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社外教育(Off-JT)の活用法/人財教育と事業承継(4)
2022.08.26 | 人財育成

社外教育(Off-JT)の活用法/人財教育と事業承継(4)

前回のコラムに引き続き、人財育成の方法の一つである社外教育「Off-JT」について、ポイントを解説いたします。
「OJT」の解説は、ぜひ前回のコラムをご覧下さい。

前回のコラムに引き続き、人財育成の方法の一つである社外教育「Off-JT」について、ポイントを解説いたします。
「OJT」の解説は、ぜひ前回のコラムをご覧下さい。

●連載「人財教育と事業承継」
※本記事は全5回の連載記事となります。

第1回 なぜ企業と経営者は人材育成に注力すべきなのか?

第2回 事業承継を見据えた企業の後継者育成事例

第3回 社内教育(OJT)の進め方とポイント

第4回 【本記事】

第5回 経営者が意識すべき人材育成における3つのポイント

人財育成の方法における「Off-JT」の位置づけ

前回コラムからの振り返りになりますが、人財育成のカテゴリーは「Off-JT」「OJT」「自己啓発」の3つに分かれています。各カテゴリーの内容は下記のとおりです。

「OJT」
職場における上司と部下の間にある縦割りの関係の中で、上司が部下に対し、ある一定の仕事を任せ、アドバイスを行う中で行われる育成方法のこと。

「Off-JT(研修)」
一定期間、職場・仕事から離れた場で行われる教育訓練のこと。

「自己啓発」
社員が自発的に読書、e-Learning、資格取得等を通して自己学習すること。

前回のコラムの中で、「成人が業務上必要な知識を習得するにあたり、仕事の経験が70%、上司の影響が20%、研修が10%関係している」と解説いたしました。しかし、ここに「時間」という概念を加えると、この見え方が少し変わってきます。

22歳から65歳まで働くおよそ80,000時間の内、研修を受ける時間は皆様の会社では何時間あるでしょうか?当然、会社にとってこの数字は異なりますが、一般社員の場合であれば、1年のうち5日程度が研修に充てられる日だと考えれば、これを積み重ねたところで、22歳から65歳までで100日にも満たないことが想定されます。言い換えれば、期間的には3ヶ月程度で、成人の知識習得の10%分が確保できるのであれば、非常に費用対効果が高いと考えることも可能なのです。

この「時間」の側面で「Off-JT」を捉えれば、人財育成の方法として圧倒的に費用対効果が高いと考えられますが、手法が複数あり、その特徴やメリットを的確に捉える必要があります。

Off-JTの手法と特徴、メリット及びデメリット

「Off-JT」と言っても手法は様々あります。代表的な手法の特徴、メリット、デメリットについて解説します。

①    集合研修

受講者が会議室などに集まって受けるものです。その場にいる全員に対して同じ知識をインプットすることが可能で、一定の学習効果が期待できます。受講場所のレイアウトを工夫すれば、グループディスカッションを取り入れることも容易です。

一方で、参加人数が多くなることが想定されるため、受講者のモチベーション次第で受け身の受講になったり、講師の技量が学習効果に影響を及ぼしたりという注意点もあります。

②    通信教育、e-Learning

知識を習得させたいテーマを比較的安価に、スキマ時間で学ぶことが出来るのがこの手法です。人を集める必要がなく、会社の自席やテレワーク環境で学習することが可能です。

ただし、こちらも本人のモチベーションに大きく左右されます。モチベーションがないままこれを実施させたところで、まったく勉強をせずお金と時間の無駄になってしまうというリスクを含んでいます。

③    外部講座

外部からプロの講師を招いたり、外部研修に参加させたりします。体系化された知識を学ぶことが出来たり、高い品質の教育を受けさせることが出来たり、社内外問わず横のつながりが出来たりすることがメリットとして挙げられます。

この反面、知識の定着にはある程度の期間が必要で即効性がなかったり、自社の状況に合わせた教育内容ではなかったりというケースもあり、実践的ではないことがある、という側面もあります。

Off-JTの計画立案とモニタリング

「Off-JT」を戦略的に自社に取り入れていくためには、計画を立案し定期的に効果測定をすることが重要です。その手法を解説します。

①    誰を参加させるか?

第一に、参加させたい社員を選びます。その社員の現状は、理想との間にどれくらいの差があるのかを確認します。この際、本人と上司の方がともに、事前に解決すべき課題を考える機会をもつ「フィードフォワード」を取り入れると、その後の工程まで非常にスムーズに行うことが可能です。

②    参加者には何が必要か?

前工程で抽出した差について、「この差を、何をすることで埋められるか」を考えます。
具体的な手法については前述した3つの手法や、OJTが選択肢として考えられます。

③    参加者のゴールとは?

理想と現実の差をいかに埋めることが出来たら目標達成になるのか、について考えます。学習効果を測定する際には、参加させたい社員がどのような行動変容をするか、という観点で目標設定をすると良いでしょう。この際、今回限りの教育に終わらせるのではなく、経営戦略の一環としての人財育成として次にどのようなステップがあり、どのような教育が必要になるかまで意識して計画を組み立てることが重要です。

いかがでしたか?

今回は、社外教育「Off-JT」についてその位置づけや手法及びその特徴、計画立案とモニタリング手法について紹介させていただきました。

これらのことを踏まえた上で、自社ではどのように人財育成を行っていくべきか、ぜひ一度ご検討いただけたら幸いです。社員育成の専門家としてご相談をお受けすることも出来ますので、ぜひツグナラコンサルタントまでお問い合わせ下さい。 

次回は人財育成で経営者が心がけておきたいポイントについて解説させていただきますので、ぜひご覧ください。

次回コラムはこちら(2022年9月末公開予定)

千葉 和輝
Writer 千葉 和輝
千葉 和輝
Writer 千葉 和輝
人財育成チーム ディレクター
公認心理師 小・中学校教諭 社会教育主事有資格者 人を大切にする経営学会 団体会員
1977年岩手県盛岡市生まれ。宇都宮大学教育学部卒業後、小学校教諭、及びコンサルティング会社にて人づくりの営業及び研修講師、組織の仕組みづくりを中心に経験を積み、2021年独立。100社以上の人づくり、組織づくりのディレクション及び実務に係る。2022年4月より株式会社サクシード 人財育成チームディレクターに就任。

この著者によるコラム

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