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財務と事業承継3 買い手企業はどのような視点で決算書を確認しているのか?
2022.07.20 | 事業承継

財務と事業承継3 買い手企業はどのような視点で決算書を確認しているのか?

M&Aを検討するにあたって、買い手企業は、どのような視点で売り手企業の決算書を確認するのでしょうか?本コラムでは、買い手企業が着目するポイントと、M&Aを成功させるために、事前に準備できることをご紹介します。

M&Aを検討するにあたって、買い手企業は、どのような視点で売り手企業の決算書を確認するのでしょうか?本コラムでは、買い手企業が着目するポイントと、M&Aを成功させるために、事前に準備できることをご紹介します。

M&Aにおいて、決算書の数値は買い手の意思決定に影響を与える重要な情報です。前回のコラムでは、この決算書の見方をご紹介しました。それでは、実際にM&Aを検討するにあたって、買い手企業はどのような視点で売り手企業の決算書を確認するのでしょうか?
貸借対照表と損益計算書、この2つがどのように見られるのか、ポイントをまとめてお伝えします。

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1 貸借対照表での着目点

①純資産の部

まず買い手企業が着目するのは、純資産です。純資産は総資産から負債を引いたものであり、自己資金や株主からの出資金、さらに過去から今まで積み上げてきた利益の積み上げの合計です。純資産の額が大きい会社は、これまでの利益が蓄積されており、経営状態が健全な会社といえます。
会社の財務の安全性を表す自己資本比率という指標がありますが、これは貸借対照表の総資産に占める純資産の割合を示しています。
例えば、純資産が100万円、資産が1,000万円であった場合、自己資本比率は10%となります。自己資本比率は買い手企業が着目する重要な経営指標です。自己資本比率の目安は、業種によって大きくことなりますが、中小企業においては20%程度が目安となります。

②資産の部

次に買い手企業が着目するのは、資産の部です。決算書に表示されている土地や設備の価値が時価評価額と大きく乖離していないかという視点でチェックされます。また、商品や材料等の棚卸資産もチェックされるポイントです。棚卸資産が過大に計上されていないか、不良在庫が含まれていないか等は、確認が必要な重要事項だからです。

③負債の部

最後に買い手企業が着目するのは、負債の部における借入金の額です。多額の借入金がある場合、その理由が計画的な設備投資等であった場合には、それほど問題にはなりません。しかし、業績低迷による資金繰り悪化により、膨れ上がった借入金であれば、買い手企業から否定的に取られてしまいます。

2 損益計算書での着目点

①売上高

売上高は、買い手企業にとって大きな判断材料となります。仮に、買い手企業がこれから新規事業を立ち上げたとしても、すぐに多くの売上を獲得することは困難です。事業の立ち上げや成長にかかる時間を大幅に短縮できるため、買い手企業にとって大きな魅力となります。

②営業利益

営業利益も買い手企業が重要視するポイントとなります。売上高に対して営業利益が少ない場合には、その事業の収益性に問題があると判断されてしまいます。初回のコラムでもお伝えしましたが、買い手企業のM&Aの目的は大まかに言ってしまえば、「より一層の利益を生み出すこと」です。そのような意味でも、営業利益が少ない会社は敬遠される傾向にあります。

M&Aを成功させるためには、実際に買い手企業との交渉に入る前に、会社の財務状況を磨き上げておくことが重要です。財務状況の磨き上げには、貸借対照表と損益計算書の両方からのアプローチが必要となります。自社の財務状況をさらに磨き上げるポイントを説明します。

3 貸借対照表からのアプローチ

事業に必要ない資産の処分を行い、貸借対照表のスリム化を行う必要があります。
オーナーの自家用車の買取、不要設備の売却、余分な在庫の削減等、資産を減らすことは、企業経営におけるキャッシュフローの増加にもつながります。
さらに、余分な借入金を減らすことも重要です。貸借対照表のスリム化により、自己資本比率が高まります。自己資本比率が改善することで、金融機関から融資が受けやすくなるほか、企業を売却する際の譲渡価格を高めることにもつながります。

4 損益計算書からのアプローチ

無駄な経費支出の削減による収益力の改善が有効です。特に注意していただきたいのは、会社の費用と社長個人の費用の線引きの明確化です。中小企業においては、交際費や保険料など、社長個人の費用が会社の経費として計上されている場合もあるため、ご注意ください。

今回のコラムでは、「この会社であれば引き継ぎたい」と思ってもらうための、財務状況の磨き上げの重要性をお伝えしましたが、実際に財務の健全化に取り組むには、大変な時間と労力が必要となります。次回のコラムでは、財務を健全化するために利用できる国の施策についてご紹介します。

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