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社内教育(OJT)の進め方とポイント/人財教育と事業承継(3)
2022.07.30 | 人財育成

社内教育(OJT)の進め方とポイント/人財教育と事業承継(3)

過去2回のコラムでは、事業承継においてなぜ人財育成は重要なのか、人財育成を戦略的に行っている企業の事例紹介を行ってきました。今回と次回のコラムでは、人財育成の方法について、そのポイントを解説します。

過去2回のコラムでは、事業承継においてなぜ人財育成は重要なのか、人財育成を戦略的に行っている企業の事例紹介を行ってきました。今回と次回のコラムでは、人財育成の方法について、そのポイントを解説します。

●連載「人財教育と事業承継」
※本記事は全5回の連載記事となります。

第1回 なぜ企業と経営者は人材育成に注力すべきなのか?

第2回 事業承継を見据えた企業の後継者育成事例

第3回 【本記事】

第4回 社外教育(Off-JT)の効果的な活用法

第5回 経営者が意識すべき人材育成における3つのポイント

人財育成の方法における「OJT」の位置づけ

一般的に、人財育成のカテゴリーは「Off-JT(研修)」「OJT」「自己啓発」の3つに分かれています。各カテゴリーの内容は下記のとおりです。

  • 「OJT」
    職場における上司と部下の間にある縦割りの関係の中で、上司が部下に対し、ある一定の仕事を任せ、アドバイスを行う中で行われる育成方法のこと。
  • 「Off-JT(研修)」
    一定期間、職場・仕事から離れた場で行われる教育訓練のこと。
  • 「自己啓発」
    社員が自発的に読書、e-Learning、資格取得等を通して自己学習すること。

過去を振り返れば、日本の人財育成は「教室か現場か」「知識か経験か」という2極の間でどちらか一方が重視されながら発展してきました。確かに仕事の経験を通して学ぶ「OJT」は非常に効果が高いと見られており、成人が仕事をするにあたって必要な業務知識を身につけるのは、仕事の経験が70%、上司の薫陶(優れた人柄に感化され、成長を促されること)が20%、研修が10%だと言われています。

これだけを見れば、今回ご紹介する「OJT」が人財育成の方法として圧倒的に優れているとも取れますが、当然、効果的に進めていくためには注意点も存在します。

OJTの基本的な進め方

OJTによる人財育成は、
①上司がやって見せる
②業務内容を説明する
③実際にやらせてみる
④フィードバックする
⑤改善して再度やってみる

という5つのステップで進めていくことが基本となります。

①上司がやって見せる

 まずは上司が実際の業務をやって見せることで、部下に業務の全体像をつかんでもらい、仕事の内容を具体的にイメージしてもらいます。

②業務内容を説明する

 部下の前でやって見せた業務の背景や、実施内容の意図について一つ一つ丁寧に教えます。その後、部下と質疑応答を重ねることで、業務に対する理解を深めてもらいます。

③実際にやらせてみる

 ①、②を通して業務理解を深めてもらった上で、今度は実際に部下にやってもらいます。やらせてみる上で、「どこまでできるようになってもらいたいか」という目標を明確に設定することが重要です。目標を達成できた、という成功体験が、部下が自信をつける要因となってくれます。

④フィードバックする

 ③でやってもらった業務に対し、良かった点、もっと良くなる点をフィードバックします。②では伝えきれなかった業務を進める上でのコツやノウハウも、フィードバックを通して伝えていきます。この段階で、部下の現状を正しく把握した上で、的確なフィードバックを行うことがOJTの成功にもつながります。

⑤改善して再度やってみる

 これまでの実践やフィードバックを踏まえ、再度部下に業務をやってもらいます。④と⑤の工程を重ねていく中で、部下が独り立ちできるように支援していきます。「3ヶ月で独り立ちができるようにする」「1日1つは出来ることを増やす」など、短期、中長期の目標を設定して関わることで、改善のためのアドバイスもより良いものになります。

OJTを進める上で気をつけるべきポイント

上記ポイントを理解した上でOJTを進めていくことで、効果性高く人財育成を行うことが出来る一方で、見落としてしまいがちな落とし穴もあります。OJTを進める上で特に気をつけるべきポイントは下記の3点です。

①OJTの教育効果は上司に依存してしまう

②学ぶべきタイミングが偶然に依存してしまう

③学びが多いはずの仕事経験が「単なる労働」になってしまう可能性がある

特に③についてはOJT最大の難しさであるといえます。業務が多忙であったり、OJTに対する現場担当者の理解があまりなかったりする場合には、このような状況が発生してしまいます。

いかがでしたか?

今回は、社内教育の手法であるOJTについて、その位置づけや進め方、気をつけるべきポイントについて紹介させていただきました。

これらのことを踏まえた上で、自社ではどのように人財育成を行っていくべきか、ぜひ一度考えてみていただけたら幸いです。専門家としてのアドバイスも出来ますので、ぜひツグナラコンサルタントまでお問い合わせ下さい。

次回は社外教育(Off-JT)について解説させていただきますので、ぜひご覧ください。

次回コラムはこちら

千葉 和輝
Writer 千葉 和輝
千葉 和輝
Writer 千葉 和輝
株式会社サクシード 人財育成チーム ディレクター
公認心理師 小・中学校教諭 社会教育主事有資格者 人を大切にする経営学会 団体会員
1977年岩手県盛岡市生まれ。宇都宮大学教育学部卒業後、小学校教諭、及びコンサルティング会社にて人づくりの営業及び研修講師、組織の仕組みづくりを中心に経験を積み、2021年独立。100社以上の人づくり、組織づくりのディレクション及び実務に係る。2022年4月より株式会社サクシード 人財育成チームディレクターに就任。

この著者によるコラム

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