「どんな会社でも必ず引き継いでもらえる!」それは本当でしょうか?実際には、「譲渡先を見つけるのが難しい会社もある」というのが、現実です。譲渡先を探すのに時間がかかる会社とはどのような会社なのか、M&A仲介会社としての経験を踏まえてご紹介します。
「どんな会社でも必ず引き継いでもらえる!」それは本当でしょうか?実際には、「譲渡先を見つけるのが難しい会社もある」というのが、現実です。譲渡先を探すのに時間がかかる会社とはどのような会社なのか、M&A仲介会社としての経験を踏まえてご紹介します。
M&A関連本のなかには、「どんな会社でも必ず引き継ぎ手がいる!」と書いてあるものもありますが、M&A仲介会社としての経験からすれば、「譲渡先を見つけるのが難しい会社もある」というのが、現実です。もちろん、可能性が全くないわけではありませんが、譲渡先を見つけるのに、かなりの時間を要するでしょう。以下2つの条件に両方当てはまる会社は、譲渡価格0円でも譲渡先企業を探すのに、時間がかかる可能性があります。
1 【本コラム】財務と事業承継1 「この会社であれば引継ぎたい」と思ってもらうためには?
2 財務と事業承継2 M&Aの売り手企業が抑えるべき決算書の読み方
3 財務と事業承継3 買い手企業はどのような視点で決算書を確認しているのか?
4 財務と事業承継4 経営改善を手助けする国の支援制度「早期経営改善計画」とは?
5 財務と事業承継5 厳しい経営状況の企業を支援する「改善計画策定支援」とは?
買い手企業のM&Aの目的は、事業の多角化、既存事業とのシナジー、技術や人材の獲得など様々です。しかし、簡単に一言でいってしまえば、M&Aの目的は、「より一層の利益を生み出すこと」と言えます。そういった意味で、現在利益がでていない会社は敬遠される傾向にあります。ここでいう、利益とは、役員報酬などのオーナー費用を決算書の営業利益に足し戻した「実質利益」のことです。長年事業を行っていると、場合によっては、一時的に赤字になってしまう年もあるかと思います。しかしながら、それが3期続けば、事業の収益性に問題があると買い手から判断されてしまいます。
債務超過とは、資産をすべて売却しても、負債を返済しきれない状態のことです。「銀行借入により、設備投資を行ったが事業が失敗してしまった」「経営不振により赤字が積み重なった」場合などに、資産より負債が大きくなり、債務超過の状態となります。現在利益が出ていて、債務超過が近い将来克服される見込みがあれば、それほど問題とはなりません。しかし、現在の状況では、債務超過が解消できる可能性が低い場合には、シナジーによる高い収益性が見込まれること、高い技術力、ノウハウ、魅力的な販路等の決算書の数字に表れない魅力がより必要になります。
「この会社を引継ぎたい」と思ってもらうためには、事業承継に向けた十分な準備が必要です。中小企業庁が平成28年12月に公表した事業承継ガイドラインでは、円滑な事業承継に向けての5つのステップが紹介されています。
ステップ1
事業承継に向けた準備の必要性の認識
ステップ2
経営状況・経営課題等の把握(見える化)
ステップ3
事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)
ステップ4-1
(親族内・従業員承継の場合)事業承継計画の策定
ステップ4-2
(社外への引継ぎの場合)M&A等のマッチング実施
ステップ5
事業承継・M&Aの実行
自分の会社が、3期連続の赤字であり債務超過の状態であれば、譲渡先を見つけるのに時間がかかるでしょう。しかし、このコラムを読んでいただいた皆様は、すでに、「ステップ1.事業承継に向けた準備の必要性の認識」を完了しています。
数年後に、引継ぎたいと思ってもらえるような会社にするために、どのように自社を磨き上げればよいのか?
次回以降のコラムでご紹介させて頂きます。
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