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引継ぎ実績あり
社員と
株式会社CRS埼玉
エアバッグで上履き袋。自動車リサイクル会社が考えるSDGsと循環型社会
経営理念
「みんな」を大切にする会社
~ We cherish ‘Everyone’ ~
- みんなでつくる
- みんなで考える
- みんなで変える
- みんなで楽しむ
- みんなでめざす
弊社は「みんな」が主役の会社です。
私たちは互いを認め、理解を深めることで、互いを知り、互いの魅力を受け入れ、「みんな」が誇りを持ち楽しく挑戦していく会社であり続けます。
代表者メッセージ
自動運転技術の発達でぶつからない車が登場し、内燃機関がモーターへと変わり、電気自動車が増え始めている昨今、自動車は「100年に1度の変革期」を迎えております。そうした変化と共に、自動車を構成する主原料も鉄、アルミから樹脂へと変化をしています。
弊社では、自動車のそうした変化に対応した素材のリサイクルや、レアメタル、レアアースの回収に取り組み、ねじ1本まで分別し「循環型社会の形成」に貢献。中古部品の生産では、「低クレーム率全国第一位」として、NGP日本自動車リサイクル事業協同組合より表彰されるなど、高品質な中古部品の生産体制を構築し、中古部品の普及活動に貢献しています。
弊社は、これからも積極的に新たな技術やテクノロジーを導入し、車の変化と安全作業、そしてお客様と社会にしっかり向き合い、変化を受け入れ未来から応援される企業を目指します。
代表取締役 加藤 一臣
私たちのこだわり
創業の経緯~リサイクル新法制定に伴い誕生した合弁会社がルーツ
弊社は2004年の2月に設立されました。設立の大きなきっかけになったのは2005年に施行された「自動車リサイクル法」です。この法律はそれまで埋め立てなど適切に処分されてこなかった車を正しい方法で処分し、リサイクルするために制定されました。
この法律ができたことをきっかけに、リサイクル事業を取り扱っており、車のリサイクルに関してもノウハウを持っていた株式会社青木商店(以下 青木商店)と、法律制定をビジネス拡大のチャンスととらえていた日商岩井株式会社(現 双日株式会社・以下 双日)が手を組み設立されました。
この「自動車リサイクル法」の制定に伴い、当時、自動車リサイクルの業界に飛び込む企業が増えましたが、この傾向は老舗企業にとって脅威として映っていたそうです。
弊社の初代社長は青木商店の社長で、私から見ると義理の兄にあたる人でした。私自身は、もともとJRの施工管理の仕事をしており、電気工事を取り扱っていましたが、妻と結婚したことで青木商店に入社します。当時リサイクルに関してや、現場のことについて全くわからない状態でしたが、入社後にゼロから、資格取得の勉強に励みました。今では、この結婚で人生が大きく変わったなぁと感じています。その後、弊社・株式会社CRS埼玉の設立に伴い、私も常務という形で入社し、2年間ほど現場で実務を経験しました。最初は車を扱ったこともありませんでしたが、工場で解体処理の作業をしたり、機械を動かしたり、トラックで車を引き取ったりと、現場で汗水を流す日々でした。
その働きが認められたのか、青木商店の経営が忙しくなったタイミングもあり、義理の兄である先代から「社長を任せたい」という意向を伝えられました。当時はまだ若く、仕事の楽しさややりがいを感じるようになった頃だったため、「求められるなら応えたい」という思いで引き継ぐ決意をします。
しかし、引き継いだ当初の弊社は、ルールも仕組みも出来ていない状態だったので、トラブルが絶えない毎日を送ることになります。例えばシフト調整が出来ず、出勤人数が1人で大変な思いをするなど、未経験者ばかりだったためこともあり、全員が手探りでゼロから基礎を作っていったイメージです。朝、家を出るときに「今日はどんな問題が起こるか」と頭を抱えることもしばしばありました。
会社を守りたいという一心で決断した独立
数々の出来事の中でも、最も印象深いのは親会社である青木商店からの独立です。この経験は自身の人生観や考え方にも大きな影響を与えました。実のところ、私が弊社を先代から引き継いだ頃、双日の業績が厳しくなったため弊社を担当する部署を畳むことになっていました。そしてそのタイミングで青木商店から青木商店グループの株式会社青木の100%子会社になります。
2016年、今度は親会社の株式会社青木が業績不振に陥ります。
当初、私はそこまで重く受け止めていませんでしたが、実際には親会社の業績がふるわないと子会社もその影響を受けます。
弊社の業績はそこまで逼迫していなかったのですが、銀行の融資が難しくなるなど徐々に影響が出始めました。金融機関からは「借入していた分を返してほしい」などと言われはじめ、「会社として「これから」というタイミングだったので、私としてはここで止まることは出来ないと強く思っていました。
ではどうすればいいかと、税理士や金融機関と何度も話した結果、資本関係を断ち独立することが必要だという結論に至り、2017年に青木商店から独立しました。
たくさんの金融機関と相談しましたが、この状況ではなかなか支援してくれるところは見つかりませんでした。その中でも応援したいといってくれた方がいて、なんとか事が前に進み始めました。それでも問題は山積みでした。
会社を移転するために用意していた土地を売却しようとした時には、その土地の地下水がもともと汚染されていたことが発覚し、対策費用を捻出するために銀行と交渉するなど様々な人に頭を下げ、協力してもらえたからこそたどり着けた独立でした。
会社がギリギリのところで継続できたのは支えてくれた方々のおかげであり、関わった1人ひとりの繋がりが作り出した結果です。それまでは、「結果が全てであり、結果が出れば過程は気にしない」という主義でしたが、この「独立経験」のおかげで、結果を変えるためには人と人の繋がりを大切にし、熱量を持って相手と接することで自身の気持ちを伝えていかなければいけないという過程の大切さを知りました。ビジネスは最終的には人と人が繋がって進んでいくもので、縁を大切にしなければ成功できないという大きな気づきを得られました。
社員と共に作り上げた「経営理念」への思い
独立は会社を守りたいという一心で行った行動だったため、いざ独立できるとなると、ようやくこの先の未来を考えることができるようになりました。そこで、今後会社が発展していくためには、一つ筋の通った背骨のようなものを作る必要があると感じるようになりました。
当初は、それが何なのかはっきりしていなかったのですが、あるとき「理念はあるのか?」と尋ねられたことで、経営理念を作らなければと考えはじめました。本来経営理念は会社の設立時にできるものだと思いますが、設立のきっかけも新法制定に伴うビジネスマッチングだったためにまだ決まっていなかったのです。
理念を作る上でたくさんの方の力を借りましたが、特に決め手となったのは創業当初から勤め続けてきた社員たちが話してくれた内容です。彼らに聞くとニュアンスは違えど、仕事がつらくても仲間がいたから続けられたといってくれました。仲間と共にみんなで何かをする会社であることが弊社のあるべき姿であり、この理念を大事にすることが会社を守っていくことに繋がると感じたため、「みんなを大切にする会社」と設定しました。
独立前までは社内のコミュニケーションも上手くいっておらず、部下の意見もくみ上げるシステムができていないような、社員にとっては難儀な会社だったと思います。離職率も高かったため、状況を変えていかなければと準備を進めていた折に、ある社員から辞めたいと相談を受けました。
その社員には新しい部署の仕事を任せたいと計画していたため、まずは一対一でじっくりと話をする機会を設けました。後から聞くと、その時私が彼に伝えた会社の未来や、描くビジョンの大きさに驚いたそうです。経営者の想いに気づいたことで彼自身も考えが変わり、退職することなく、今でも第一線で活躍してくれています。「独立経験」を通して学んだ「熱量を持って行うコミュニケーションが人の心を動かす」と私も社員も感じた瞬間でした。
話しやすさを重視した雰囲気づくり
社員の特徴としては、礼儀正しい方が多いです。求める人財としては、元気であり素直で相手を尊重できる人です。営業も行うため、相手に清々しい印象を与えられると良いと思います。また、入社した際は私自身について詳しく話す時間を作るようにしています。
社長の考えや会社の方向が伝わると、社員が判断するときの指針になります。加えて、共に働く仲間がどんな人間なのか知ってもらいたいという想いもあります。ですから、伝える内容としてはなぜ私が弊社に入社したか、独立の話、プライベート、最近のホットトピックスなど多岐にわたります。実際に、新入社員からは社長の話を聞けて良かったという声が寄せられているので働く上での絆も作り出せています。
そして、最近始めた取り組みとして社内の横断プロジェクトがあります。会社の組織は通常縦割りですが、このプロジェクトでは横串で社員同士の関わり合いを増やすという狙いがあります。リーダーだけは私が決めますが、それ以外のメンバーはリーダーが集め、新事業の立ち上げや外部勉強会、社内イベントの実行委員会などを運営しています。そこに私も顧問のような立場で入らせてもらうことで、各部署の現状や仕事では話さないような内容についてもお互いが話し合える機会としても活用しています。
共に働いてきた社員たちは、私にとって社員という認識ではなく、仲間たちだと思っています。社長としてではなく、仲間として困ったことがあれば相談できる環境を作ることや、私が分からないことは社員にどんどん尋ねるなど雰囲気づくりを大切にしています。お互いのことを知り、話す機会を意識的に増やしていったことで、会社に人が定着するように改善することが出来ました。
エアバッグで作るSDGsな上履き袋
現在、社内ではSDGsの取り組みも強化しています。それはSDGsが掲げる理念「誰も置き去りにしない」が、弊社の経営理念である「みんなを大切にする会社」と近い考え方だということも影響しています。
弊社だからできるSDGsの取り組みとしては、エアバッグの素材のリサイクルが挙げられます。弊社は役目を終えた車を解体し、分解して新たな資源に生まれ変わるという自動車のリサイクルを取り扱っていますが、エアバッグの素材はこれまで活用しきれていませんでした。
それを地域の企業とコラボレーションし、新一年生用の上履き袋としてリサイクルして、川越地域の小学校に寄付するという取り組みをしています。エアバッグの素材は丈夫なものなので、上履き袋にリメイクしたところ良いものができあがり、喜んでいただけるようになりました。また、会社として施策を打つだけではなく、1人ひとりが理解して「将来こうしたい」というビジョンを描き、小さなことから行動を起こしていくことが弊社のSDGsの特徴だと思います。
弊社独自のSDGs宣言をし、SDGsマイスターという称号を作りました。このSDGsマイスターは社員向けにSDGsについて講義を行う役割を担っています。そして、講義で学んだことは1週間後に全社員に向けてテストを行い、理解を深められたかを確認する取り組みを行っています。
また、テストの問題の一つに、「あなたにとってSDGsとは」という自由記述を組み込んでいます。この問題の回答は人それぞれ違うため、テスト後にまとめて匿名で全員分を社内に公開しています。こうすることで、SDGsを自分事として捉えられますし、社員が周りはどう考えているのかを知るきっかけになっています。
令和元年東日本台風で思いを強くした地域貢献
弊社はいくつかの候補地の中で縁があって川越に設立され、成長していく中で地域との関わりを深めてきました。地域の企業同士の交流や助け合いをしやすい環境を作っていくことも弊社の役割です。そう感じた一番のきっかけは、2019年の台風19号(令和元年東日本台風)による水害でした。当時は近隣地域も水浸しになってしまい、水没して動かなくなった車が多く出ました。引き上げができず困っているところで、弊社もお手伝いしました。そうした中で地元川越のために何かできないかという想いが強くなっていきました。
現在は川越の市政100周年記念や、Jリーグを目指すCOEDO KAWAGOE(川越市社会人1部リーグ)の応援など地域の活動に関わっています。川越は老舗の企業も多い地域ですが、若い会社である弊社としてもできることから地域貢献していきたと考えているところです。
千客万来。工場見学で築きあげる信頼関係
また、弊社はB to Bの事業がメインのため、基本的にはコチラからお伺いする訪問営業がメインになりますが、一度、弊社にお越しいただき、社内の雰囲気や設備を見てもらうようなケースもあります。解体現場を見たことある人は少ないと思いますし、弊社がどんな仕事をしているのか、どんな会社なのかを見てもらい、安心してお付き合いできる関係を構築しています。弊社の社員にとっても「取引先に見せても恥ずかしくない会社」だという自信に繋がります。ご足労はおかけしますが、ぜひ来てもらいたいと考えています。
大切な人と想いを受け継ぎ新たな価値と長く働ける環境を作る
今後の展望として、変化への対応と会社の継続という2つが挙げられます。
時代の変化で無くなっていく職業もありますが、この先も車は無くならないと確信しています。だからこそ、私たちの使命として車がある限り解体し続けていかなければなりません。ハイブリット車や電気自動車など、変化する車に対応した技術と知識を身に付けていきます。
そして、社員が長く働き続けられる会社を作っていきたいです。解体工場での勤務はどうしても体力が必要なため、年齢を重ねると厳しくなってくる場合があります。働く場所があり、気心の知れた仲間と共に長く働けることは幸せなことです。それでも体力が限界を迎えたからと、弊社を去っていくような悲しいことは社員にはさせたくないと思います。だからこそ、新事業にも着手し解体業務以外にも仕事を広げることで働き続けられる場所づくりに力を入れていきたいです。そのためにも事業承継は前向きに検討しています。
後継者不足などを理由に廃業を考えているような方も今は多いと聞きますので、そういう方とご一緒できればと考えています。社員さんもいっしょに引き継がせていただける場合は、新たな仲間として是非迎え入れたいです。
弊社は、これまでに買い手側の経験を複数回させていただいたので、ご縁があった場合には弊社のエッセンスを混ぜながらシナジーを作り出すことができると信じています。これからも、関わる方々へ感謝し、熱い想いを持ってコミュニケーションを取っていくことで、新たな価値を創造し、良い結果を生み出し続けていきます。
創業の経緯~リサイクル新法制定に伴い誕生した合弁会社がルーツ
弊社は2004年の2月に設立されました。設立の大きなきっかけになったのは2005年に施行された「自動車リサイクル法」です。この法律はそれまで埋め立てなど適切に処分されてこなかった車を正しい方法で処分し、リサイクルするために制定されました。
この法律ができたことをきっかけに、リサイクル事業を取り扱っており、車のリサイクルに関してもノウハウを持っていた株式会社青木商店(以下 青木商店)と、法律制定をビジネス拡大のチャンスととらえていた日商岩井株式会社(現 双日株式会社・以下 双日)が手を組み設立されました。
この「自動車リサイクル法」の制定に伴い、当時、自動車リサイクルの業界に飛び込む企業が増えましたが、この傾向は老舗企業にとって脅威として映っていたそうです。
弊社の初代社長は青木商店の社長で、私から見ると義理の兄にあたる人でした。私自身は、もともとJRの施工管理の仕事をしており、電気工事を取り扱っていましたが、妻と結婚したことで青木商店に入社します。当時リサイクルに関してや、現場のことについて全くわからない状態でしたが、入社後にゼロから、資格取得の勉強に励みました。今では、この結婚で人生が大きく変わったなぁと感じています。その後、弊社・株式会社CRS埼玉の設立に伴い、私も常務という形で入社し、2年間ほど現場で実務を経験しました。最初は車を扱ったこともありませんでしたが、工場で解体処理の作業をしたり、機械を動かしたり、トラックで車を引き取ったりと、現場で汗水を流す日々でした。
その働きが認められたのか、青木商店の経営が忙しくなったタイミングもあり、義理の兄である先代から「社長を任せたい」という意向を伝えられました。当時はまだ若く、仕事の楽しさややりがいを感じるようになった頃だったため、「求められるなら応えたい」という思いで引き継ぐ決意をします。
しかし、引き継いだ当初の弊社は、ルールも仕組みも出来ていない状態だったので、トラブルが絶えない毎日を送ることになります。例えばシフト調整が出来ず、出勤人数が1人で大変な思いをするなど、未経験者ばかりだったためこともあり、全員が手探りでゼロから基礎を作っていったイメージです。朝、家を出るときに「今日はどんな問題が起こるか」と頭を抱えることもしばしばありました。
会社を守りたいという一心で決断した独立
数々の出来事の中でも、最も印象深いのは親会社である青木商店からの独立です。この経験は自身の人生観や考え方にも大きな影響を与えました。実のところ、私が弊社を先代から引き継いだ頃、双日の業績が厳しくなったため弊社を担当する部署を畳むことになっていました。そしてそのタイミングで青木商店から青木商店グループの株式会社青木の100%子会社になります。
2016年、今度は親会社の株式会社青木が業績不振に陥ります。
当初、私はそこまで重く受け止めていませんでしたが、実際には親会社の業績がふるわないと子会社もその影響を受けます。
弊社の業績はそこまで逼迫していなかったのですが、銀行の融資が難しくなるなど徐々に影響が出始めました。金融機関からは「借入していた分を返してほしい」などと言われはじめ、「会社として「これから」というタイミングだったので、私としてはここで止まることは出来ないと強く思っていました。
ではどうすればいいかと、税理士や金融機関と何度も話した結果、資本関係を断ち独立することが必要だという結論に至り、2017年に青木商店から独立しました。
たくさんの金融機関と相談しましたが、この状況ではなかなか支援してくれるところは見つかりませんでした。その中でも応援したいといってくれた方がいて、なんとか事が前に進み始めました。それでも問題は山積みでした。
会社を移転するために用意していた土地を売却しようとした時には、その土地の地下水がもともと汚染されていたことが発覚し、対策費用を捻出するために銀行と交渉するなど様々な人に頭を下げ、協力してもらえたからこそたどり着けた独立でした。
会社がギリギリのところで継続できたのは支えてくれた方々のおかげであり、関わった1人ひとりの繋がりが作り出した結果です。それまでは、「結果が全てであり、結果が出れば過程は気にしない」という主義でしたが、この「独立経験」のおかげで、結果を変えるためには人と人の繋がりを大切にし、熱量を持って相手と接することで自身の気持ちを伝えていかなければいけないという過程の大切さを知りました。ビジネスは最終的には人と人が繋がって進んでいくもので、縁を大切にしなければ成功できないという大きな気づきを得られました。
社員と共に作り上げた「経営理念」への思い
独立は会社を守りたいという一心で行った行動だったため、いざ独立できるとなると、ようやくこの先の未来を考えることができるようになりました。そこで、今後会社が発展していくためには、一つ筋の通った背骨のようなものを作る必要があると感じるようになりました。
当初は、それが何なのかはっきりしていなかったのですが、あるとき「理念はあるのか?」と尋ねられたことで、経営理念を作らなければと考えはじめました。本来経営理念は会社の設立時にできるものだと思いますが、設立のきっかけも新法制定に伴うビジネスマッチングだったためにまだ決まっていなかったのです。
理念を作る上でたくさんの方の力を借りましたが、特に決め手となったのは創業当初から勤め続けてきた社員たちが話してくれた内容です。彼らに聞くとニュアンスは違えど、仕事がつらくても仲間がいたから続けられたといってくれました。仲間と共にみんなで何かをする会社であることが弊社のあるべき姿であり、この理念を大事にすることが会社を守っていくことに繋がると感じたため、「みんなを大切にする会社」と設定しました。
独立前までは社内のコミュニケーションも上手くいっておらず、部下の意見もくみ上げるシステムができていないような、社員にとっては難儀な会社だったと思います。離職率も高かったため、状況を変えていかなければと準備を進めていた折に、ある社員から辞めたいと相談を受けました。
その社員には新しい部署の仕事を任せたいと計画していたため、まずは一対一でじっくりと話をする機会を設けました。後から聞くと、その時私が彼に伝えた会社の未来や、描くビジョンの大きさに驚いたそうです。経営者の想いに気づいたことで彼自身も考えが変わり、退職することなく、今でも第一線で活躍してくれています。「独立経験」を通して学んだ「熱量を持って行うコミュニケーションが人の心を動かす」と私も社員も感じた瞬間でした。
話しやすさを重視した雰囲気づくり
社員の特徴としては、礼儀正しい方が多いです。求める人財としては、元気であり素直で相手を尊重できる人です。営業も行うため、相手に清々しい印象を与えられると良いと思います。また、入社した際は私自身について詳しく話す時間を作るようにしています。
社長の考えや会社の方向が伝わると、社員が判断するときの指針になります。加えて、共に働く仲間がどんな人間なのか知ってもらいたいという想いもあります。ですから、伝える内容としてはなぜ私が弊社に入社したか、独立の話、プライベート、最近のホットトピックスなど多岐にわたります。実際に、新入社員からは社長の話を聞けて良かったという声が寄せられているので働く上での絆も作り出せています。
そして、最近始めた取り組みとして社内の横断プロジェクトがあります。会社の組織は通常縦割りですが、このプロジェクトでは横串で社員同士の関わり合いを増やすという狙いがあります。リーダーだけは私が決めますが、それ以外のメンバーはリーダーが集め、新事業の立ち上げや外部勉強会、社内イベントの実行委員会などを運営しています。そこに私も顧問のような立場で入らせてもらうことで、各部署の現状や仕事では話さないような内容についてもお互いが話し合える機会としても活用しています。
共に働いてきた社員たちは、私にとって社員という認識ではなく、仲間たちだと思っています。社長としてではなく、仲間として困ったことがあれば相談できる環境を作ることや、私が分からないことは社員にどんどん尋ねるなど雰囲気づくりを大切にしています。お互いのことを知り、話す機会を意識的に増やしていったことで、会社に人が定着するように改善することが出来ました。
エアバッグで作るSDGsな上履き袋
現在、社内ではSDGsの取り組みも強化しています。それはSDGsが掲げる理念「誰も置き去りにしない」が、弊社の経営理念である「みんなを大切にする会社」と近い考え方だということも影響しています。
弊社だからできるSDGsの取り組みとしては、エアバッグの素材のリサイクルが挙げられます。弊社は役目を終えた車を解体し、分解して新たな資源に生まれ変わるという自動車のリサイクルを取り扱っていますが、エアバッグの素材はこれまで活用しきれていませんでした。
それを地域の企業とコラボレーションし、新一年生用の上履き袋としてリサイクルして、川越地域の小学校に寄付するという取り組みをしています。エアバッグの素材は丈夫なものなので、上履き袋にリメイクしたところ良いものができあがり、喜んでいただけるようになりました。また、会社として施策を打つだけではなく、1人ひとりが理解して「将来こうしたい」というビジョンを描き、小さなことから行動を起こしていくことが弊社のSDGsの特徴だと思います。
弊社独自のSDGs宣言をし、SDGsマイスターという称号を作りました。このSDGsマイスターは社員向けにSDGsについて講義を行う役割を担っています。そして、講義で学んだことは1週間後に全社員に向けてテストを行い、理解を深められたかを確認する取り組みを行っています。
また、テストの問題の一つに、「あなたにとってSDGsとは」という自由記述を組み込んでいます。この問題の回答は人それぞれ違うため、テスト後にまとめて匿名で全員分を社内に公開しています。こうすることで、SDGsを自分事として捉えられますし、社員が周りはどう考えているのかを知るきっかけになっています。
令和元年東日本台風で思いを強くした地域貢献
弊社はいくつかの候補地の中で縁があって川越に設立され、成長していく中で地域との関わりを深めてきました。地域の企業同士の交流や助け合いをしやすい環境を作っていくことも弊社の役割です。そう感じた一番のきっかけは、2019年の台風19号(令和元年東日本台風)による水害でした。当時は近隣地域も水浸しになってしまい、水没して動かなくなった車が多く出ました。引き上げができず困っているところで、弊社もお手伝いしました。そうした中で地元川越のために何かできないかという想いが強くなっていきました。
現在は川越の市政100周年記念や、Jリーグを目指すCOEDO KAWAGOE(川越市社会人1部リーグ)の応援など地域の活動に関わっています。川越は老舗の企業も多い地域ですが、若い会社である弊社としてもできることから地域貢献していきたと考えているところです。
千客万来。工場見学で築きあげる信頼関係
また、弊社はB to Bの事業がメインのため、基本的にはコチラからお伺いする訪問営業がメインになりますが、一度、弊社にお越しいただき、社内の雰囲気や設備を見てもらうようなケースもあります。解体現場を見たことある人は少ないと思いますし、弊社がどんな仕事をしているのか、どんな会社なのかを見てもらい、安心してお付き合いできる関係を構築しています。弊社の社員にとっても「取引先に見せても恥ずかしくない会社」だという自信に繋がります。ご足労はおかけしますが、ぜひ来てもらいたいと考えています。
大切な人と想いを受け継ぎ新たな価値と長く働ける環境を作る
今後の展望として、変化への対応と会社の継続という2つが挙げられます。
時代の変化で無くなっていく職業もありますが、この先も車は無くならないと確信しています。だからこそ、私たちの使命として車がある限り解体し続けていかなければなりません。ハイブリット車や電気自動車など、変化する車に対応した技術と知識を身に付けていきます。
そして、社員が長く働き続けられる会社を作っていきたいです。解体工場での勤務はどうしても体力が必要なため、年齢を重ねると厳しくなってくる場合があります。働く場所があり、気心の知れた仲間と共に長く働けることは幸せなことです。それでも体力が限界を迎えたからと、弊社を去っていくような悲しいことは社員にはさせたくないと思います。だからこそ、新事業にも着手し解体業務以外にも仕事を広げることで働き続けられる場所づくりに力を入れていきたいです。そのためにも事業承継は前向きに検討しています。
後継者不足などを理由に廃業を考えているような方も今は多いと聞きますので、そういう方とご一緒できればと考えています。社員さんもいっしょに引き継がせていただける場合は、新たな仲間として是非迎え入れたいです。
弊社は、これまでに買い手側の経験を複数回させていただいたので、ご縁があった場合には弊社のエッセンスを混ぜながらシナジーを作り出すことができると信じています。これからも、関わる方々へ感謝し、熱い想いを持ってコミュニケーションを取っていくことで、新たな価値を創造し、良い結果を生み出し続けていきます。
会社概要
社名 | 株式会社CRS埼玉 |
創立年 | 2004年 |
代表者名 | 代表取締役 加藤 一臣 |
資本金 | 9,000万円 |
URL |
https://crs-saitama.com/
|
本社住所 |
〒350-0833 |
事業内容 | ELV(使用済み自動車)の引取 ELV(使用済み自動車)の解体・破砕 中古自動車部品の販売 中古自動車の販売 鉄・非鉄原材料の販売 ゴルフクラブ等販売 産業廃棄物の収集運搬・中間処理 レンタカー事業 その他上記に付帯する一切の業務 |
事業エリア |
パーツセンター 〒350-0836 |
所沢オフィス 〒359-0012 |
|
仙台オフィス 〒983-0036 |
会社沿革
2004年 | 会社設立 本社工場稼動 自動車リサイクル法 解体業・破砕業 許可取得 全部再資源化事業者 経済産業・環境大臣認定 |
2005年 | ISO14001(EMS(環境マネジメントシステム))取得 |
2006年 | パーツセンター開設 |
2010年 | ISO9001(QMS(品質マネジメントシステム))取得 |
2012年 | CRS埼玉 仙台営業所 開設 |
2016年 | ISO27001(ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム))取得 |
2017年 | 経営陣によるMBOを実施 |
2018年 | 中間処理業 許認可 取得 |
2021年 | 令和2年度彩の国経営革新モデル企業 指定 所沢オフィス 開設 |
株式会社CRS埼玉の経営資源引継ぎ募集情報
事業引継ぎ
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
譲渡企業の大切な想いも引き継ぎます!業種問わずご相談ください。
人的資本引継ぎ
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
人材育成に自信あり!元気で明るく素直な方、一緒に働きましょう
公開日:2022/10/25 (2023/01/25修正)
※本記事の内容および所属名称は2023年1月現在のものです。現在の情報とは異なる場合があります。
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