からの転向で成功できたこともあり、今後もあらゆる分野を経験してみたいという想いもあります。あえて業種を絞らず挑戦することで、可能性を広げていきたいと思っています。
M&Aで重視し大切にしたいことは、相手先の経営者様がどのような経営をしてきたのか、社風が合うかどうかというところです。今後も「楽しく・かっこよく」という理念は曲げず、むしろ参画していただきたいので、理念の融合を図りながら、共感の輪を広げていきたいと思っています。
この20余年のオーナー経験により、多少のことであれば受け入れ、乗り越えられる度量も身につけられたと思います。いい出会いを見逃さないよう、日本全国で相手先の会社様を探し、引き継ぎや新事業開拓を通じてより多くの仲間を見つけていけたらと思っています。
ツグナラ専門家による紹介
担当専門家:株式会社サクシード 株式会社サクシードの詳細
「楽しく、かっこよく、面白く」ということをテーマに、大阪出身のハートフルな社長が経営されています。東日本大震災の際には、自力で東北に物資を届けて、赤字も覚悟で東北の店舗を営業されました。お客様や従業員、その家族も、明るく生活できるような世界を目指しています。
会社概要
社名 | 株式会社ハートランド |
創立年 | 2001年 |
代表者名 | 代表取締役 林 浩司 |
資本金 | 5,000万円 |
URL |
http://www.heartland-007.co.jp/
|
本社住所 |
〒354-0041 |
事業内容 | フランチャイズオーナーとしてのお好み焼き屋チェーン『道とん堀』の店舗運営 お好み焼き屋チェーン『道とん堀』四国・山口エリア本部の運営とFC展開 |
事業エリア |
三川店 〒997-1316 |
山形嶋店 〒990-0886 |
|
西川口並木店 〒332-0034 |
|
和光店 〒351-0112 |
|
大宮櫛引店 〒330-0851 |
|
ふじみ野店 〒356-0041 |
|
新座大和田店 〒352-0004 |
|
武蔵浦和マーレ店 〒336-0022 |
|
立川店 〒190-0004 |
|
足立伊興店 〒121-0823 |
|
東金店 〒283-0005 |
|
成田店 〒286-0021 |
|
徳島小松島店 〒773-0001 |
|
高松レインボーロード店 〒760-0079 |
|
丸亀パブリックプラザ店 〒763-0062 |
|
四国中央店 〒799-0113 |
|
下関綾羅木店 〒751-0865 |
|
山口大内店 〒753-0215 |
|
関連会社 |
会社沿革
2001年 | 株式会社道とん堀のFC加盟 埼玉県川越市に「神明町店」オープン |
2002年 | 埼玉県上尾市に「上尾西店」オープン 埼玉県吉川市に「吉川店」オープン |
2003年 | 有限会社ハートランド設立 埼玉県和光市に「和光店」オープン |
2004年 | 埼玉県さいたま市に「大宮櫛引店」オープン 埼玉県所沢市に「所沢有楽店」オープン 埼玉県坂戸市に「坂戸にっさい店」オープン |
2005年 | 山形県三川町に「三川店」オープン |
2006年 | 山形県山形市に「山形桜田西店」オープン 山形県天童市に「天童店」オープン 商号を株式会社ハートランドとする |
2007年 | 茨城県古河市に「古河店」オープン 茨城県古河市に「総和店」オープン 株式会社道とん堀の四国地区エリア本部となる 高知県高知市にエリアFC「高知インター店」オープン 徳島県小松島市に「徳島小松島店」オープン |
2008年 | 株式会社道とん堀の山口地区エリア本部となる 愛媛県四国中央市に「四国中央店」オープン 高知県四万十市にエリアFC「四万十店」オープン 香川県高松市に「高松レインボーロード店」オープン |
2009年 | 山口県下関市に「下関綾羅木店」オープン 山形県山形市に「山形嶋店」オープン 徳島県吉野川市に「徳島吉野川店」オープン 山口県山口市に「山口大内店」オープン |
2010年 | 高知県高知市にエリアFC「土佐道路店」オープン 山口県宇部市に「宇部則貞店」オープン 香川県丸亀市に「丸亀パブリックプラザ店」オープン 埼玉県川口市に「西川口並木店」オープン |
2011年 | 香川県高松市に「高松おいしい広場店」オープン 埼玉県ふじみ野市に「ふじみ野店」オープン 愛媛県新居浜市に「新居浜店」オープン |
2012年 | 愛媛県松山市に「久米窪田店」オープン |
2014年 | 愛媛県今治市に「今治店」オープン 徳島県徳島市に「徳島安宅店」オープン |
2015年 | 埼玉県新座市に「新座大和田店」オープン |
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公開日:2023/07/24
※本記事の内容および所属名称は2023年7月現在のものです。現在の情報とは異なる場合があります。
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