香川・小豆郡
香川 ・ 小豆郡小豆島町
小豆島、
株式会社高橋商店
「醤の郷」の伝統が香る、安心と健康のこだわり食品
経営理念
家族みんなが美味しいと笑顔になる醤油を供給する
代表者メッセージ
高橋商店は、アレルギー対応のそら豆醤油や、国産材料を木桶に仕込み、無添加の醤油を造るなど、食卓を囲むみんなが美味しさを分かち合える醤油を代々追求し続けてきています。
当社が持つ食品づくりの技術は、小豆島のノウハウがあってこそ生み出すことができました。
これからも先人に感謝し、守るべきところを守り、進化させるところを進化させながら醤油をお届けしていきます。
代表取締役 大野 英作
私たちのこだわり
1852年創業、小豆島の歴史に根ざす醤油づくり
弊社は、1852年に小豆島で穀物の輸送・販売業として事業を開始しました。
小豆島は瀬戸内海において淡路島に次ぐ大島であり、古くから製塩と海運の要所として栄えてきました。小豆島に醤油を伝えたのは、大阪城の築城のために採石奉行として渡島した諸大名といわれています。大名により伝わった醤油は、日本の醤油醸造発祥の地として知られる紀州湯浅のものであり、有志の島民は現在の和歌山県まで出向いて製法を学び、技術を持ち帰ってきたそうです。小豆島の立地は、醤油づくりに必要な大豆や小麦を搬入し、できあがった醤油を販売するのに最適な流通ルートにあり、醸造技術がもたらされて以来400年以上にわたって醤油の製造が続けられています。
弊社は、船で穀物を運ぶ穀物問屋として1852年に開業し、醤油の原料となる小麦や大豆を醸造業者に供給していたそうです。そして1863年には、穀物の輸送販売に加えて自社で醤油の醸造を開始し、1950年には株式会社高橋商店に改組しました。創業から170年以上にわたり、小豆島でこだわりの味を追求し続けています。
醤油醸造の現場で経験を積む
現在は高橋商店の社長であり、宝食品株式会社の会長を兼任する私は、小豆島で生まれ育ちました。大学は島外に出ましたが、卒業後は島に戻り、かつて島内にあったマルキン醤油株式会社に入社しました。
2013年には、マルキン醤油の親会社である盛田株式会社の名古屋本社に転勤し、開発と工場の担当となりました。
しかし転勤から間もなく、家庭の事情で小豆島に帰ることとなり、転職先を探していたところに、宝食品の社長から「うちに来ないか」と声をかけられました。宝食品は、融資者15人の出資によりスタートした会社であり、外部人財を受け入れる社風や素地がありました。入社後は取締役として開発担当となり、翌々年には常務に就任し、2017年には宝食品の社長に就くこととなりました。
調味料の汎用性と宝食品とのシナジーを感じ承継を決意
宝食品が製造する佃煮や総菜には、高橋商店の醤油が使われており、宝食品側からするとサプライチェーンの一つ上に高橋商店がありました。高橋商店は代々高橋家が営んでいましたが、5代目には後継者候補がおらず「宝食品さんが高橋商店を継いでくれなければ、廃業になってしまう」という相談を受けました。宝食品には5代目を良く知る役員がいたことから、前向きにM&Aを検討することとなりました。
商品や経営状況などを精査する中で、高橋商店の「そら豆醤油」や「ぬか漬の素」などの商品は、宝食品の佃煮や惣菜といった出来合いの商品とはまた違う、調味料としての汎用性の高さや魅力があり、シナジーが見込めると感じました。また、高橋商店の営業は先代が1人で担当していたため、営業エリアが近畿地方や中国地方、四国地方に限られていました。醤油や調味料の製造は、ニッチだからこそ消費者に必要とされる可能性も秘めており、宝食品のリソースを使って営業を行えば、全国に販路を拡げることができるだろうと考えました。
そして高橋商店の150年以上の歴史は、小豆島にとっての大事な資産でもあります。同じ島内の取引先同士が承継をすることで、廃業を検討している他社の指針にもなれたらと思い、承継を決意しました。
2019年には、M&Aにより高橋商店が宝食品のグループ会社となり、私は宝食品に加えて高橋商店の社長を兼任することとなりました。M&Aにあたっては、仲介会社を通さず、資料作りからデューデリジェンスまで全て2社のみで行い、当初の2年間は先代に伴走してもらいました。少しずつ引き継ぎを進めたことで、スムーズに事業を引き継ぐことができたように思います。
誰もがおいしく使える「そら豆醤油」の独自性と可能性
弊社の看板商品は「そら豆醤油」です。開発者は先代であり、そら豆醤油の開発は、知人からの「大豆や小麦を使わない醤油はつくれるか」という相談がきっかけだったそうです。
先代は醤油に含まれる小麦や大豆のアレルギーについて学び、多くの協力のもとで商品開発にあたりました。通常の醤油は、大豆からは旨味を、小麦からは糖分を抽出することで、味や香りを引き出します。先代はあらゆる原料でテストを重ね、旨味と糖分のバランスを兼ね備えたそら豆が醤油に適していると判断しました。「そら豆醤油」は約17年前に先代が特許を取得しており、今後も商品開発や販売拡大を検討していきたいところです。
「そら豆醤油」は大豆を使っていないので「醤油風調味料」という表記になりますが、旨味と塩味ともに普通の醤油と同じレベルであり、大豆アレルギーの方にもおいしく召し上がっていただけます。原料のそら豆は、地元である小豆島、香川県三豊市、そしてオーストラリアから調達しています。
小豆島産のそら豆は、現在は13軒の農家さんとの提携により弊社が全て買い受けることで、地場産業と農家の保護に努めています。また、香川県が運営する農業改良普及センターと、そら豆の栽培について産官連携で取り組んだ功績が認められ、2021年には中国四国農政局の「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」に産官の生産組織「チームそら豆」が選ばれました。地域の活性化や所得向上に取り組んでいる優良な事例として取り上げていただけたことは、大変光栄なことであり、今後とも活動の普及に努めたいと思っています。
また、弊社の「ぬか漬けの素」は米ぬかからつくられており、こちらも創業当時から変わらずつくり続けているという点で他社との差別化や付加価値になっています。弊社の「ぬか漬けの素」の製造は1959年に始まっており、穀物商として小麦や米を扱う中で、副産物である米ぬかをどうにかして活用したいと試行錯誤をした結果生まれた商品だろうと思っています。米ぬかを処理してぬか漬けの素をつくっている会社は、西日本と東日本を合わせても数社ほどであり、「そら豆醤油」とともに弊社の独自製品として打ち出していきたいと思っています。
コスト高騰と農家減少の打開策を探る
「そら豆醤油」は、認知度の向上とともに、地元企業様から「製造数を増やしてほしい」との声が上がるようになりました。全国展開と市場開拓にあたり、さらに製造数を増やしていく必要があるため、現在は対策を考えているところです。
しかし円安による原料の値上がりも続いており、原料の仕入れと製造のバランスの舵取りも難しくなってきています。卸売業の売上のうち約3割を占めていたお客様が、原料の値上げを理由に弊社から他社に取引先を変更したことも大きな痛手となっています。固定費として計上できていた取引先がなくなり、改善傾向とはいえ苦しい状態です。
もう一つの課題としては、高齢化などによる、そら豆農家さんの減少です。そら豆は栽培よりも、豆を取り出すさやむきが最も手間がかかる作業です。これまでは、農家さんが一粒ずつ手作業でさやむきをしていましたが、2023年からは負担削減のために、さやむき機を導入しました。機械化と効率化によって農家さんに余裕が生まれれば「もう少し畑の面積を増やしてみようか」と思ってもらえるかもしれず、若い方も「自分にもできるかもしれない」と農業に挑戦するきっかけになるかもしれません。今後も、農家さんたちとの関係を大事にしながら、農家さんのためになる方法を探っていきたいと思っています。
「醤の郷」で醤油の歴史と会社コンセプトを伝える「京宝亭」
2022年には、高橋商店と宝食品のアンテナショップとして「京宝亭」をリニューアルオープンしました。醤油蔵や佃煮工場が軒を連ねる「醤(ひしお)の郷」エリアで、お客様に小豆島の醤油の歴史を感じていただきながら、弊社の新商品やコンセプトを伝えたいとの思いからスタートしました。店内には、宝食品の歴史とコンセプトを展示するミュージアムやギャラリーショップ、カフェが常設されています。しかしリニューアルオープンがコロナ禍と重なってしまったため、開店休業の状態であり、現在になってようやく賑わいが戻ってきたところです。「京宝亭」はオンラインショップでの販売も行っているので、全国展開の端緒として活用していきたいと思っています。
ジョブローテーション、社内や地域との交流により活性化を目指す
弊社の社員は17名で、グループ全体では100余名となっています。宝食品とのM&Aから5年ほどが経った現在も、両社の社員との積極的なコミュニケーションを心がけています。先代の頃から掲げている「家族みんなが美味しいと笑顔になる醤油を供給する」の理念は、高橋商店として大切にしていた思いとして、今後も社員に浸透させていきたいと思っています。
これまでの社内体制は、佃煮を炊く担当、店頭での接客担当、営業担当などのような専業的な役割分担でしたが、現在はジョブローテーションとして、手が空いているスタッフにはグループ内の別業務をお願いしています。販売の経験があるスタッフには京宝亭でのサービス提供を行ってもらうなど、経験や希望、適性に合わせた仕事をスタッフ自身に選んでもらうことで、成長意欲を後押ししていきたい考えです。
また島内では、コロナ禍前に開催されていたイベントが再開されるようになりました。今後はイベントに「高橋商店」として出店し、普段お客様と接する機会のない製造スタッフに、お客様が喜ぶサービスを考えてもらいながら、自分がつくった製品を買ってもらえる喜びを実感してもらいたいと思っています。社員の充実した働き方や環境づくりのために、2社1店舗の連携やシナジー創出に努めながら、今後も試行錯誤を続けていきたいと思っています。
研修旅行や、グループ会社全体での忘年会などの機会も積極的に設けています。これまで忘年会はそれぞれの会社で実施していましたが、2023年の年末には初めて全社的に実施することにしました。各社のスタッフが顔を合わせてみたところ、近所同士や知り合いの間柄の方もいたようで、グループ会社同士の交流にとどまらず、島民としての関係性を深めるきっかけにもなったように感じています。全社的な交流活動と地域でのふれあいは、これからも続けていきたいと思っています。
こだわりの商品開発で差別化と海外展開を図る
今後も潜在需要のある商品開発とブランド化に注力し、海外向けの商品も積極的に展開をしていく方針です。
ヨーロッパでは現在、小麦を使わない「グルテンフリー」がブームになっています。弊社の「そら豆醤油」もグルテンフリーにあたることから、ここ数年にわたり、食材の輸出に関わる展示会への出展を続けています。海外のバイヤーの方の反応は非常に良く、誰もがおいしく使える日本発の醤油を、海外にも積極的に発信していきたいと思っています。
また、近年関心の高まっているSDGsの取り組みとして、弊社では食品ロスの削減にも注力していきたい考えです。小豆島だけではなく、香川県の農家さんと対話できる機会には積極的に参加し、規格外の農作物を活用していく取り組みについて考え、実現していきたいと思っています。原料には、そら豆だけではなく、小豆島産のだいだいの果汁や香川県産のニンニクを使い、弊社ならではの独自性ある商品を開発していきたいと思っています。香川県のニンニク生産量は全国2位であり、弊社だけではなく地域のブランディングも推し進められる起爆剤になれたらと思っています。普段使いの醤油は他社であっても、少し贅沢をしたいときや、必要としてもらえる方にとって「ちょうどいい」商品づくりをしていきたいと考えています。
1852年創業、小豆島の歴史に根ざす醤油づくり
弊社は、1852年に小豆島で穀物の輸送・販売業として事業を開始しました。
小豆島は瀬戸内海において淡路島に次ぐ大島であり、古くから製塩と海運の要所として栄えてきました。小豆島に醤油を伝えたのは、大阪城の築城のために採石奉行として渡島した諸大名といわれています。大名により伝わった醤油は、日本の醤油醸造発祥の地として知られる紀州湯浅のものであり、有志の島民は現在の和歌山県まで出向いて製法を学び、技術を持ち帰ってきたそうです。小豆島の立地は、醤油づくりに必要な大豆や小麦を搬入し、できあがった醤油を販売するのに最適な流通ルートにあり、醸造技術がもたらされて以来400年以上にわたって醤油の製造が続けられています。
弊社は、船で穀物を運ぶ穀物問屋として1852年に開業し、醤油の原料となる小麦や大豆を醸造業者に供給していたそうです。そして1863年には、穀物の輸送販売に加えて自社で醤油の醸造を開始し、1950年には株式会社高橋商店に改組しました。創業から170年以上にわたり、小豆島でこだわりの味を追求し続けています。
醤油醸造の現場で経験を積む
現在は高橋商店の社長であり、宝食品株式会社の会長を兼任する私は、小豆島で生まれ育ちました。大学は島外に出ましたが、卒業後は島に戻り、かつて島内にあったマルキン醤油株式会社に入社しました。
2013年には、マルキン醤油の親会社である盛田株式会社の名古屋本社に転勤し、開発と工場の担当となりました。
しかし転勤から間もなく、家庭の事情で小豆島に帰ることとなり、転職先を探していたところに、宝食品の社長から「うちに来ないか」と声をかけられました。宝食品は、融資者15人の出資によりスタートした会社であり、外部人財を受け入れる社風や素地がありました。入社後は取締役として開発担当となり、翌々年には常務に就任し、2017年には宝食品の社長に就くこととなりました。
調味料の汎用性と宝食品とのシナジーを感じ承継を決意
宝食品が製造する佃煮や総菜には、高橋商店の醤油が使われており、宝食品側からするとサプライチェーンの一つ上に高橋商店がありました。高橋商店は代々高橋家が営んでいましたが、5代目には後継者候補がおらず「宝食品さんが高橋商店を継いでくれなければ、廃業になってしまう」という相談を受けました。宝食品には5代目を良く知る役員がいたことから、前向きにM&Aを検討することとなりました。
商品や経営状況などを精査する中で、高橋商店の「そら豆醤油」や「ぬか漬の素」などの商品は、宝食品の佃煮や惣菜といった出来合いの商品とはまた違う、調味料としての汎用性の高さや魅力があり、シナジーが見込めると感じました。また、高橋商店の営業は先代が1人で担当していたため、営業エリアが近畿地方や中国地方、四国地方に限られていました。醤油や調味料の製造は、ニッチだからこそ消費者に必要とされる可能性も秘めており、宝食品のリソースを使って営業を行えば、全国に販路を拡げることができるだろうと考えました。
そして高橋商店の150年以上の歴史は、小豆島にとっての大事な資産でもあります。同じ島内の取引先同士が承継をすることで、廃業を検討している他社の指針にもなれたらと思い、承継を決意しました。
2019年には、M&Aにより高橋商店が宝食品のグループ会社となり、私は宝食品に加えて高橋商店の社長を兼任することとなりました。M&Aにあたっては、仲介会社を通さず、資料作りからデューデリジェンスまで全て2社のみで行い、当初の2年間は先代に伴走してもらいました。少しずつ引き継ぎを進めたことで、スムーズに事業を引き継ぐことができたように思います。
誰もがおいしく使える「そら豆醤油」の独自性と可能性
弊社の看板商品は「そら豆醤油」です。開発者は先代であり、そら豆醤油の開発は、知人からの「大豆や小麦を使わない醤油はつくれるか」という相談がきっかけだったそうです。
先代は醤油に含まれる小麦や大豆のアレルギーについて学び、多くの協力のもとで商品開発にあたりました。通常の醤油は、大豆からは旨味を、小麦からは糖分を抽出することで、味や香りを引き出します。先代はあらゆる原料でテストを重ね、旨味と糖分のバランスを兼ね備えたそら豆が醤油に適していると判断しました。「そら豆醤油」は約17年前に先代が特許を取得しており、今後も商品開発や販売拡大を検討していきたいところです。
「そら豆醤油」は大豆を使っていないので「醤油風調味料」という表記になりますが、旨味と塩味ともに普通の醤油と同じレベルであり、大豆アレルギーの方にもおいしく召し上がっていただけます。原料のそら豆は、地元である小豆島、香川県三豊市、そしてオーストラリアから調達しています。
小豆島産のそら豆は、現在は13軒の農家さんとの提携により弊社が全て買い受けることで、地場産業と農家の保護に努めています。また、香川県が運営する農業改良普及センターと、そら豆の栽培について産官連携で取り組んだ功績が認められ、2021年には中国四国農政局の「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」に産官の生産組織「チームそら豆」が選ばれました。地域の活性化や所得向上に取り組んでいる優良な事例として取り上げていただけたことは、大変光栄なことであり、今後とも活動の普及に努めたいと思っています。
また、弊社の「ぬか漬けの素」は米ぬかからつくられており、こちらも創業当時から変わらずつくり続けているという点で他社との差別化や付加価値になっています。弊社の「ぬか漬けの素」の製造は1959年に始まっており、穀物商として小麦や米を扱う中で、副産物である米ぬかをどうにかして活用したいと試行錯誤をした結果生まれた商品だろうと思っています。米ぬかを処理してぬか漬けの素をつくっている会社は、西日本と東日本を合わせても数社ほどであり、「そら豆醤油」とともに弊社の独自製品として打ち出していきたいと思っています。
コスト高騰と農家減少の打開策を探る
「そら豆醤油」は、認知度の向上とともに、地元企業様から「製造数を増やしてほしい」との声が上がるようになりました。全国展開と市場開拓にあたり、さらに製造数を増やしていく必要があるため、現在は対策を考えているところです。
しかし円安による原料の値上がりも続いており、原料の仕入れと製造のバランスの舵取りも難しくなってきています。卸売業の売上のうち約3割を占めていたお客様が、原料の値上げを理由に弊社から他社に取引先を変更したことも大きな痛手となっています。固定費として計上できていた取引先がなくなり、改善傾向とはいえ苦しい状態です。
もう一つの課題としては、高齢化などによる、そら豆農家さんの減少です。そら豆は栽培よりも、豆を取り出すさやむきが最も手間がかかる作業です。これまでは、農家さんが一粒ずつ手作業でさやむきをしていましたが、2023年からは負担削減のために、さやむき機を導入しました。機械化と効率化によって農家さんに余裕が生まれれば「もう少し畑の面積を増やしてみようか」と思ってもらえるかもしれず、若い方も「自分にもできるかもしれない」と農業に挑戦するきっかけになるかもしれません。今後も、農家さんたちとの関係を大事にしながら、農家さんのためになる方法を探っていきたいと思っています。
「醤の郷」で醤油の歴史と会社コンセプトを伝える「京宝亭」
2022年には、高橋商店と宝食品のアンテナショップとして「京宝亭」をリニューアルオープンしました。醤油蔵や佃煮工場が軒を連ねる「醤(ひしお)の郷」エリアで、お客様に小豆島の醤油の歴史を感じていただきながら、弊社の新商品やコンセプトを伝えたいとの思いからスタートしました。店内には、宝食品の歴史とコンセプトを展示するミュージアムやギャラリーショップ、カフェが常設されています。しかしリニューアルオープンがコロナ禍と重なってしまったため、開店休業の状態であり、現在になってようやく賑わいが戻ってきたところです。「京宝亭」はオンラインショップでの販売も行っているので、全国展開の端緒として活用していきたいと思っています。
ジョブローテーション、社内や地域との交流により活性化を目指す
弊社の社員は17名で、グループ全体では100余名となっています。宝食品とのM&Aから5年ほどが経った現在も、両社の社員との積極的なコミュニケーションを心がけています。先代の頃から掲げている「家族みんなが美味しいと笑顔になる醤油を供給する」の理念は、高橋商店として大切にしていた思いとして、今後も社員に浸透させていきたいと思っています。
これまでの社内体制は、佃煮を炊く担当、店頭での接客担当、営業担当などのような専業的な役割分担でしたが、現在はジョブローテーションとして、手が空いているスタッフにはグループ内の別業務をお願いしています。販売の経験があるスタッフには京宝亭でのサービス提供を行ってもらうなど、経験や希望、適性に合わせた仕事をスタッフ自身に選んでもらうことで、成長意欲を後押ししていきたい考えです。
また島内では、コロナ禍前に開催されていたイベントが再開されるようになりました。今後はイベントに「高橋商店」として出店し、普段お客様と接する機会のない製造スタッフに、お客様が喜ぶサービスを考えてもらいながら、自分がつくった製品を買ってもらえる喜びを実感してもらいたいと思っています。社員の充実した働き方や環境づくりのために、2社1店舗の連携やシナジー創出に努めながら、今後も試行錯誤を続けていきたいと思っています。
研修旅行や、グループ会社全体での忘年会などの機会も積極的に設けています。これまで忘年会はそれぞれの会社で実施していましたが、2023年の年末には初めて全社的に実施することにしました。各社のスタッフが顔を合わせてみたところ、近所同士や知り合いの間柄の方もいたようで、グループ会社同士の交流にとどまらず、島民としての関係性を深めるきっかけにもなったように感じています。全社的な交流活動と地域でのふれあいは、これからも続けていきたいと思っています。
こだわりの商品開発で差別化と海外展開を図る
今後も潜在需要のある商品開発とブランド化に注力し、海外向けの商品も積極的に展開をしていく方針です。
ヨーロッパでは現在、小麦を使わない「グルテンフリー」がブームになっています。弊社の「そら豆醤油」もグルテンフリーにあたることから、ここ数年にわたり、食材の輸出に関わる展示会への出展を続けています。海外のバイヤーの方の反応は非常に良く、誰もがおいしく使える日本発の醤油を、海外にも積極的に発信していきたいと思っています。
また、近年関心の高まっているSDGsの取り組みとして、弊社では食品ロスの削減にも注力していきたい考えです。小豆島だけではなく、香川県の農家さんと対話できる機会には積極的に参加し、規格外の農作物を活用していく取り組みについて考え、実現していきたいと思っています。原料には、そら豆だけではなく、小豆島産のだいだいの果汁や香川県産のニンニクを使い、弊社ならではの独自性ある商品を開発していきたいと思っています。香川県のニンニク生産量は全国2位であり、弊社だけではなく地域のブランディングも推し進められる起爆剤になれたらと思っています。普段使いの醤油は他社であっても、少し贅沢をしたいときや、必要としてもらえる方にとって「ちょうどいい」商品づくりをしていきたいと考えています。
会社概要
社名 | 株式会社高橋商店 |
創立年 | 1852年 |
代表者名 | 代表取締役 大野 英作 |
資本金 | 3,000万円 |
URL |
https://www.shodoshima-yamamo.com/
|
本社住所 |
〒761-4411 |
事業内容 | 大豆・脱脂加工大豆・食用油・素麺等の販売 醤油醸造販売 各種漬物の素製造販売 オリーブオイルの製造販売 その他食品の製造販売 |
関連会社 |
会社沿革
1852年 | 穀物の販売業として創業 |
1863年 | 醤油醸造業を始める |
1914年 | 海運業を始める |
1950年 | 株式会社高橋商店に改組 |
1959年 | ぬか漬の素の製造を始める |
1963年 | 海運業を廃止 |
1971年 | 一時間漬の素の製造を始める |
1989年 | ぬか漬の素 新工場竣工 |
1992年 | オリーブオイルの製造を始める |
1994年 | 和風調味料加工品(ぽん酢)の製造を始める |
2005年 | そら豆醤油の製造を始める 併せて特許を取得 |
2008年 | そら豆で作った味噌の製造を始める |
2010年 | そら豆醤油で作ったぽん酢の製造を始める |
2016年 | そら豆醤油で作ったつゆの製造を始める |
2019年 | 宝食品株式会社のグループに入る |
公開日:2024/05/28
※本記事の内容および所属名称は2024年5月現在のものです。現在の情報とは異なる場合があります。
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