寝屋川
寝屋川市
「おめでとう」と「ありがとう」の輪を広げ伝える街のケーキ店
株式会社オンザテーブル
手作りのケーキと「心の満足」を特別な日のテーブルへ
経営理念
理念(会社が大切にしている考え方)
「ありがとう」を集めよう
「ありがとう」を伝えよう
大事な人を喜ばせようと考えた時に、まず相手のことを想像し、その為に準備し、最適なタイミングを図って行動すると思います。相手が喜び、出てくる言葉はきっと「ありがとう」だろうと思います。「感動」は相手の「想像の少し上」にいつも存在します。「ありがとう」も相手の「想像の少し上」に存在します。相手を想い、準備し、行動できる人間であろう。
使命感(会社が社会で実現したいこと)
心の満足を提供する
私たちはお菓子を提供すると同時に、最高級な時間の使い方を提供し、一生に残る思い出を提供している。言い換えれば、私たちの仕事は心の満足を提供する仕事と言えます。お客様だけでなく携わる全てのスタッフが物心両面で豊かになることを目指します。
ミッション(会社の社会に対する想い)
街の資産価値を上げる(店づくりは人づくり、店づくりは街づくり)
私たちが考える「良い店」の定義は、地域の人々に愛され続けること。
「良い店」にするには、いい人財を育てることが欠かせません。そして「良い店」の存在がコミュニティを形成し、雇用を生み出し、納税し、文化をつくり、街を変える源になっていくと考えます。「この街にこのお店があってよかった」そう言われるような、地域の人々に愛され続ける「良い店」であろう。
代表者メッセージ
弊社のルーツであるケーキ店「ティコラッテ」は、2003年に「心の満足」をコンセプトにして、京阪香里園にオープンしました。
お持ち帰りだけではなく、できたその場の雰囲気でケーキを召し上がっていただけるカフェスペースも併設し、スポンジや焼き菓子が焼き上がる香りの中で、ゆったりとした時間をお過ごしいただけます。
ケーキは旬の素材を中心に25種類以上あり、紅茶はスリランカのムレスナ社と提携し、その年に採れる最高の茶葉だけを入荷しています。
今後もお客様の「特別な日」を少しでもお手伝いできたらと考えております。またお客様にとってより近くの存在を目指し、様々なご要望にお応えできるよう努めていきます。
代表取締役社長 岡嶋 宏明
私たちのこだわり
23歳で「ティコラッテ」1店舗目を構える
大阪府内にある私の実家では祖父の代から寝具店を営んでおり、子どもの頃からお客様や業者などの大人たちに囲まれ生活をしていました。私は次男だったこともあり承継はあまり考えてはいませんでしたが、家業を通じて、人を集めて物を売りお金をいただく「商い」はとても身近なものでした。
高校卒業後は大学の外国語学部に進学し、いずれ英語を使う職業に携われたらと思っていましたが、私たちの世代は就職氷河期であり、卒業しても安定した職に就くことは困難だという認識が既にあり、未来が明るいとは思えないような状況でした。将来への不安を抱えながら学生生活を過ごしていた二十歳頃、大阪でカフェブームが起こり、その発信地である南船場のカフェでアルバイトをすることになったことで、飲食業で身を立てていくことを意識し始めました。
そして大学卒業後の23歳頃にはケーキ屋を始めようと決め、同じカフェで働いていた10歳上のシェフパティシエを引き抜き、店舗の物件決定から3ヵ月後の2003年11月、寝屋川市の香里園駅近くに、洋菓子の製造販売にカフェと小売りを加えた業態のケーキ店「ティコラッテ」をオープンしました。
若かったこともあり、どれだけ商品を作れるのか、どのくらいお客様が来るのか、半年後どうなるかなどの計画も立てておらず、次々と起こるハプニングを勢いと気力でどうにか乗り越えてきたという感じでした。求人募集をしても応募者が3人しか集まらずに人手不足のまま準備に追われるなど、今から振り返ると反省点ばかりです。
小さな店でもできるお客様に向き合うサービスを徹底
それでもオープン初日から80万円という予想をはるかに上回る売上を達成し、それが3日間続いたことで「このまま順調にやっていける」と思っていました。
翌月はクリスマスだったこともあり、売り上げは安定していましたが、年明けから徐々に売り上げが減少し、オープンから半年後には日次の売上が3万円を切るようになりました。思えばそれは「オープン景気」後の減少期だったのですが、減っていく売上を見ながら、理由も対策もわからず「このままでは潰れる」という怖さを味わいました。
苦しい中でも立て直していくために「ケーキを食べる前の段階で、お客様をどうやったら笑顔にできるか」を考え始めました。そのうち、大事なのは商品だけではなくお客様への向き合い方であることに改めて気付き、寒い日には紅茶をサービスするなど、15坪ほどの小さな店でもできるお客様一人ひとりに向き合ったサービスを徹底するようにしていきました。お客様を想う丁寧なサービスを続けていった結果、人が人を呼び、ガラガラだった店は、3年目には行列ができるほどになりました。自分自身が「目の前の人を喜ばせよう」と行動を起こせるようになったことで、少しずつ状況が好転していったように思います。この3年間は苦しい時期ではありましたが、試行錯誤を重ねる中でお店としての理念が生まれた時期でした。当時来てくれたお客様は今でも来てくれています。私にとって本当に濃密で思い出深い経験になっており、「石の上にも3年」という言葉を実感しています。
「イズム」消失の危機は「ありがとう」の可視化で回避
お客様が店に入り切らなくなってきたことから、創業から4年後の2007年に、寝屋川市豊野町に2店舗目をオープンし、そのタイミングで株式会社オンザテーブルを設立しました。より多くのお客様に親しんでもらいたいと事業規模の拡大を決意しましたが、法人化に踏み切る際にはやはり勇気がいりました。
2店舗目の敷地は、1店舗目の約10倍の150坪となったことで、店頭に並べる商品数や種類も必然的に多くなり、作り手や販売する人員も増えました。しかし、拠点が増えたことでお客様への対応や新人教育も追いつかなくなり、お店の理念の伝達や行動指針の徹底が難しくなっていきました。正直なところ、お店が全然回らなくなってしまいました。
同時に、店や会社への私自身の想いが強すぎることで、社員に100点満点を求めてしまい、80点では褒めてあげられない心理状態になってしまっていたことを猛省しました。本来、80点でも十分にすごいことなので、それならば期待値の基準を60点に置くように考え方を変えることにしました。そうすると自分の中で「ありがとう」という気持ちが増え、見える景色が大きく変わりました。
また、社員一人ひとりのケアやサポートをしたくても、私ひとりだけでは間に合わないと感じる場面も増えました。そこでコミュニケーションを促し、「ありがとう」を言い合える仕組みを作りたいという思いから、「サンクスカード」を導入しました。社内に設置したポストに投函された「ありがとう」が、次の月の給料明細とともに届く仕組みです。「月5枚のサンクスカードを書けば500円が支給される」というインセンティブを付けて、より「ありがとう」が増えやすい環境も整えました。
また、月一回のミーティング時には、もらって一番嬉しかったカードを社員から集め、それらを必ず見られる場所に貼り出すことで、やる気と興味を刺激し、取り組みが継続できるような工夫をしています。
導入時は「社長がまた変なことを始めた」と思われていたようですが、サンクスカードを始めてから、「ありがとう」を文字で可視化したことで、その場では伝わりきらなかった部分まで感謝が伝わるようになり、社員同士の相互理解がさらに進み、店内もいい雰囲気になっていきました。また、仕事に不慣れでミスが多かった新人の子を先輩社員たちが全員でサポートし合う場面がすごく増えました。最近ではお世話になっている税理士さんに社員がサンクスカードを送るなど、社内のみならず、多くの関係者の間で「ありがとう」の輪は広がり、独自の文化として根づいてきているのを感じています。
お客様の「特別な日」のため、ケーキ作りへの意識と技術を高める
現在は創業の地である寝屋川市を中心に6店舗を構えるまでになりました。大阪府内で展開する中規模チェーン店とバッティングする場面が多くなり、近隣に大手コーヒーチェーン店ができた時には売上が若干減ったこともありますが、地域の方の「特別な日」に寄り添い、喜んでもらうことを徹底することで独自性を貫いていけると考えています。
お客様の大切な人の誕生日をサプライズ演出でお祝いする「サプライズケーキ」もその一端です。お客様に誕生日の主役を連れてきてもらい、音楽や照明、キャンドル等の演出で大切な方の誕生日をお祝いします。現在はコロナ禍で休止中ですが、弊社のパティシエが教える「ケーキ教室」とともに、店や仕事を通じて地域のお客様とふれ合う機会を設けるようにしました。
ケーキや焼き菓子の種類はあえて豊富にしていて、ショーケースには常に20から30種類のケーキを置くようにしています。中規模のケーキ店でありながら選べる楽しさがあるのは、大手チェーンやコンビニスイーツに負けない強みです。
そこに関連して、ショーケースに並べるケーキを選出する「セレクション」という取り組みは、パティシエのモチベーションを上げる工夫の一つです。入社1年目からシェフまでのパティシエ約20人が考え、試作したケーキを全員で試食し点数を付けて、合計得点の高いものがショーケースに並べられます。社員は5点、私は10点の持ち点となっており、過去に選出されたケーキの中にはレギュラーメニューになったものもあります。この取り組みは、2店舗目を設立し、作り手が増えた時に、社員同士の研鑽のために始めました。根底には「全員にケーキを作る機会を与えてあげたい」という気持ちと、客観的な意見を受け入れ成長の機会としてほしいという経営者としての願いがあります。成長するためには「美味しい」だけではなく、「美味しくない」と言われることにも大きな意味があります。他者の視点を取り入れることで「自分が作ったケーキはお金を出して買ってもらえる価値があるのか?」といった別角度での視野を持つことができるようになります。これは作り手がサービスの先にいるお客様を意識し、ケーキで商売をするスタートラインに立つことでもあります。
日頃の会話に理念を散りばめ浸透させる
3本柱となっている理念のうち「『ありがとう』を集めよう、『ありがとう』を伝えよう」という言葉は、サンクスカードを通じて新たに生まれた文化を大事にしたいと考え、後から追加しました。
「心の満足を提供する」と「街の資産価値を上げる」という2本の理念については、創業当初から社員に話し伝えてきたことになります。経営計画書をまとめる際に改めて明文化しました。
共通の理念として浸透させていくため、入社時のオリエンテーションで時間をとり話をするほか、日頃から社内連絡や会話の随所に理念を散りばめ、アクションを起こす際の動機として伝えています。
外的変化を「付加価値を高めるきっかけ」と捉え、BtoBへ拡大
自宅で大切な人を祝うシーンは生活に根差していることから、リーマンショックやコロナ禍等は特に影響はありませんでしたが、近年の原材料の高騰は今までにない大きな出来事だといえます。お客様はおおよその予算でケーキを購入する方が多いため、いつもの数より1個減らすといった行動をするようになりました。そこで、値上げではなく「付加価値を高めるきっかけ」と考えるようにして、新たなサービスを生み出せるように計画を練り始めています。
その第一歩として、今まではBtoC(対消費者ビジネスだったところを、今後はBtoB(対企業)にもサービスを拡大できるよう準備を進めています。地元企業の記念事業などに利用してもらえるように、焼き印やフードプリントで企業ロゴやメッセージを入れた創立・周年記念のセット商品等を提供するサービスを構築しているところです。並行してECサイトのリニューアルを行い、来年(2023年)8月までに提供できるようにしたいと考えています。
「人が作る」過程を大事にしながら効率化と拡大を図る
今後BtoBに踏み出し、製造業として拡大していくには、効率化も考えていかねばなりません。現在は拠点毎に製造を行っていますが、M&Aなどを活用してセントラルキッチン(集中調理施設)を設け生産効率を高められるようにすることも視野に入れています。一気に作り、一気に流通できるシステムを作れば、今まで構築を進めてきたECサイトもより意義のあるものになるはずです。
ただ、大量生産方式を進め過ぎてしまうと、仲間やお客様を意識したサービスなど、社員とともに築き上げてきた弊社の良さが失われてしまいかねないため、両立できる方法を模索している状況です。もし新たな生産方式に踏み出すとしても「人が作る」部分は残し、単なる作業にするのではなく、作り手のクリエイティブなモチベーションも維持していきたいという想いがあります。M&Aで事業を譲り受けた場合も、弊社の理念をかけ合わせながら展開していくことで、効率化を進めつつも手仕事の良さを残せるのではないかと考えています。
また、既存のビジネスモデルとは異なることにもチャレンジしたいと思っています。例えば、ケーキ製造の上流にある「生産」過程に着手し、時期により数や価格の変動が大きいイチゴの栽培プラントと協業するなども面白いかもしれません。ケーキ用のイチゴが安定して調達できるようになれば、そこからまた新たな事業を創り出せるかもしれませんし、生産地と弊社のケーキとのタイアップにより、付加価値を創出できるようになれば、ブランディングにも繋がるのではないかと考えています。
23歳で「ティコラッテ」1店舗目を構える
大阪府内にある私の実家では祖父の代から寝具店を営んでおり、子どもの頃からお客様や業者などの大人たちに囲まれ生活をしていました。私は次男だったこともあり承継はあまり考えてはいませんでしたが、家業を通じて、人を集めて物を売りお金をいただく「商い」はとても身近なものでした。
高校卒業後は大学の外国語学部に進学し、いずれ英語を使う職業に携われたらと思っていましたが、私たちの世代は就職氷河期であり、卒業しても安定した職に就くことは困難だという認識が既にあり、未来が明るいとは思えないような状況でした。将来への不安を抱えながら学生生活を過ごしていた二十歳頃、大阪でカフェブームが起こり、その発信地である南船場のカフェでアルバイトをすることになったことで、飲食業で身を立てていくことを意識し始めました。
そして大学卒業後の23歳頃にはケーキ屋を始めようと決め、同じカフェで働いていた10歳上のシェフパティシエを引き抜き、店舗の物件決定から3ヵ月後の2003年11月、寝屋川市の香里園駅近くに、洋菓子の製造販売にカフェと小売りを加えた業態のケーキ店「ティコラッテ」をオープンしました。
若かったこともあり、どれだけ商品を作れるのか、どのくらいお客様が来るのか、半年後どうなるかなどの計画も立てておらず、次々と起こるハプニングを勢いと気力でどうにか乗り越えてきたという感じでした。求人募集をしても応募者が3人しか集まらずに人手不足のまま準備に追われるなど、今から振り返ると反省点ばかりです。
小さな店でもできるお客様に向き合うサービスを徹底
それでもオープン初日から80万円という予想をはるかに上回る売上を達成し、それが3日間続いたことで「このまま順調にやっていける」と思っていました。
翌月はクリスマスだったこともあり、売り上げは安定していましたが、年明けから徐々に売り上げが減少し、オープンから半年後には日次の売上が3万円を切るようになりました。思えばそれは「オープン景気」後の減少期だったのですが、減っていく売上を見ながら、理由も対策もわからず「このままでは潰れる」という怖さを味わいました。
苦しい中でも立て直していくために「ケーキを食べる前の段階で、お客様をどうやったら笑顔にできるか」を考え始めました。そのうち、大事なのは商品だけではなくお客様への向き合い方であることに改めて気付き、寒い日には紅茶をサービスするなど、15坪ほどの小さな店でもできるお客様一人ひとりに向き合ったサービスを徹底するようにしていきました。お客様を想う丁寧なサービスを続けていった結果、人が人を呼び、ガラガラだった店は、3年目には行列ができるほどになりました。自分自身が「目の前の人を喜ばせよう」と行動を起こせるようになったことで、少しずつ状況が好転していったように思います。この3年間は苦しい時期ではありましたが、試行錯誤を重ねる中でお店としての理念が生まれた時期でした。当時来てくれたお客様は今でも来てくれています。私にとって本当に濃密で思い出深い経験になっており、「石の上にも3年」という言葉を実感しています。
「イズム」消失の危機は「ありがとう」の可視化で回避
お客様が店に入り切らなくなってきたことから、創業から4年後の2007年に、寝屋川市豊野町に2店舗目をオープンし、そのタイミングで株式会社オンザテーブルを設立しました。より多くのお客様に親しんでもらいたいと事業規模の拡大を決意しましたが、法人化に踏み切る際にはやはり勇気がいりました。
2店舗目の敷地は、1店舗目の約10倍の150坪となったことで、店頭に並べる商品数や種類も必然的に多くなり、作り手や販売する人員も増えました。しかし、拠点が増えたことでお客様への対応や新人教育も追いつかなくなり、お店の理念の伝達や行動指針の徹底が難しくなっていきました。正直なところ、お店が全然回らなくなってしまいました。
同時に、店や会社への私自身の想いが強すぎることで、社員に100点満点を求めてしまい、80点では褒めてあげられない心理状態になってしまっていたことを猛省しました。本来、80点でも十分にすごいことなので、それならば期待値の基準を60点に置くように考え方を変えることにしました。そうすると自分の中で「ありがとう」という気持ちが増え、見える景色が大きく変わりました。
また、社員一人ひとりのケアやサポートをしたくても、私ひとりだけでは間に合わないと感じる場面も増えました。そこでコミュニケーションを促し、「ありがとう」を言い合える仕組みを作りたいという思いから、「サンクスカード」を導入しました。社内に設置したポストに投函された「ありがとう」が、次の月の給料明細とともに届く仕組みです。「月5枚のサンクスカードを書けば500円が支給される」というインセンティブを付けて、より「ありがとう」が増えやすい環境も整えました。
また、月一回のミーティング時には、もらって一番嬉しかったカードを社員から集め、それらを必ず見られる場所に貼り出すことで、やる気と興味を刺激し、取り組みが継続できるような工夫をしています。
導入時は「社長がまた変なことを始めた」と思われていたようですが、サンクスカードを始めてから、「ありがとう」を文字で可視化したことで、その場では伝わりきらなかった部分まで感謝が伝わるようになり、社員同士の相互理解がさらに進み、店内もいい雰囲気になっていきました。また、仕事に不慣れでミスが多かった新人の子を先輩社員たちが全員でサポートし合う場面がすごく増えました。最近ではお世話になっている税理士さんに社員がサンクスカードを送るなど、社内のみならず、多くの関係者の間で「ありがとう」の輪は広がり、独自の文化として根づいてきているのを感じています。
お客様の「特別な日」のため、ケーキ作りへの意識と技術を高める
現在は創業の地である寝屋川市を中心に6店舗を構えるまでになりました。大阪府内で展開する中規模チェーン店とバッティングする場面が多くなり、近隣に大手コーヒーチェーン店ができた時には売上が若干減ったこともありますが、地域の方の「特別な日」に寄り添い、喜んでもらうことを徹底することで独自性を貫いていけると考えています。
お客様の大切な人の誕生日をサプライズ演出でお祝いする「サプライズケーキ」もその一端です。お客様に誕生日の主役を連れてきてもらい、音楽や照明、キャンドル等の演出で大切な方の誕生日をお祝いします。現在はコロナ禍で休止中ですが、弊社のパティシエが教える「ケーキ教室」とともに、店や仕事を通じて地域のお客様とふれ合う機会を設けるようにしました。
ケーキや焼き菓子の種類はあえて豊富にしていて、ショーケースには常に20から30種類のケーキを置くようにしています。中規模のケーキ店でありながら選べる楽しさがあるのは、大手チェーンやコンビニスイーツに負けない強みです。
そこに関連して、ショーケースに並べるケーキを選出する「セレクション」という取り組みは、パティシエのモチベーションを上げる工夫の一つです。入社1年目からシェフまでのパティシエ約20人が考え、試作したケーキを全員で試食し点数を付けて、合計得点の高いものがショーケースに並べられます。社員は5点、私は10点の持ち点となっており、過去に選出されたケーキの中にはレギュラーメニューになったものもあります。この取り組みは、2店舗目を設立し、作り手が増えた時に、社員同士の研鑽のために始めました。根底には「全員にケーキを作る機会を与えてあげたい」という気持ちと、客観的な意見を受け入れ成長の機会としてほしいという経営者としての願いがあります。成長するためには「美味しい」だけではなく、「美味しくない」と言われることにも大きな意味があります。他者の視点を取り入れることで「自分が作ったケーキはお金を出して買ってもらえる価値があるのか?」といった別角度での視野を持つことができるようになります。これは作り手がサービスの先にいるお客様を意識し、ケーキで商売をするスタートラインに立つことでもあります。
日頃の会話に理念を散りばめ浸透させる
3本柱となっている理念のうち「『ありがとう』を集めよう、『ありがとう』を伝えよう」という言葉は、サンクスカードを通じて新たに生まれた文化を大事にしたいと考え、後から追加しました。
「心の満足を提供する」と「街の資産価値を上げる」という2本の理念については、創業当初から社員に話し伝えてきたことになります。経営計画書をまとめる際に改めて明文化しました。
共通の理念として浸透させていくため、入社時のオリエンテーションで時間をとり話をするほか、日頃から社内連絡や会話の随所に理念を散りばめ、アクションを起こす際の動機として伝えています。
外的変化を「付加価値を高めるきっかけ」と捉え、BtoBへ拡大
自宅で大切な人を祝うシーンは生活に根差していることから、リーマンショックやコロナ禍等は特に影響はありませんでしたが、近年の原材料の高騰は今までにない大きな出来事だといえます。お客様はおおよその予算でケーキを購入する方が多いため、いつもの数より1個減らすといった行動をするようになりました。そこで、値上げではなく「付加価値を高めるきっかけ」と考えるようにして、新たなサービスを生み出せるように計画を練り始めています。
その第一歩として、今まではBtoC(対消費者ビジネスだったところを、今後はBtoB(対企業)にもサービスを拡大できるよう準備を進めています。地元企業の記念事業などに利用してもらえるように、焼き印やフードプリントで企業ロゴやメッセージを入れた創立・周年記念のセット商品等を提供するサービスを構築しているところです。並行してECサイトのリニューアルを行い、来年(2023年)8月までに提供できるようにしたいと考えています。
「人が作る」過程を大事にしながら効率化と拡大を図る
今後BtoBに踏み出し、製造業として拡大していくには、効率化も考えていかねばなりません。現在は拠点毎に製造を行っていますが、M&Aなどを活用してセントラルキッチン(集中調理施設)を設け生産効率を高められるようにすることも視野に入れています。一気に作り、一気に流通できるシステムを作れば、今まで構築を進めてきたECサイトもより意義のあるものになるはずです。
ただ、大量生産方式を進め過ぎてしまうと、仲間やお客様を意識したサービスなど、社員とともに築き上げてきた弊社の良さが失われてしまいかねないため、両立できる方法を模索している状況です。もし新たな生産方式に踏み出すとしても「人が作る」部分は残し、単なる作業にするのではなく、作り手のクリエイティブなモチベーションも維持していきたいという想いがあります。M&Aで事業を譲り受けた場合も、弊社の理念をかけ合わせながら展開していくことで、効率化を進めつつも手仕事の良さを残せるのではないかと考えています。
また、既存のビジネスモデルとは異なることにもチャレンジしたいと思っています。例えば、ケーキ製造の上流にある「生産」過程に着手し、時期により数や価格の変動が大きいイチゴの栽培プラントと協業するなども面白いかもしれません。ケーキ用のイチゴが安定して調達できるようになれば、そこからまた新たな事業を創り出せるかもしれませんし、生産地と弊社のケーキとのタイアップにより、付加価値を創出できるようになれば、ブランディングにも繋がるのではないかと考えています。
ツグナラコンサルタントによる紹介
大阪府寝屋川市を中心に6店舗のケーキ店を運営され、お客様の笑顔と丁寧なサービスに注力されている企業様です。原材料の高騰に対応し付加価値の高いサービスや新たな事業領域への展開にも取り組まれ効率化と独自性の両立を目指し事業拡大をされています。
会社概要
社名 | 株式会社オンザテーブル |
創立年 | 2007年 |
代表者名 | 岡嶋 宏明 |
資本金 | 1000万円 |
事業エリア |
寝屋川店
572-0831 大阪府寝屋川市豊野町15-6 |
ティコラッテGIFT
572-0831 寝屋川市豊野町15-7 |
|
ティコラッテEaT
572-0831 寝屋川市豊野町15-8 |
|
茨木店
567-0847 大阪府茨木市野々宮1丁目9-16 |
|
ティコラッテLibrary
572-0831 寝屋川市早子町23-1-401 |
|
本社住所 |
572-0084 大阪府寝屋川市香里南之町28-24-108 |
事業内容 | 洋菓子の製造、販売 |
URL |
https://www.teacolatte.com/index.html
|
会社沿革
2003年 | 京阪香里園に「ティコラッテ本店」オープン |
2008年 | 「ティコラッテ寝屋川店」オープン |
2012年 | 「ティコラッテ茨木店」オープン |
2013年 | ジェラート&焼き菓子専門店「ティコラッテGIFT」オープン |
2021年 | 「ティコラッテEaT」オープン |
2021年 | 寝屋川市立中央図書館内に「ティコラッテlibrary」オープン |
株式会社オンザテーブルの経営資源引継ぎ募集情報
公開日:2022/12/12 (2023/07/07修正)
※本記事の内容および所属名称は2023年7月現在のものです。現在の情報とは異なる場合があります。