千葉・柏市
千葉 ・ 柏市
コロナ禍の
株式会社フーサワ
飲食を通じて食の楽しさと感動を届ける地域貢献会社
経営理念
「積善の企業」をつくって永続的な発展を実現し、それによって社会に「三方善」をもたらす。
【積善の企業】
品性は、徳とも呼ばれ道徳的な心遣いと行為の積み重ねによって形成される卓越した能力であり、人格の中心をなすものです。品性資本とは、企業を構成する人たちの品性が集まって形成される企業の重要な資本であり、この品性資本を蓄積することを積善の企業と云う。これは企業の創造的、永続的な生命力を強化することになります。
【三方善の経営】
三方善の経営とは、国家・社会はもちろん、顧客・取引先・従業員・株主など企業をとりまく人々の幸福の実現に努力していくことです。それは自分・相手・第三者の公平な利益を得ることであり、このような道徳的経営によってもたらされた利益が、企業生命力の源泉となるという考え方に基づく経営法です。
代表者メッセージ
1912年に千葉県柏市で商売を始めて110年、飲食業に転業してから50年の5代目経営者になります。お客様や地域の皆様に感謝と愛情の気持ちを忘れず、謙虚な気持ちで精進してまいりました。飲食業は、消費者のライフスタイルやニーズの変化とともに発展し、数十年前から成熟市場といわれていますが、まだまだ新しい価値や喜びを発掘していけると考えています。
飲食店は料理が美味しくて当たり前の時代です。しかし、美味しいというだけでは繁盛店にはなれません。弊社では「美味しい料理」「気持ちの良い接客」「心地よい雰囲気」のおもてなしにより、お客様の食事のひと時が楽しく価値あるものになるよう努めております。
お客様に楽しい食事の時間を提供するには、従業員1人1人がお客様に楽しんでもらいたいという気持ちが大切であり、楽しんでもらいたいという気持ちの根本には「感謝」の気持ちがあると弊社では考えています。
お客様に選んでいただいたこと、自分が働いていること、今日も営業ができること、自分が生きていることを、家族、地域、すべてに感謝し、その恩に報いる「報恩」の気持ちを持てる従業員を育てていくことがフーサワの使命だと考えています。この道徳的精神は創業当時から変わらぬ経営理念です。
柏に育てていただき110年の節目を迎える現在は、柏市商工会議所青年部として、行政とともに地域活性化の取り組みも行っております。様々なイベントを企画し、弊社だけではなく地域の皆様にとって柏市が楽しく住みやすい地域になるよう、挑戦を続けてまいります。
今後も、成長と成功を喜び合いながら取り組める、チームのような会社を築いていきます。
代表取締役 風澤 俊之
私たちのこだわり
創業110年。タバコや用品店の商いから地元に愛される飲食店経営へ
弊社の創業は1912年で、私は5代目になります。当時、日露戦争で夫を亡くした高祖母がタバコの販売権を国から取得し、タバコや日用品を扱う雑貨店を営んだのが始まりです。その後、昭和になってからは洋品店として商いを続けていたのですが、ちょうど50年前にはJR柏駅の東口に大型百貨店のそごう柏がオープンし、西口には髙島屋ができました。客足が減ることを心配した先代は、新たに喫茶店を始めることにしました。当時、洋品店の奥にはお客様にコーヒーを出していたスペースがあり、それがとても喜ばれていたこともあって拡大に踏み切ったのが弊社の飲食業の成り立ちです。その後も、少しずつ新事業を模索しながら私の代まで経営を続けてきました。
起業を目指し資本金を貯める中で先代に誘われフーサワへ入社
私は4人兄弟の次男として、この柏市で生まれ育ちました。成績は常に中の上をキープしたいというこだわりがあり、中学生の頃は銀行員になりたいと思っていた安定を求めたごく普通で少年でした。中学の夏休みや高校生の時には父が経営する店を手伝ったことで、飲食業の楽しさを実感しました。大学生の頃には地元の祭りに模擬店の出店したことで、自分で商売をしてみたい、経営者になりたいという思いが強くなっていきました。
大学卒業後は、いつか独立したいという目標を胸にベンチャー企業に入社しました。入社から7年の間には、バックオフィス全般の業務を身につけたことで経営への自信がつき、資本金が貯まったらすぐに独立し事業を始めたいと思っていました。
そしてサラリーマンとして働く間に子どもが生まれ、4代目であり先代の父に柏市への帰郷を考えていると伝えたところ、帰ってくるなら会社を継いでほしいと言われました。自分で会社を立ち上げたいという気持ちがあり、ずっと断っていましたが、先代からは三度にわたり誘いがあり、29歳の時に家業への転職を決めました。
先代は当時、株式会社フーサワのほかに、不動産業の会社、駅前通りのたばこ店の3つの会社を経営していました。私はフーサワに入社し、当初はフーサワから分社した叔父が運営する「うどん市」のフランチャイジー店舗の店長を務めることとなりました。
「うどん市」は、うどんと天ぷらをメインに出すお店で、全国的に最盛期には30店舗まで拡大していました。店長をしていた1年の間に順調に業績を伸ばしたことで、30歳の時には先代から「もう任せた」と言われ、2011年の32歳の時に代表に就任し会社を引き継ぎました。
多様な店舗展開により美味しさと楽しさ、感動を提供
会社を引き継いだ時点では、自社が運営する店舗はラーメン屋やうどん屋、立呑み屋でした。現在、弊社では繁盛店として会社を支え続けた立呑み屋のほかに、「天ぷらめし 天之助」「カフェテリア ナナホシ」「裏路地酒場 にこみや武士」の3店舗を立ち上げ運営しています。
「天ぷらめし 天之助」の特徴は、熱々の天ぷらです。私は以前、やけどするほどの揚げたての天ぷらを食べたことがあり、そのときの美味しさと感動をお客様にも味わってほしいという思いから、カウンター型のオープンキッチンにしました。通常、天ぷらをお客様に食べてもらおうとしても、盛り付けた天ぷらをキッチンからホールに渡して、それがお客様のところに届いて食べていただくまでの間に熱々ではなくなってしまいます。カウンター型のオープンキッチンにすることで、揚げたての天ぷらをすぐお客様に提供でき、熱々の天ぷらを召し上がっていただけるようにしています。そして、調理しているところを見ていただくことで食欲を喚起し、口に入るまでの時間も楽しんでもらえるようにしました。オープンキッチンは、職人の配置や衛生面がお客様から可視化されるため、大手がやりたがりません。中小企業であるからこその発想だったと思っています。
「立呑みもつ焼処 柏二丁目酒場」は開業から約20年になる一番長い店で、昭和をコンセプトにした常連の多い店です。「路地裏酒場 にこみや武士」は、勤続約40年になる従業員がいる居酒屋で、地域の憩いの場といった雰囲気となっています。
また「カフェテリア ナナホシ」は、バイクのオークション会場内にある、オークション会場の従業員と会員専用の店舗です。ドリンクやデザート、パスタなどのメニューを提供しています。この「ナナホシ」は夫婦で立ち上げ、軌道に乗ったので社員に任せています。
「三方善」という代々変わらぬ経営理念
経営理念は「『積善の企業』をつくって永続的な発展を実現し、それによって社会に『三方善』をもたらす」です。この理念は、先代である父または先々代の祖父が掲げたものです。理念は、総合人間学「モラロジー(科学)」を説き学校法人廣池学園を設立した、廣池千九郎の道徳的精神が基軸となっています。弊社の創業から10余年後には、柏市内に道徳科学専攻塾(現・学校法人廣池学園)が創立され、道徳の研究と社会教育を推進する場として「モラロジー研究所」も設立されました。そのときに、当時の弊社の代表が研究所創立者の講演を聞きに行ったそうです。利益は永続的に人を育てるための原資であり、世の中で役立つ人を育てるために会社があるという、ビジネスでも大いに役立つ内容でした。そのため、弊社では代々、道徳の勉強を続けています。
弊社の基本的な経営姿勢においても、健全な精神を養ったのちに、組織という形式をつくり、動機・目的・方法の全てに誠実な「知徳一体の経営」を目指しております。社会はもちろん、お客様、従業員、取引先など弊社を取り巻く方々の幸福の実現に努めています。
月に一回開催している全体朝礼では経営の基本である「三方善」の考え方を共有し、心や考え方の勉強として教材の回し読みをして感想を聞いたり、私の考えを伝えたりしています。お客様や取引先様にどうやったら幸せを感じてもらえるかといった、社会に対して提供できる価値について考えてもらっています。また、年1回の経営計画発表会では、数字だけではなく考え方や取り組み方について話すようにしています。
居心地よく働ける終身雇用の職場
弊社の社員は11名で、さらに各店舗にアルバイトがいます。弊社の「三方善」の精神により、居心地のいい環境となっているようで、長く働いている方が多くいます。最も長く働いている方は勤続40年で、私が中学生の時に店の手伝いをしていた頃からの顔見知りです。通常の仕入れや各店舗のおすすめ商品の選定、旬の食材を使った新商品の開発などは、すべて社員に任せています。長く働いている方の腕の良さからか、どの店も繁盛しているので、社員が願うのであれば終身雇用で今後も働き続けてほしいと思っています。
スタッフや社員の採用時には、年齢関係なく定年まで面倒をみるつもりで雇用しています。人は何かしら欠点がありますし、会社が人を育てることが大切です。弊社の道徳的な社風や雰囲気に合う、実直な方ならば長く働いていただけるだろうと考えています。
地元愛あふれるネットワークで地域店がコロナ禍を乗り切る
弊社は柏市に密着した、いわゆるドミナント戦略で店舗経営をしていますが、大きな理由は3つあります。最も大切なのは、従業員同士が顔を合わせる距離にいるということを重視しているからです。月1回の朝礼はリモート参加の人もいますが、極力顔を合わせてコミュニケーションがとれるように工夫をしています。そして2つ目の理由としては、私自身の目が行き届くのでブレない経営をすることができるからです。最後に、私や従業員の地元である柏市の地域活性化のために尽力することができるからです。
コロナ禍では多くの飲食店が打撃を受けました。しかし、コロナが発生した2020年2月の段階で飲食店の仲間と何か対策を打とうと、デリバリーサービス「ウチめし柏」を展開することにしました。私がリーダーとなり、デリバリー専用のサイトと新会社を2020年5月に立ち上げ、協力店の売上と従業員の雇用を維持できるようにすることで難を乗り切りました。創設時に参加してくれた柏市内の飲食店は30店舗以上に及びます。この取り組みは高く評価され、令和3年度には千葉県から「千葉のちから」中小企業・小規模事業者表彰をいただいています。
こうした取り組みは、柏ならではだと思っています。柏市民は柏愛が非常に強く、商店街や商工会議所などの集まりにも積極的に参加をして、地域のために取り組むことに前向きです。私は商工会議所の青年部で地域活性委員会の委員長を務めさせていただいておりますが、柏市では多くのイベントを開催し、毎回多くの市民で賑わっています。私が主催者として関わっている取り組みは、柏をカレーの街にしようという「カレーフェス」や、普段行かないようなお店に足を運んでもらおうという食べ歩きイベント「ユルベルトKASHIWAX」、若者に気軽に楽しんでもらえる街にしたいという「柏ハロウィンワールド」などです。柏愛をもつ人同士の横のネットワークの強さを活かした地域貢献の活動となっています。
柏市は、都心から30kmほどの立地なので、隣接する茨城県からの移住者や、都内デビューの足がかりとして起業する方も多く、ポテンシャルのある地域です。今後も地域の繁栄を願い、経営や社会活動を続けていきたいと思っています。
社員が成長する独立パッケージと国産エビの陸上養殖に挑戦
弊社の今後の方針としては「天ぷらめし 天之助」を拡大していきたいという思いがあります。ゆくゆくは社員が独立し、フランチャイズ展開ができるパッケージをつくることで社員の成長にもつなげたいと考えています。
この構想は「うどん市」本部の叔父と各店舗の経営者同士の関係性がモデルとなっています。「経営者は孤独」とよく言われますが、叔父と店舗経営者たちの関係性はあたたかく、経営状況について励ましあいながら情報交換をしていました。その関係性がとてもいいなと思い、私も貢献してくれている社員と経営者という同じ立場の関係性を築きたいと思うようになりました。現在1店舗の「天之助」を3店舗まで拡大することができたら、独立のパッケージ化に向けて取り組み、頑張っている社員が経営者として成長できるようにバックアップしていきたいと思っています。
また最近は、輸入品に頼らず自社でエビの養殖ができないかと考えています。コロナ禍や戦争などで輸入が不安定になり、今後の輸出入も海外の情勢に左右されることになるかもしれません。実際に、世界中のエビの価格は高騰し、しかも日本は世界に買い負けています。「天ぷらめし 天之助」1店舗だけでも月間1万尾の海老が必要であり、自社での養殖は急務だと感じています。
そこで「天之助」の3店舗目拡大が成功したら、国産エビの陸上養殖事業も始めたいと思っています。エビの陸上養殖が成功すれば、弊社の天ぷらの素材として使用するだけではなく、国内でエビがまかなえる可能性も生まれ、輸入に頼らずに済みます。国内生産と食料自給率を上げることは、社会的に大きな意味があると思っています。地域を支えるためには、仕入れ力だけではなく、自社の付加価値も高めていく必要があります。我々が先陣を切り、土壌をつくっていきたいと思っています。
「ツグナラ」に共感し自社での事業引継ぎを検討
弊社が「ツグナラ」千葉版への掲載を承諾したのは、会社の歴史や事業、技術を地域の優良企業に引き継いでもらいたいという考え方に共感したからです。後継ぎがいないからと店を畳んでしまうのは地域にとっても、大変もったいないことです。ゆくゆくは弊社でも、廃業を検討している会社を引き継いでいけるネットワークをつくり、柏市の産業と地域を守る取り組みをしていきたいと考えています。
事業引き継ぎに対する私の考え方ですが、シナジーを生み出せるような案件であれば、どのような業種でも検討したいと思っています。しかし、特に飲食業への思い入れが強く、少しでも助けになれたらと考えています。飲食店は、賃貸で店舗を借りていた場合には、出ていくときスケルトン(建物の構造体のみ残った状態)で返すことになります。自身の退職金がないばかりでなく、最後にはお金を払って出ていかねばなりません。同じ飲食店を営む身として、そんなに切ないことはないと思っています。同じ柏の飲食店に居抜き物件として買い取ってもらえば、少なくとも資金を得て、勇退または再スタートをすることもできます。そのような取り組みを目指すことで、大好きな柏を支え続けていきたいと考えています。
創業110年。タバコや用品店の商いから地元に愛される飲食店経営へ
弊社の創業は1912年で、私は5代目になります。当時、日露戦争で夫を亡くした高祖母がタバコの販売権を国から取得し、タバコや日用品を扱う雑貨店を営んだのが始まりです。その後、昭和になってからは洋品店として商いを続けていたのですが、ちょうど50年前にはJR柏駅の東口に大型百貨店のそごう柏がオープンし、西口には髙島屋ができました。客足が減ることを心配した先代は、新たに喫茶店を始めることにしました。当時、洋品店の奥にはお客様にコーヒーを出していたスペースがあり、それがとても喜ばれていたこともあって拡大に踏み切ったのが弊社の飲食業の成り立ちです。その後も、少しずつ新事業を模索しながら私の代まで経営を続けてきました。
起業を目指し資本金を貯める中で先代に誘われフーサワへ入社
私は4人兄弟の次男として、この柏市で生まれ育ちました。成績は常に中の上をキープしたいというこだわりがあり、中学生の頃は銀行員になりたいと思っていた安定を求めたごく普通で少年でした。中学の夏休みや高校生の時には父が経営する店を手伝ったことで、飲食業の楽しさを実感しました。大学生の頃には地元の祭りに模擬店の出店したことで、自分で商売をしてみたい、経営者になりたいという思いが強くなっていきました。
大学卒業後は、いつか独立したいという目標を胸にベンチャー企業に入社しました。入社から7年の間には、バックオフィス全般の業務を身につけたことで経営への自信がつき、資本金が貯まったらすぐに独立し事業を始めたいと思っていました。
そしてサラリーマンとして働く間に子どもが生まれ、4代目であり先代の父に柏市への帰郷を考えていると伝えたところ、帰ってくるなら会社を継いでほしいと言われました。自分で会社を立ち上げたいという気持ちがあり、ずっと断っていましたが、先代からは三度にわたり誘いがあり、29歳の時に家業への転職を決めました。
先代は当時、株式会社フーサワのほかに、不動産業の会社、駅前通りのたばこ店の3つの会社を経営していました。私はフーサワに入社し、当初はフーサワから分社した叔父が運営する「うどん市」のフランチャイジー店舗の店長を務めることとなりました。
「うどん市」は、うどんと天ぷらをメインに出すお店で、全国的に最盛期には30店舗まで拡大していました。店長をしていた1年の間に順調に業績を伸ばしたことで、30歳の時には先代から「もう任せた」と言われ、2011年の32歳の時に代表に就任し会社を引き継ぎました。
多様な店舗展開により美味しさと楽しさ、感動を提供
会社を引き継いだ時点では、自社が運営する店舗はラーメン屋やうどん屋、立呑み屋でした。現在、弊社では繁盛店として会社を支え続けた立呑み屋のほかに、「天ぷらめし 天之助」「カフェテリア ナナホシ」「裏路地酒場 にこみや武士」の3店舗を立ち上げ運営しています。
「天ぷらめし 天之助」の特徴は、熱々の天ぷらです。私は以前、やけどするほどの揚げたての天ぷらを食べたことがあり、そのときの美味しさと感動をお客様にも味わってほしいという思いから、カウンター型のオープンキッチンにしました。通常、天ぷらをお客様に食べてもらおうとしても、盛り付けた天ぷらをキッチンからホールに渡して、それがお客様のところに届いて食べていただくまでの間に熱々ではなくなってしまいます。カウンター型のオープンキッチンにすることで、揚げたての天ぷらをすぐお客様に提供でき、熱々の天ぷらを召し上がっていただけるようにしています。そして、調理しているところを見ていただくことで食欲を喚起し、口に入るまでの時間も楽しんでもらえるようにしました。オープンキッチンは、職人の配置や衛生面がお客様から可視化されるため、大手がやりたがりません。中小企業であるからこその発想だったと思っています。
「立呑みもつ焼処 柏二丁目酒場」は開業から約20年になる一番長い店で、昭和をコンセプトにした常連の多い店です。「路地裏酒場 にこみや武士」は、勤続約40年になる従業員がいる居酒屋で、地域の憩いの場といった雰囲気となっています。
また「カフェテリア ナナホシ」は、バイクのオークション会場内にある、オークション会場の従業員と会員専用の店舗です。ドリンクやデザート、パスタなどのメニューを提供しています。この「ナナホシ」は夫婦で立ち上げ、軌道に乗ったので社員に任せています。
「三方善」という代々変わらぬ経営理念
経営理念は「『積善の企業』をつくって永続的な発展を実現し、それによって社会に『三方善』をもたらす」です。この理念は、先代である父または先々代の祖父が掲げたものです。理念は、総合人間学「モラロジー(科学)」を説き学校法人廣池学園を設立した、廣池千九郎の道徳的精神が基軸となっています。弊社の創業から10余年後には、柏市内に道徳科学専攻塾(現・学校法人廣池学園)が創立され、道徳の研究と社会教育を推進する場として「モラロジー研究所」も設立されました。そのときに、当時の弊社の代表が研究所創立者の講演を聞きに行ったそうです。利益は永続的に人を育てるための原資であり、世の中で役立つ人を育てるために会社があるという、ビジネスでも大いに役立つ内容でした。そのため、弊社では代々、道徳の勉強を続けています。
弊社の基本的な経営姿勢においても、健全な精神を養ったのちに、組織という形式をつくり、動機・目的・方法の全てに誠実な「知徳一体の経営」を目指しております。社会はもちろん、お客様、従業員、取引先など弊社を取り巻く方々の幸福の実現に努めています。
月に一回開催している全体朝礼では経営の基本である「三方善」の考え方を共有し、心や考え方の勉強として教材の回し読みをして感想を聞いたり、私の考えを伝えたりしています。お客様や取引先様にどうやったら幸せを感じてもらえるかといった、社会に対して提供できる価値について考えてもらっています。また、年1回の経営計画発表会では、数字だけではなく考え方や取り組み方について話すようにしています。
居心地よく働ける終身雇用の職場
弊社の社員は11名で、さらに各店舗にアルバイトがいます。弊社の「三方善」の精神により、居心地のいい環境となっているようで、長く働いている方が多くいます。最も長く働いている方は勤続40年で、私が中学生の時に店の手伝いをしていた頃からの顔見知りです。通常の仕入れや各店舗のおすすめ商品の選定、旬の食材を使った新商品の開発などは、すべて社員に任せています。長く働いている方の腕の良さからか、どの店も繁盛しているので、社員が願うのであれば終身雇用で今後も働き続けてほしいと思っています。
スタッフや社員の採用時には、年齢関係なく定年まで面倒をみるつもりで雇用しています。人は何かしら欠点がありますし、会社が人を育てることが大切です。弊社の道徳的な社風や雰囲気に合う、実直な方ならば長く働いていただけるだろうと考えています。
地元愛あふれるネットワークで地域店がコロナ禍を乗り切る
弊社は柏市に密着した、いわゆるドミナント戦略で店舗経営をしていますが、大きな理由は3つあります。最も大切なのは、従業員同士が顔を合わせる距離にいるということを重視しているからです。月1回の朝礼はリモート参加の人もいますが、極力顔を合わせてコミュニケーションがとれるように工夫をしています。そして2つ目の理由としては、私自身の目が行き届くのでブレない経営をすることができるからです。最後に、私や従業員の地元である柏市の地域活性化のために尽力することができるからです。
コロナ禍では多くの飲食店が打撃を受けました。しかし、コロナが発生した2020年2月の段階で飲食店の仲間と何か対策を打とうと、デリバリーサービス「ウチめし柏」を展開することにしました。私がリーダーとなり、デリバリー専用のサイトと新会社を2020年5月に立ち上げ、協力店の売上と従業員の雇用を維持できるようにすることで難を乗り切りました。創設時に参加してくれた柏市内の飲食店は30店舗以上に及びます。この取り組みは高く評価され、令和3年度には千葉県から「千葉のちから」中小企業・小規模事業者表彰をいただいています。
こうした取り組みは、柏ならではだと思っています。柏市民は柏愛が非常に強く、商店街や商工会議所などの集まりにも積極的に参加をして、地域のために取り組むことに前向きです。私は商工会議所の青年部で地域活性委員会の委員長を務めさせていただいておりますが、柏市では多くのイベントを開催し、毎回多くの市民で賑わっています。私が主催者として関わっている取り組みは、柏をカレーの街にしようという「カレーフェス」や、普段行かないようなお店に足を運んでもらおうという食べ歩きイベント「ユルベルトKASHIWAX」、若者に気軽に楽しんでもらえる街にしたいという「柏ハロウィンワールド」などです。柏愛をもつ人同士の横のネットワークの強さを活かした地域貢献の活動となっています。
柏市は、都心から30kmほどの立地なので、隣接する茨城県からの移住者や、都内デビューの足がかりとして起業する方も多く、ポテンシャルのある地域です。今後も地域の繁栄を願い、経営や社会活動を続けていきたいと思っています。
社員が成長する独立パッケージと国産エビの陸上養殖に挑戦
弊社の今後の方針としては「天ぷらめし 天之助」を拡大していきたいという思いがあります。ゆくゆくは社員が独立し、フランチャイズ展開ができるパッケージをつくることで社員の成長にもつなげたいと考えています。
この構想は「うどん市」本部の叔父と各店舗の経営者同士の関係性がモデルとなっています。「経営者は孤独」とよく言われますが、叔父と店舗経営者たちの関係性はあたたかく、経営状況について励ましあいながら情報交換をしていました。その関係性がとてもいいなと思い、私も貢献してくれている社員と経営者という同じ立場の関係性を築きたいと思うようになりました。現在1店舗の「天之助」を3店舗まで拡大することができたら、独立のパッケージ化に向けて取り組み、頑張っている社員が経営者として成長できるようにバックアップしていきたいと思っています。
また最近は、輸入品に頼らず自社でエビの養殖ができないかと考えています。コロナ禍や戦争などで輸入が不安定になり、今後の輸出入も海外の情勢に左右されることになるかもしれません。実際に、世界中のエビの価格は高騰し、しかも日本は世界に買い負けています。「天ぷらめし 天之助」1店舗だけでも月間1万尾の海老が必要であり、自社での養殖は急務だと感じています。
そこで「天之助」の3店舗目拡大が成功したら、国産エビの陸上養殖事業も始めたいと思っています。エビの陸上養殖が成功すれば、弊社の天ぷらの素材として使用するだけではなく、国内でエビがまかなえる可能性も生まれ、輸入に頼らずに済みます。国内生産と食料自給率を上げることは、社会的に大きな意味があると思っています。地域を支えるためには、仕入れ力だけではなく、自社の付加価値も高めていく必要があります。我々が先陣を切り、土壌をつくっていきたいと思っています。
「ツグナラ」に共感し自社での事業引継ぎを検討
弊社が「ツグナラ」千葉版への掲載を承諾したのは、会社の歴史や事業、技術を地域の優良企業に引き継いでもらいたいという考え方に共感したからです。後継ぎがいないからと店を畳んでしまうのは地域にとっても、大変もったいないことです。ゆくゆくは弊社でも、廃業を検討している会社を引き継いでいけるネットワークをつくり、柏市の産業と地域を守る取り組みをしていきたいと考えています。
事業引き継ぎに対する私の考え方ですが、シナジーを生み出せるような案件であれば、どのような業種でも検討したいと思っています。しかし、特に飲食業への思い入れが強く、少しでも助けになれたらと考えています。飲食店は、賃貸で店舗を借りていた場合には、出ていくときスケルトン(建物の構造体のみ残った状態)で返すことになります。自身の退職金がないばかりでなく、最後にはお金を払って出ていかねばなりません。同じ飲食店を営む身として、そんなに切ないことはないと思っています。同じ柏の飲食店に居抜き物件として買い取ってもらえば、少なくとも資金を得て、勇退または再スタートをすることもできます。そのような取り組みを目指すことで、大好きな柏を支え続けていきたいと考えています。
会社概要
社名 | 株式会社フーサワ |
創立年 | 1950年 |
代表者名 | 代表取締役 風澤 俊之 |
資本金 | 1,550万円 |
URL |
https://fuhsawa.com/
|
本社住所 |
〒277-0005 |
事業内容 | 飲食店経営 |
事業エリア |
事務所 〒277-0005 |
立呑みもつ焼処 柏二丁目酒場 〒277-0084 |
|
天ぷらめし 天ノ助 〒277-0902 |
|
にこみや 武士 〒277-0005 |
|
カフェテリア ナナホシ 〒270-1455 |
|
関連会社 |
会社沿革
1912年 | たばこ店として創業。用品店と並業したのちに風澤洋品店を開店 |
1950年 | 株式会社フーサワを設立 |
1973年 | 飲食業に転業 |
2005年 | 「立呑みもつ焼処 柏二丁目酒場」を出店 |
2015年 | 「天ぷらめし 天之助」出店 |
2019年 | 「にこみや 武士 」出店 |
2020年 | 「カフェテリア ナナホシ」出店 |
株式会社フーサワの経営資源引継ぎ募集情報
人的資本引継ぎ
茨城県
埼玉県
千葉県
東京都
飲食店社員から経営者に挑戦したい方を募集中
公開日:2024/04/18 (2024/04/22修正)
※本記事の内容および所属名称は2024年4月現在のものです。現在の情報とは異なる場合があります。
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