より多くの案件を迅速にマッチングできる「M&Aプラットフォーム」の可能性と、地域特化型M&Aプラットフォーム「ツグナラ」の機能について解説し、中小企業の課題解決に繋げます。
より多くの案件を迅速にマッチングできる「M&Aプラットフォーム」の可能性と、地域特化型M&Aプラットフォーム「ツグナラ」の機能について解説し、中小企業の課題解決に繋げます。
前回のコラムでは、地域の中小企業がM&Aの際に利用しやすい4つの窓口のうち「金融機関」「事業承継・引継ぎセンター」について解説しました。最終回となる今回は「M&A仲介会社」について解説いたします。
●連載:中小企業向けのM&A相談先はどこ?―4つの窓口を紹介―
第1回 国内M&Aの傾向と「M&A仲介会社」の特徴
第2回 金融機関&事業承・継引継ぎ支援センターのM&A機能とは?
第3回 本記事
後継者不在等の課題解決を主な目的とする事業承継M&Aですが、コロナ禍を機に廃業を検討する企業がさらに増大したことで、より多くの案件を迅速にマッチングさせることができる「M&Aマッチングサイト」や「M&Aプラットフォーム」に注目が集まっています。
「M&Aマッチングサイト」はインターネット上のシステムを介しM&Aの売り手と買い手を引き合わせるサービスを指し、「M&Aプラットフォーム」はマッチングの機能に加えて専門家への相談や情報収集のサポートなど、事業承継やM&Aを検討している企業が様々な支援を受けられるものとなっています。「M&Aプラットフォーム」は経済産業省が公表した「中小M&Aガイドライン」では「主にマッチングをはじめとする中小M&Aの手続きを低コストで行うことができる支援ツール」と明示されており、M&A仲介会社等と比較すると費用負担を抑えられるため中小企業や小規模事業者が使いやすいものとなっています。そのため、M&Aマッチングサイト、M&Aプラットフォームで取り扱われている案件は小規模案件と呼ばれる年商1億円以下の売り手側の事業者がほとんどとなっています。
従来、M&Aの相手探しは仲介会社等に依頼し、専門家により選定された一部の相手先が紹介される受け身の体制が一般的でしたが、M&AマッチングサイトやM&Aプラットフォームでは自社の経営戦略に合う企業を自ら選びアプローチできるため、短期間でマッチングに繋げられる等のメリットがあります。
また価格やサービス内容は仲介するサイトにより異なっており、マッチング相手を探す機能のみ持つサイトから全行程を専門家がサポートしてくれるもの、登録無料や月額料金が発生するものまで様々です。業種、地域、売却希望額などの項目ごとに検索しやすくなっており、1万を超える案件が登録されているサイトもあります。M&Aの活発化に伴い、行政側が主体となり構築されているサイトや民間委託により運用されているもののほか、業種に特化したプラットフォームも徐々に増えており、医療業界専門のマッチングサイトや個人が運営するWebサイトのM&Aを専門に行う「サイト売買(M&A)」マッチングサイト等も開設されるようになりました。
これらのサイトを有効に活用しするポイントとしては、
①積極的に登録し、希望する案件に出会える機会と確立を増やす
②気になった企業にはすぐアプローチする
③欲しい情報は、積極的に正確に伝える
ことが大切です。また、不都合な情報は公開していない会社も中には存在するため、本格的に交渉に入る前には専門家を入れてシビアに精査することをお勧め致します。
M&AマッチングサイトやM&Aプラットフォームは、活用されるようになってからまだ日も浅く、運用方法や報酬体系の標準が確立されていません。「国内M&Aの傾向と『M&A仲介会社』の特徴」にて前述した通り、地方にはM&Aに精通する専門機関や人財が未だに少ないため、手軽に情報が得られるM&AマッチングサイトやM&Aプラットフォームは大変有効な手段となり得ます。
弊社サクシードにおいても、2019年から「地域」に特化した独自のM&Aプラットフォームサービスとして「ツグナラ」の運用を開始し、事業承継等の課題解決に繋げるコンテンツの充実を図ってきました。「次世代により良い社会を引継ぐ」をコンセプトとして、地域の成長意欲のある経営者とその企業を事業の担い手として紹介しています。サイトを訪れる全ての方が自由に閲覧できるようにすることでM&Aの間口をフラットにするとともに、掲載企業が地域と未来の担い手であることを内外に認識してもらえるようにして、売り手側が自社事業を「託したい」と思う企業を選べる形式にしています。さらに、地域の金融機関、支援機関、専門家によるネットワークを形成することで各々の知見を集約し、複合的なソリューションを可能にしています。現在は全国展開を進めるとともに他地域の専門家や金融機関との連携を図り、各地域の全ての企業が人財や技術、企業文化を安心して担い手に引継げる、健全なM&A支援体制を構築しているところです。
地域では、事業承継のほかITやM&Aリテラシーへの認知や整備も不充分であり、M&A関連の支援やサービスの認知度も未だ低い状態です。これらの課題が解決されれば、地域での事業承継は一気に進み、M&A市場も更に拡大するものと考えられます。多くの企業が自発的にITやM&Aプラットフォームを活用するようになれば、自社だけではなく地域の他社の選択肢も広がります。今回紹介した4つの窓口をぜひ自社発展の手段として役立てていただけたらと思います。
3回に分けて、地域の中小企業がM&Aの際に利用しやすい4つの窓口について解説いたしました。
ツグナラでは皆様のご相談をおまちしております。ぜひお気軽にご相談ください。
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