「幹部社員に会社を継ぎたい」「ある会社から会社を引き継いでくれとの依頼があるが社内に任せられる人がいない」という相談をよくいただきます。親族内に後継者がいなければ、「今いる社員のなかから誰か」という選択肢になってきます。また、後継経営者が40%しかないない現状では業界の若手経営者に事業引継ぎの依頼が同業者や周辺業界の会社から寄せられるのは自然な流れと言えます。
「幹部社員に会社を継ぎたい」「ある会社から会社を引き継いでくれとの依頼があるが社内に任せられる人がいない」という相談をよくいただきます。親族内に後継者がいなければ、「今いる社員のなかから誰か」という選択肢になってきます。また、後継経営者が40%しかないない現状では業界の若手経営者に事業引継ぎの依頼が同業者や周辺業界の会社から寄せられるのは自然な流れと言えます。
ただ、多くの中小企業においては親族以外の社員を経営者として指名することはできません。そんな中、親族以外の経営人財を育成して成長を果たしている会社も地域には数多くあります。今回は会社を引き継げる経営人財の育成について5つのポイントをご紹介します。
まず、早い段階で経営者を経験させることが肝要です。権限を与え事業運営の責任を持つことが最も経営人財育成には効果があります。老舗企業では入社間もないころに別会社を作って経験させたり、失敗の経験を積んだりさせる会社もあるほどです。「勝ちに不思議な勝ち無し、負けに不思議な負けなし」です。経営者になってからのジャッジミスは倒産にもつながりますが、一事業や新サービスにおいての失敗を積むことも多くの場合において経験を蓄積する貴重な機会です。
また肩書だけついで権限は依然、社長、会長にあるという会社も増えています。経営は実学から学ぶことが重要です。少しでも権限を委譲して自分で判断させる機会を設けることが必要です。
外部の経営幹部育成コースやMBAの単科コースなどに一定期間派遣して、異業種や外部経営人財との触れ合いのきっかけを作ることも経営者意識を持たせるために効果的です。弊社でも「とちぎ経営人財塾」という一年間の経営人財育成スクールを毎年開催していますが、派遣される幹部社員の方の成長は著しいものがあります。30歳から40歳の間に経営を学ぶことが最も効果が高いように思えます。業務時間を割いてでも早い段階での外部で経営の学びを得る機会を与えることが重要です。
この人だけと決めずに、毎年1名ずつ外部研修を含め同じ学びを共有できる社員が増えることで経営者視点を持った幹部の輪ができます。その結果、会議での発言や日々の取組が経営者側の発想になり会社としての効果が期待できます。経営を学んでいる若手幹部が3人ぐらいいると現場の取組もレベルアップし、自ら行動する組織になっていきます。30後半から40前半に経営人財と言える管理職が増えると組織の力は倍増します。
会社を継ぐ際に最後に引き継がれる分野が経理、財務分野です。特に同族企業では最後まで引き継がれずに、引き継ぐこと決まってから財務状況を知ったというケースが多いです。そのため、銀行対応や資金繰りについて学ぶことがなく引き継いでしまうと、その後が大変です。経営幹部になっていく際にある程度資金繰りや銀行対応のイロハを経験、学ばせていくことが望ましいです。
中小企業においては借入金がある場合、代表者が会社の連帯保証人になっているケースがほとんどです。そのため幹部社員に引き継いでほしくても理解を得られず、結果として親族への承継を強いられる事例がこれまで多かったです。しかし、今は経営者保証のガイドラインが制定され各金融機関なども運用する際の指針にしています。必ずしも社員である後継者が保証人にならなければいけないという時代ではありません。
弊社のお客様では、経営人財を育成しだしてから5年もすると社内の運営もその経営人財が中心になって行えるようになり、社長は次の一手を考えることや将来への投資に力を入れることができるようになっていきます。経営人財のいる会社は同業種に比べても、収益性や成長性が安定しており、優良企業が多いです。今後は地方創生においてもどれだけ地域に経営人財がいるかどうかにかかっている時代になっていきます。時間もお金もかかる取り組みとなりますが、すぐにでも地域の明日のため経営人財の育成に取り組んでいただければ幸いです。
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