代表者の年齢推移や事業を取り巻く環境の変化から中小企業における事業の引継ぎ問題はさらに深刻化してくるでしょう。近年、小規模な地域企業においてもM&Aの手法を活用するケースが増えています。弊社にも「私の会社を売却するといくらで売れるのか」「このエリアに進出したいのだが、一から営業所を立ち上げるのではなくM&Aで成長させたい」といった相談を数多くいただきます。今後成熟した日本社会で成長を模索する企業にとってM&Aは成長戦略の一つとして準備しておくべき取り組みといえるでしょう。
そのときに備えて、ここでは、実際に引き継ぐ際に気をつけるポイントについてご紹介していきます。
代表者の年齢推移や事業を取り巻く環境の変化から中小企業における事業の引継ぎ問題はさらに深刻化してくるでしょう。近年、小規模な地域企業においてもM&Aの手法を活用するケースが増えています。弊社にも「私の会社を売却するといくらで売れるのか」「このエリアに進出したいのだが、一から営業所を立ち上げるのではなくM&Aで成長させたい」といった相談を数多くいただきます。今後成熟した日本社会で成長を模索する企業にとってM&Aは成長戦略の一つとして準備しておくべき取り組みといえるでしょう。
そのときに備えて、ここでは、実際に引き継ぐ際に気をつけるポイントについてご紹介していきます。
ある日突然、取引先の高齢オーナーAさんから「私も歳をとった。会社は毎年利益を出しているが続けていける気力がない。あなたは信頼できる経営者だ。どうか会社を引き継いでくれないだろうか。」と問われたら、あなたはどう答えますか?そして高齢オーナーさんの会社をどのように評価し、どのような判断軸で引き受けを決断しますか?これまで、事業承継の現場でアドバイスしてきた経験から検証していくと、次の3つの視点をもってM&Aを検討すると引き受けた後うまくいくケースが多いです。
1.自社の既存事業とつなげて、相乗効果がイメージできる
2.M&Aについて外部に相談できる専門家がいるか
3.引き受ける際の価格については長期的な投資との認識で判断する
まず、1つ目の事業をどう伸ばしていくかというテーマについては、引き受ける事業を自分が経営者となってどのように経営していくかをリアルに想像できるかがポイントになります。特にどのように利益を伸ばしていくかだけでなく、その事業で働く社員とどのように関わっていくかを想像すると買収後うまくいくケースが多いです。その中で、自分自身のビジネスとの相乗効果をどのように出すかをイメージできるとなお良しと言えます。
2つ目の事業を見る目には、高度な知識かつ冷静な視点が求められます。そのためM&Aに関する法律、税務、財務、事業について相談できる専門家が必要になります。例えば財務諸表には表れていない簿外負債や未払金が存在する可能性や、引き受ける事業によっては得意先との契約に契約解除条項が含まれているなどのリスクがあります。引き受け後に発覚した債務などは、基本的にはこちら側が責任を負うことになりますので注意しましょう。
3つ目の引き受ける際の価格についてです。中小企業のM&Aにおいては引き受ける金額を長期的な目線で回収するという視点がポイントです。中小企業の収益は外部環境の変化で大きく変動します。そのような中で短期間での金額回収を目指すと、誰かが犠牲になります。働く社員に必要以上の負荷がかかり、不平不満が増幅してしまいキーマンと言われる人材が辞めてしまうなどの事象が発生することが多々あります。人材の離反は同時に取引先を失うことにもつながります。投資ファンドの様に何年で利益○○円というような急成長を求めず、中小企業経営の一番の財産である社員を大切にした成長を目指すほうがうまくいきます。ある会社では出た利益はまずは社員に分配すると約束し、親会社から派遣された役員は役員報酬を一銭ももらわず、関与も極力少なくすることで自発的な改革を促し、M&Aを成功させました。
今後、M&Aは中小企業の成長の中で有効な成長戦略になるでしょう。基礎知識とポイントを押さえることができれば、引き継ぎを希望する会社からの相談に対しても前向きに望むことができるでしょう。今後M&Aは必ず企業成長の一つの手段になります。そのときに備えて、以上の3つを参考にしていただければ幸いです。
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