過去2回のコラムでは、事業承継においてなぜ人財育成は重要なのか、人財育成を戦略的に行っている企業の事例紹介を行ってきました。今回と次回のコラムでは、人財育成の方法について、そのポイントを解説します。
過去2回のコラムでは、事業承継においてなぜ人財育成は重要なのか、人財育成を戦略的に行っている企業の事例紹介を行ってきました。今回と次回のコラムでは、人財育成の方法について、そのポイントを解説します。
●連載「人財教育と事業承継」
※本記事は全5回の連載記事となります。
第3回 【本記事】
一般的に、人財育成のカテゴリーは「Off-JT(研修)」「OJT」「自己啓発」の3つに分かれています。各カテゴリーの内容は下記のとおりです。
過去を振り返れば、日本の人財育成は「教室か現場か」「知識か経験か」という2極の間でどちらか一方が重視されながら発展してきました。確かに仕事の経験を通して学ぶ「OJT」は非常に効果が高いと見られており、成人が仕事をするにあたって必要な業務知識を身につけるのは、仕事の経験が70%、上司の薫陶(優れた人柄に感化され、成長を促されること)が20%、研修が10%だと言われています。
これだけを見れば、今回ご紹介する「OJT」が人財育成の方法として圧倒的に優れているとも取れますが、当然、効果的に進めていくためには注意点も存在します。
OJTによる人財育成は、
①上司がやって見せる
②業務内容を説明する
③実際にやらせてみる
④フィードバックする
⑤改善して再度やってみる
という5つのステップで進めていくことが基本となります。
①上司がやって見せる
まずは上司が実際の業務をやって見せることで、部下に業務の全体像をつかんでもらい、仕事の内容を具体的にイメージしてもらいます。
②業務内容を説明する
部下の前でやって見せた業務の背景や、実施内容の意図について一つ一つ丁寧に教えます。その後、部下と質疑応答を重ねることで、業務に対する理解を深めてもらいます。
③実際にやらせてみる
①、②を通して業務理解を深めてもらった上で、今度は実際に部下にやってもらいます。やらせてみる上で、「どこまでできるようになってもらいたいか」という目標を明確に設定することが重要です。目標を達成できた、という成功体験が、部下が自信をつける要因となってくれます。
④フィードバックする
③でやってもらった業務に対し、良かった点、もっと良くなる点をフィードバックします。②では伝えきれなかった業務を進める上でのコツやノウハウも、フィードバックを通して伝えていきます。この段階で、部下の現状を正しく把握した上で、的確なフィードバックを行うことがOJTの成功にもつながります。
⑤改善して再度やってみる
これまでの実践やフィードバックを踏まえ、再度部下に業務をやってもらいます。④と⑤の工程を重ねていく中で、部下が独り立ちできるように支援していきます。「3ヶ月で独り立ちができるようにする」「1日1つは出来ることを増やす」など、短期、中長期の目標を設定して関わることで、改善のためのアドバイスもより良いものになります。
上記ポイントを理解した上でOJTを進めていくことで、効果性高く人財育成を行うことが出来る一方で、見落としてしまいがちな落とし穴もあります。OJTを進める上で特に気をつけるべきポイントは下記の3点です。
①OJTの教育効果は上司に依存してしまう
②学ぶべきタイミングが偶然に依存してしまう
③学びが多いはずの仕事経験が「単なる労働」になってしまう可能性がある
特に③についてはOJT最大の難しさであるといえます。業務が多忙であったり、OJTに対する現場担当者の理解があまりなかったりする場合には、このような状況が発生してしまいます。
いかがでしたか?
今回は、社内教育の手法であるOJTについて、その位置づけや進め方、気をつけるべきポイントについて紹介させていただきました。
これらのことを踏まえた上で、自社ではどのように人財育成を行っていくべきか、ぜひ一度考えてみていただけたら幸いです。専門家としてのアドバイスも出来ますので、ぜひツグナラコンサルタントまでお問い合わせ下さい。
次回は社外教育(Off-JT)について解説させていただきますので、ぜひご覧ください。
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