買い手企業にとって、M&Aの真の目的は、経営統合による相乗効果、すなわち「事業シナジー」を得ることです。そして「事業シナジーが得られるかどうか=M&Aが成功するかどうか」は、M&Aの譲渡契約後の経営統合(PMI)プロセスにかかっています。本コラムでは、M&Aにおける経営統合(PMI)の重要性と、「経営計画」を用いたPMIの方法についてご紹介します。
買い手企業にとって、M&Aの真の目的は、経営統合による相乗効果、すなわち「事業シナジー」を得ることです。そして「事業シナジーが得られるかどうか=M&Aが成功するかどうか」は、M&Aの譲渡契約後の経営統合(PMI)プロセスにかかっています。本コラムでは、M&Aにおける経営統合(PMI)の重要性と、「経営計画」を用いたPMIの方法についてご紹介します。
買い手企業にとって、M&Aの真の目的は、経営統合による相乗効果、すなわち「事業シナジー」を得ることです。そして「事業シナジーが得られるかどうか=M&Aが成功するかどうか」は、M&Aの譲渡契約後の経営統合(PMI)プロセスにかかっています。本コラムでは、M&Aにおける経営統合(PMI)の重要性と、「経営計画」を用いたPMIの方法についてご紹介します。
PMIとは、Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)の略で、買収後の経営統合作業のことを言います。
統合の対象範囲は、経営、業務、意識など統合に関わるすべてのプロセスに及びます。
一般的に中小企業がM&Aをする目的は、事業シナジーを得ることになりますが、そう簡単にはいかないのがM&Aの難しいところです。うまくシナジーを得ようと思った場合には、基本合意締結前やデューデリジェンス期間中といったM&Aプロセスの初期段階からPMIを検討しはじめることが重要になります。実際、M&Aによる経営統合に対して「期待通りの成果が得られている」と答えた企業のうち5割以上は、PMIの検討を初期段階から検討している企業だという調査結果が出ています。
中小企業の事業承継問題の解決策としても重要性を増している今日のM&Aにおいて、事業シナジーを具現化し、企業の長期的な成長を支える仕組みをつくるプロセスであるPMIが注目されています。
売り手(譲り手)企業にとっては「最終譲渡契約」が1つのゴールになりますが、買い手企業にとっては、むしろスタートです。そして譲渡契約後の経営統合(PMI)プロセスをどう進めるかにより、「M&Aの真の目的である事業シナジーが得られるかどうか=M&Aが成功するかどうか」が決まります。
1つ、PMIの具体例と重要性について見ていきましょう。
【事例】シナジー実現を急ぎすぎたカーディーラーの社長の場合
あるカーディーラーの社長は、これまで外注に頼っていた「車検」業務の内製化を見込んで、自動車板金整備工場を引継ぎました。
譲り手企業である自動車板金整備工場での車検業務は、M&A前から常に予約が2週間先まで埋まっており、工場の6台のリフトはフル稼働していました。そのような中、買い手企業の社長は営業社員に向けて積極的な獲得目標を設定し、さらに予約件数を増やしたのです。しかし、社長の思い描いた事業シナジーは生まれませんでした。
整備工場では、既にキャパシティを超えた整備台数への対応を行っており、働く整備士から毎日残業し、休日出勤が続いていることへの大きな不満が爆発し、当初見込んでいた車検業務の積極的な獲得によるシナジー創出は見直されることになりました。
なお、この失敗は、基本的に事前の調査不足が原因です。事前にしっかりと調査し現場の声を聞いていれば、当初の現実離れした無謀な計画にはならなかったでしょう。
買い手の都合のみを優先し、譲り手企業のこれまでの企業風土、顧客、仕事のスケジュールなどをないがしろにした、一方的なPMIだったわけです。
譲り手企業の現場の実情を把握して、取り組むタイミングなども十分に考慮し、計画を練っていくことがPMI(=M&Aの成功)において重要なポイントになります。
大手企業M&Aの経営統合(PMI)は、専門のコンサルタントが存在するほど難しい業務だと言われています。しかし、中小企業のM&Aの場合、コンサルタントに依頼できる企業は一握りで、実際は買い手企業の社長や経営幹部社員が中心となってPMIを行っていきます。
そのため、中小企業M&Aの経営統合となると、その膨大なタスクに圧倒され、計画性を失っていく場面が多々発生します。
そのようなM&A後のPMIにおいて、最も重要なのが「経営計画」の策定であると言えます。M&Aの経営統合を成功させるためには、事業シナジーを具体的にどのように実現していくのか、そのタイミングをしっかり計画して実行に移すことが必要です。この経営計画がない限り、M&Aによる成長戦略を成功させることは難しいでしょう。
次回は、この経営計画を用いたPMIの方法についてご紹介します。
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