「中小企業とGX(グリーントランスフォーメーション)」と題した全3回の連載記事の第2回です。前回はカーボンニュートラルや脱炭素経営、GXなど、言葉の整理と取り組むメリットを紹介しましたが、今回は一歩進んで、中小企業が実際に「脱炭素経営」に取り組むにあたってのポイントを解説します。
「中小企業とGX(グリーントランスフォーメーション)」と題した全3回の連載記事の第2回です。前回はカーボンニュートラルや脱炭素経営、GXなど、言葉の整理と取り組むメリットを紹介しましたが、今回は一歩進んで、中小企業が実際に「脱炭素経営」に取り組むにあたってのポイントを解説します。
前回の記事でご紹介した「脱炭素経営」に取り組む意味や重要性を理解しても、実際に自社で取り組む場合に何から始めれば良いのか、どこに向かっていくべきなのか分からないと思います。
まず、脱炭素経営を進めていく上でポイントになるのが、「知る」「測る」「減らす」という3つのステップを踏むことです。
●連載:中小企業とGX
第1回:今さら聞けないカーボンニュートラルの基本
第2回:【本記事】
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まずは脱炭素経営やGX対応の必要性や重要性を理解するところから始めましょう。温室効果ガスを排出し続けると地球および私たちはどうなるのか、今取り組むことにどういう意味があるのか、なぜ中小企業も脱炭素経営に取り組む必要があるのかなど、1つ1つを整理していくと、「未来に起こりうるリスクの低減と成長のチャンス」という取り組むべき理由が見えてきます。
●もし温室効果ガスを排出し続けるとどうなるのか?
・気候変動による悪影響が起こりうる基準値を越えてしまう
・豪雨や猛暑など自然災害のリスクが高まる
・自然生態系への影響が出てくる
・食料および水不足に繋がりかねない
●中小企業が脱炭素経営に取り組むことで期待できること
・競争優位性を構築できる
・光熱費・燃料費の削減ができる
・知名度や認知度の向上が期待できる
・社員のモチベーション向上や人材獲得力の強化に繋がる
・資金調達において有利に働く
それらの点を踏まえて、自社で何ができるのか、脱炭素経営を通じてどのような付加価値を提供できるのか、その方針を決めていくのが最初のステップです。また、自社の経営戦略にリンクさせて考えることも忘れてはいけません。ボランティアやCSR活動ではなく、経営戦略として脱炭素経営に取り組むことで、CO2削減の効果の面でも、自社を成長させる面でもプラスにはたらきます。
次が、自社のCO2排出量を「測る」です。具体的にどのように測るのかという部分では、日本商工会議所が提供している「CO2チェックシート」を利用するのがもっとも手軽で簡単な方法でしょう。毎月の電気、ガス、ガソリン、灯油などの領収書に記載されている、使用量、料金を記入することで、自動でCO2排出量と一エネルギー消費量を自動で算出することができます。
他にも専門業者がCO2排出量管理システムを多数提供しているので、自社のニーズと合致するかを明確にした上でご活用ください。なお、CO2排出量管理システムは、自社だけでなく、サプライチェーン全体でCO2削減の目標を定め、外部への開示・報告が必要な場合に重宝します。
3つ目が、「減らす」というステップです。自社の経営戦略、事業活動に合わせた形で「減らす」ための計画を立案することが重要です。
●「減らす」ためにできること
・太陽光発電の導入
・再生エネルギーの購入
・省エネ性能が高い機械設備への変更
・生産性向上を目的とした作業工程の見直し
・省エネ性能の高い製品や技術を開発する
「減らす」ためにできることは例をあげれば、きりがありませんが、考え方のアプローチとしては2つあります。
1つ目が、日々の事業活動の中に脱炭素に繋がる取り組みを盛り込んでいくというアプローチです。事業で使うエネルギーを太陽光発電や再生エネルギーで賄ったり、使用する車や資機材を省エネ性能が高いものに変更したりすることが、それに当たります。社内の照明をLED照明に変えるといったシンプルな取り組みでもOKです。
2つ目が、経営戦略として脱炭素を目的にした新事業の創出や、新分野への展開を図るというアプローチです。例えば太陽光や風力、地熱発電で供給側に回ったり、自社の事業に関連した領域で省エネ性能が高い製品や技術の開発を行ったりすることが該当します。2つのアプローチに優劣はないので、自社に合ったアプローチを選ぶのが重要です。
ここまでの説明で脱炭素経営をするメリット、取り組み方、具体的に何をすべきかが明確になったと思います。ここまでお伝えしてきたように、中小企業でもちょっとした工夫やアイデアがあれば脱炭素経営をはじめることができます。一足飛びに効果を出そうとするのではなく、「知る」「測る」「減らす」を一歩ずつ進めていく姿勢で、まずははじめてみることが重要です。
次回は、脱炭素経営をきっかけに自社を成長させ、大きな変化をもたらしたい時に有効な公的な施策とその活用法をご紹介いたします。
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