5月の第1回コラムでは、「事業承継において、なぜ人財育成は重要なのか?」というテーマで、その目的と重要性、人財育成が経営に与えるインパクトについて解説させていただきました。今回の記事では、実際に戦略的に人財育成を行っている企業が、どのような段階を経て実施しているのかについて紹介いたします。
5月の第1回コラムでは、「事業承継において、なぜ人財育成は重要なのか?」というテーマで、その目的と重要性、人財育成が経営に与えるインパクトについて解説させていただきました。今回の記事では、実際に戦略的に人財育成を行っている企業が、どのような段階を経て実施しているのかについて紹介いたします。
●連載「人財教育と事業承継」
※本記事は全5回の連載記事となります。
第2回 【本記事】
今回事例としてご紹介するのは、栃木県内に本社を携えるサービス業の会社です。
創業社長として20年に渡り経営をされてきた社長が、円滑に次代に会社を引継ぐために、人財育成に取り組もうとしています。
この企業では、人財育成を行った結果、社長の後継者と呼ぶにふさわしい人財を育てることが出来ました。当人も、社長の後を継いでからどのように経営を行っていこうか非常に前向きに考えています。現在も同社では人財育成の取り組みは継続しておりますが、社長は一定の成果を得ることが出来た、と非常に安心されている様子です。
では、こちらの会社はいかにして効果的な人財育成を行うことができたのでしょうか?
当社の場合、元々社長ご自身は学ぶことに対し非常に意欲的で、機会があれば経営者の勉強会に参加されていました。そうした学びの結果として、創業から20年間、順調に業績を伸ばしてきました。順調に新店舗の展開を行うこともでき、現在は3店舗を運営するまでに至りました。
しかし、2020年から始まった新型コロナウイルスの感染拡大により、会社は窮地に立たされます。サービス業は人との接触が多く、外出自粛の影響も重なり、客足が遠のいてしまったことから一時は休業することも真剣に考えたほどでした。
この際、社長はある危機感を抱きます。こういった突然の経営環境変化に対応していく際に、もし自分がいなかったらこの会社はどうなってしまうのだろう?と。10年も経たないうちに社長も還暦を迎えるため、今のうちから経営者の視点をもっている人財を育成していくことが、今の会社に必要なのではないかと考えるに至りました。
経営者の視点をもつ後継者を育成していくにあたり、3店舗の店長を交えて話し合いを行い、その後3名それぞれと個別に面談を行いました。話し合いの場では、10年後の会社のことを考えて、今から後継経営者として3名を育成することを伝え、個別の面談の場では、本人の意思を確認しました。
この際、個別で面談をする中で、1名は社長と社長と近い視点で会社の状況を捉えており、なおかつ、今の自分ではスキル不足だがその視点に立てるように学びたい、という要請を受けることになりました。
こうして、まずはこの1名に対して、後継者としての人財育成を行うことを決めました。
後継者として人財育成を行うにあたり、店舗のマネジメント業務は社長から直接伝えることができますが、経営者としての視点をいかに伸ばしていくかが最大の課題でした。
そこで社長は、経営者たちとともに学ぶ環境に飛び込んでもらい、切磋琢磨しあう中でその感覚を身に着けてほしい、と考えました。
そのために活用したのが「とちぎ経営人財塾」です。1年間のカリキュラムを通して、経営者としての視点を伸ばし、目指すべき「経営のあり方」について考えられる環境が整っていると、社長自身が学ぶ中で実感していました。
「とちぎ経営人財塾」での1年間の学びを通して、後継者の方は見違えて成長しました。自社の戦略を社長以上に深く理解し、実行していくための具体的なアクションプランまで提案するほどになりました。今後は、後継者候補に考えていたもう2名についても、人財育成を行っていこうと考えているそうです。
いかがでしたか?
今回は、戦略的に人財育成を行っている企業が、どのような段階を経て実施しているのかをご紹介させていただきました。きっかけはコロナ禍でしたが、そこから本業の立て直しのみならず、10年後を見据えた人財育成に乗り出し、見事に成果を収めています。
記事中に出てきた「とちぎ経営人財塾」は、ツグナラ企業の中にも多くのOB・OGがいます。気になった方はぜひ、ツグナラコンサルタントまでお問い合わせください。
次回は社内教育(OJT)について解説させていただきますので、ぜひご覧ください。
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