中小企業の収益性は大企業に比べて一般に低く、その結果として社員の給与も低くなっています。近年この格差は、平均給与格差、賞与格差として広がる一方です。この原因はここ20年間デフレの影響を受け、異常とも呼べる価格競争が多くの業界で過度に起こった所以です。今やこの国最大の課題とまで言われるようになった多くの中小企業で後継者が存在しないという状況の一端もここにあります。
終わりのないコストダウン要請、量販店からの価格低減圧力など、価格競争に明け暮れなくては継続できない企業を一体誰が継ぎたいと思うでしょうか。事業価値を向上させ誰もが継ぎたいと思うような企業を創ることが最も理想的な事業承継対策であり、その中核が価格競争しない経営です。
中小企業の収益性は大企業に比べて一般に低く、その結果として社員の給与も低くなっています。近年この格差は、平均給与格差、賞与格差として広がる一方です。この原因はここ20年間デフレの影響を受け、異常とも呼べる価格競争が多くの業界で過度に起こった所以です。今やこの国最大の課題とまで言われるようになった多くの中小企業で後継者が存在しないという状況の一端もここにあります。
終わりのないコストダウン要請、量販店からの価格低減圧力など、価格競争に明け暮れなくては継続できない企業を一体誰が継ぎたいと思うでしょうか。事業価値を向上させ誰もが継ぎたいと思うような企業を創ることが最も理想的な事業承継対策であり、その中核が価格競争しない経営です。
2016年に私が当時所属していた『日本でいちばん大切にしたい会社』著者、法政大学大学院 坂本光司研究室にて「非価格経営に関する実態調査」を中小企業約1000社に対して行いました。
その中で「貴方の会社の競争力は価格ですか、非価格ですか」という問いを投げかけました。その問いに対してなんと業種を問わず81.1%の企業が価格競争に明け暮れているといった実態が明らかになりました。
それとは逆に「価格ではない」と答えた18.9%の企業に着目すると、「商品力・サービス力」「スピード・小回り力」などソフトの面で価値を提供し価格競争に陥らない経営をしていました。そして、価格競争していないこれからの会社は押し並べて業績が同業者に比べてもはるかに良いという結果が出たのです。つまり業績を高めることと価格競争しない経営を目指すことがイコールだと言えるのです。
では次に、価格競争から脱却するには何から手を付ければよいのか。よく下請け企業の製造業や建設業の経営者から「朝から晩まで取引先の奴隷のように働くのはもう辛いです」と相談を受けています。しかし、自社商品や独自の販路を持たない限りこの状況を打破することは難しいでしょう。
そこで、私は10年かけて自社商品、サービスを開発、そして売上比率を高めていく経営計画を立てることをアドバイスしています。自社商品やサービスで売上の1割でも形成し、さらに直販できるようになると見える世界が全く変わってきます。弊社のお客様でも積極的に展示会に出展して販路が全国に広がり、既存の商品についても売上が増加するなど大きな成果を上げている企業は数多くあります。当然、利益率が高まるばかりか社員のモチベーションが上がることで採用や社員の定着率向上など副次的な効果も得られます。
人口構造の変化で日本の市場はこれまでにない大きな変化を迎えています。人口に対する年齢構造の大きな変化により、シニアマーケットなど手付かずのマーケットが新しく形成されつつあります。
そんな中、大企業は自社の商品ラインナップや販売計画を大きく変えることができません。それは、自社のこれまでやってきた成功パターンを崩すことになるからです。業界の慣習やこれまでの当たり前を前提に商品・サービス作りを行っているために、お客様が本当に欲しいものやサービスを提供できていないのです。つまりいつの時代も表には出ていない潜在需要は存在しているのです。しかし、供給側である我々に本当にお客様が欲しい商品やサービスを提供する意識が乏しいために潜在需要のままで終わってしまっています。つまり潜在ニーズに対して有効な供給が行われていないのです。中小企業にとって、いつの時代も『あったらいいな』などの潜在ニーズをくみ取る、小さい市場こそが対応すべき領域なのです。
多くの事業承継に成功した企業を調査していくと事業承継の過程で後継経営者が商品、サービス開発を実践し事業モデルを変えていくケースが多数を占めます。この20年デフレが続き「価格は安いほうが良い」という考え方が経営者、社員に染みついてしまっています。
しかし、もはや時代は変わりました。
アフターコロナにおいては価格競争は会社経営を危うくするとともに社員を不幸にします。企業経営の目的は「関係する人々の幸せの実現」です。さらに事業承継は次の20年、30年を見据えた取り組みに他なりません。是非、皆様方には時間をかけて価格競争しない経営を目指していただければ幸いです。
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