名古屋市緑
名古屋市
引継ぎ実績あり
調剤薬局をメインに、介護やサプリメント製薬などで地域医療を支える
株式会社ファーマスター
社会に健康と好循環をもたらす薬局ならではの地域密着型サービス
経営理念
ビジョン
世のため人のため地域のために、正しい道を歩み行動する
ミッション
私たちは、すべてのお客様に感謝される会社になります
私たちは、すべてのお客様の笑顔のために行動します
私たちは、すべてのお客様に愛をもって寄り添います
アクション
「自立」「自発」「自尊」を信条として行動をします
利他の精神を規範として、人のために行動ができる人となります
代表者メッセージ
1999年に薬剤師資格を取得し、ドラッグストアや調剤薬局での経験を経て、2008年に弊社を設立しました。以来、地域に根ざした薬局を開設し運営しています。
これまで、常に患者様の立場で考え行動することを心がけてきました。患者様にとって気持ちの良い空間となるよう、明るく元気な薬局を作っています。そして地域社会の一員であることを自覚し、医療を通じて地域に貢献すること、他医療機関とも積極的に連携してチームで医療に取り組み、患者様の生活がより良いものとなることを目指しています。
また、あらゆる出会いは一期一会であり、関わりあう全ての人たちとの出会いを大切にしています。
私が目指すのは、患者様はもちろんのこと病院様や取引先様さらに弊社で働く従業員やそのご家族など、関わりあう全ての人たちの幸せとなり「感謝していただける薬局」を創ることです。これを実現するため、弊社を世のため人のためになる社会的意義のある存在へと少しでも近づけていけるよう日々努力することが、私の使命です。
従業員ともども日々勉強し、目標の実現に向けて努力していきます。
代表取締役社長 梅田 鉄兵
私たちのこだわり
調剤薬局事業をメインに、介護など複数の事業を展開
弊社は薬局事業を中心に、介護事業やサプリメントの製薬事業を行っています。愛知県内に薬局を11店舗、介護施設3事業所を持ち、従業員数は200名ほどです。
メインとなる薬局事業では、医療を通じて地域に貢献し薬の提供を通じてお客様の健康な生活を守り支えられるよう日々研鑽を続けています。また2013年からは在宅医療にも取り組み、療養されている方のご自宅に薬を配達して、管理方法や飲み方のご提案をしています。高齢者施設で生活されている方には薬を施設へお届けし、患者ご本人や看護師の方に説明をするとともに、身体の状態や薬の使用状況などを確認し管理しています。
電気工学科から薬学部に転向、ドラッグストア大手でビジネスを学ぶ
私は、本社のある愛知県名古屋市で生まれ育ちました。子どもの頃はテレビゲームが好きで、高校生になり進路を決める頃には、ゲーム制作のため電子工学科のある大学に進学したいと思っていました。理系の大学や学部を見ていくうちに、他者の生活を支え守る医療分野にも興味を持ち、名城大学薬学部に入学しました。大学の同期は、実家が薬局や医師など医療に携わっている方が多く、一方の私は身内に医療従事者がいるわけではなかったので知識もありませんでした。急な進路変更に不安はありましたが、自分ができることをしていこうと決めました。
薬学部の進路は、一般企業の研究開発職やMR(医療情報担当者)、大学院へ進学するなど、薬学の研究を深めていくものがほとんどです。就職活動の時期になり将来を真剣に考えた時に、企業や研究機関に所属をするよりも、自分の裁量で展開できるビジネスを立ち上げたいという気持ちが強くなっていきました。
まずはビジネスを学ぶために、薬局に就職しようと考えました。そこで選んだのが、関東・関西・東海エリアでドラッグストアチェーンを展開していた株式会社マツモトキヨシです。当時地元の名古屋には店舗がありませんでしたが、せっかくなら日本一の企業で勉強したいと思い入社しました。
マツモトキヨシでは、医師の処方箋がなくても購入できるOTC薬を販売していました。4年間働いた頃、若い感受性で自由に旅ができるのは最後のタイミングだと思い、世界一周の旅行をするため26歳で退職。マツモトキヨシでの仕事は楽しく同僚にも恵まれていたので、世界一周旅行を考えなければ、今も働いていたかもしれません。
薬局を引き継ぐ形で創業し、苦労の中で安定を図る
帰国後は改めて調剤について学びたいと思い、調剤薬局に入社しました。組織に属して重要な役割を担っていくことは苦ではありませんでしたが、経営者として自由に事業を展開してみたいという思いで、2008年31歳の時に株式会社ファーマスターを創業しました。この社名は、薬局を表すファーマシーと、数ある薬局の中でも輝く星になりたいという思いを込めたスターを合わせた言葉です。
弊社は、もともと別の方がオーナーをされていた薬局を引き継ぐ形で開業したので、イニシャルコストをかけずに始められました。しかし、当時はちょうどリーマンショックが起きたタイミングだったので、従業員の給料や店舗の家賃など資金的な苦労はありました。報酬からの調整や補填により数カ月を耐え、少しずつ売上を安定させていきました。
振り返ってみると、お客様がつき、ある程度の売上があるお店を引き継げたことは非常に良かったと思います。2店舗、3店舗と数を増やしたいと思っても1店舗目で売上が上がらないとなかなか拡大はできません。創業から事業と人を引き継げたことはありがたく、良いスタートを切ることができたと思います。
事業承継と新規開業により事業領域が拡大
2008年の設立以降は売上を伸ばし、2011年に今池すみれ薬局と徳重ひかり薬局を開業しました。2013年には、めい調剤薬局の営業権を買って事業承継し、知多薬局を開業しました。2013年のめい調剤薬局の事業継承は、先方から経営について相談をいただいたことがきっかけです。今後の展開と将来性を見込み、承継を決めました。従業員の方には承継後も引き続き働いていただき、約10年になります。
M&Aや事業承継後は、買い手企業の方針に合わせてもらうため、継続雇用となった社員の方にもある程度の方向転換をしていただくことになりますが、現場からすればこれは急な変化です。めい調剤薬局でも転換期であることを理解していただくため苦労することもありましたが、もともときちんとした経営をしていた薬局だったので、そこまで大きな変更はなくある程度スムーズに進められました。
2015年には「デイサービスそれいゆ」を事業承継しました。「それいゆ」の経営者は後継者を探していましたが、施設のある瀬戸市は名古屋にある弊社からは地理的に少し離れており、経営統合後のやり取りが大変かもしれないと思い躊躇していました。また、当時は介護の相談窓口として居宅介護支援事業所「すみれケアプランセンター」を開業したばかりであり、介護領域への拡大は、もう少し先になるだろうと考えていました。
しかし、もともと「それいゆ」で働いていた弊社のスタッフから、もし閉所されれば利用者やその家族の方がとても困るし、働いているスタッフも再就職先を見つけなければならず大変になるだろうから、ぜひ承継を検討してほしいという話を聞きました。ゼロから新事業を始めるのは大変ですが、事業継承であればノウハウやスタッフの方を受け継ぐことができるので、チャレンジしてみようと考え、M&Aを決意しました。
承継当時、介護事業の経営につて勉強する毎日でしたが、どこを改善すればよいかのポイントは見えていました。新しいやり方に馴染めず辞めてしまうスタッフの方もいましたが、よりよい経営状況にするため、様々な取り組みを実施しました。
直近でM&Aをしたのは、ひまわり調剤薬局です。非常に忙しい店舗で、薬局の動線の悪さや慢性的な人不足があり、待ち時間も多い状態で引継ぎを行いましたが、弊社の精鋭スタッフを各店舗から集め、私も現場に入りながら全員で毎日改善を続け、スムーズな運営ができるようになりました。こういった苦労もありましたが、今は事業譲渡の安定化が図れたので非常に良かったと思います。
同業他社との差別化ポイントは、従業員が働きやすい環境を整えていること
調剤薬局は、処方箋の薬の監査や調剤、服薬指導、薬歴管理などのサービスが中心であり、競合他社との差別化が難しい業界です。もちろん人の温かみを大切にして笑顔で接するといった点には力を入れていますが、薬局を訪れる患者様は体調が優れず通院している方がほとんどなので、過度なサービス提供はかえって不要と感じる方も多いだろうと思います。また、薬局をチェーン化していけばある程度のマニュアル化が進み、作業効率化のためどの薬局も似た配置になっていきます。
このように業界全体が均質化されている中で、弊社が強みとしてアピールできるのは、従業員の働きやすさに注力していることです。弊社で働く方が、自分の人生や家族との時間を満喫できるように労務環境を整えています。遅い時間まで無理に働かせることはありませんし、休みもしっかり取得してもらっています。従業員に長く働いてもらえれば、会社としても採用のコストが下がりますし、お客様も馴染みのスタッフができて薬局にも愛着を持ってもらえるようになり、満足度が上がります。
ここで働いていれば大丈夫という従業員の安心感と、ここに来れば安心というお客様の信頼感が弊社の良さにもなっていると思います。
ドローン薬局プロジェクトを通じ薬局のあり方に一石を投じる
また、弊社の変わった取り組みとしてドローン薬局プロジェクトという取り組みがあります。調剤薬局から、近くに薬局のない離島や山間部などに住む患者様の自宅まで、ドローンを使った医薬品の配達の実用化を目指して、実証実験をしているところです。このプロジェクトを始めた2017年には、今ほどドローンはメジャーではなく、大手企業が活用しているケースもほとんどありませんでした。
プロジェクトを始めたきっかけは、私の友人がドローンを活用した撮影などを行う株式会社マルチコプターオペレーティングを経営しており、彼と「ドローンを使って医薬品を運んだら面白いし、離島・へき地医療支援にもなるのでは」と話し合いました。複数回の試行後、名古屋市南方にある知多半島から、海を隔て約3km離れた日間賀島(ひまかじま)という離島に向けて、ドローンで薬を運ぶシミュレーションをしてみたところ、想定よりもスムーズであり、実現性が高いと感じました。
当時は、ドローンを含む無人航空機への法整備や医療のデジタル化が追いついておらず、処方箋医薬品や要指導医薬品などは対面での販売が原則となっていました。おそらく誰も取り組んだことはなく、医薬品販売や物流、薬局のあり方に一石を投じるようなプロジェクトでもあったので、多くのメディアの方に取材していただきました。ただ、事業として確立するにはまだ法整備が追いついておらず、大手物流業者もドローンを使った事業拡大を狙っています。その中で、弊社にできる範囲のサービスとして展開していけたらと考えています。
従業員の働く環境を整えていること、そしてドローンを使ったプロジェクトを実施していることなどから、求職者の方がワクワクした気持ちで入社してくれる企業になりました。調剤薬局は画一的になりやすい業種であり、自社HPがないところも多いですが、弊社はHPを通じて自社の考え方や新しいチャレンジの様子を発信し、お客様に弊社の動きを知ってもらいながら、職員も「お客様から見られている」という意識を持ってもらえるようにしています。お客様から寄せられる信頼と、健康を預かる責任を、職員それぞれに自覚してもらいたいと思っています。
また、調剤薬局以外にも介護事業やサプリメントの製薬事業を展開しており、HPを通じて興味をもってもらえればと思っています。事業を拡大しチェーン展開していくことも、大事な戦略の一つです。変化の多い中で生き残っていくためには「成長意欲がある」という印象も行動も大事であり、企業側の面白い取り組みも若手が集まる動機付けになります。
お客様からすれば他とはあまり変わらない薬局のように見えますが、入職前から働き手としての意識を高められているという点でも、同業他社との差別化はできていると思います。
社会起業家の視野と考え方でビジネスを展開
弊社の理念は、2015年頃に定めました。薬局の理念としては珍しく「世のため人のため地域のために、正しい道を歩み行動する」というやや硬質な内容となっています。創業当初はあまり意識していませんでしたが、自社の利益でビジネスを継続しながら社会問題を解決していく「社会起業家」のような考え方が好きなのだと思います。世の中を想い行動できる企業になれば、巡り巡って自分たちにも良い影響がもたらされるはずです。今後も社会起業家的な感覚でのビジネス展開を心がけたいと思っています。
2年前の2021年には、従業員200人全員に従業員満足度調査として、初めて無記名アンケートを実施しました。職場の雰囲気や給料、労働条件や時間、理念についても質問事項に盛り込みました。「理念に共感できる」は76.1%、「初めて知った」は13.8%であり、職員への理念の浸透は想像以上でした。
また「私生活は満足していますか」という質問には、86.2%が「している」と答えています。この調査で私が最も嬉しかったのは「今後もファーマスターで働きたいですか」という設問に、29.7%が「体が動く限り働きたい」と答えてくれたことです。2023年の今年は2回目の調査を実施しますが、率直な意見も受け止め、改善に繋げていきたいと思います。
高齢者の生活をフルサポートする新規事業を開始
2023年現在は、2月に11店舗目の薬局がオープンし、職員が準備を進めてくれています。また来年2024年2月には、110名が入居できる高齢者対応住宅を開設予定です。この事業は数年前から構想しており、食事の支援や介護、薬の提供まで、利用者様の生活をワンストップでフルサポートものです。
現在はデイサービス2施設を運営していますが、高齢者対応住宅は初めて着手する事業となります。現在もデイサービス事業は行っていますが、こちらは日帰りでの通所介護のため「来ていただく」サービスです。一方の高齢者対応住宅は、地域包括ケアのうち「住まい」を担うものであり、安否確認や見守り、生活相談サービスが義務付けられています。食事の補助や介護など、デイサービスでの生活支援を活かせる部分はありますが、適切なサービスを提供するため新たに整備が必要となることも多いため、大きな挑戦となります。
この事業を始めたいと思った背景には、事業連携により老後への不安を軽減できる施設をつくりたいという想いがあります。長生きすることで老後の資金が足りなくなり、生活が困窮する状況を指す「長生きリスク」という言葉がありますが、年金支給額が右肩下がりになっている現在は、年金ではカバーできず家族のサポートを必要とするケースが増えています。
現在、老人ホームに入居した場合は、月15万~30万円ほどの費用が必要となります。一方で年金受給額の平均は14万円前後です。貯金が尽き、家族からの支援も得られず、施設を退去せざるを得ない方も少なくありません。
定年までしっかり働いてきた方の生活を支え、ご家族の負担も減らしたいと考え、現在の一般家庭に見合う、最適な価格帯の高齢者対応住宅の提供が必要だと考えました。
弊社では、食事提供込みの家賃を9万9800円に設定し、貯金を切り詰めることなく年金内で暮らせるようにしています。居室の空間は少し狭くなりますが、他事業との連携により充実した生活を営める環境づくりに努めたいと思っています。
M&Aを通じて社会全体に好循環をもたらすビジネスを展開
私は名古屋で生まれ育ったので、これからもこの地域を本拠地として活動していきます。とはいえ、事業拡大を実施していく中で、東京や大阪に出店する可能性もあると考えています。その場合、何も知らない土地でゼロから事業を始めることは難しいのでM&Aを通じて事業展開していきます。
M&Aで最も大切なことは、譲渡側の企業で働かれている方への対応です。変化を受け入れてもらうのは簡単なことではありません。しかし、地域に事業を残しながら会社を発展させてためには、M&Aをシナジーのための手段として考える必要があると思っています。
弊社では、今後も薬局や介護、製薬などの周辺事業をメインにしつつも、弊社の事業や働くスタッフのサポートとなる事業への参入を検討しています。例えば、薬局や介護専門の人材紹介会社や派遣会社など、医療業界を軸にした異業種への展開も構想しているところです。
今後のM&Aの案件によっては、目標設定も大きく変わると思っています。自社の可能性を狭めないためにも、職員数や店舗数などの数値目標はあえて定めていません。いずれにせよ、弊社が拡大路線であることは間違いありません。これからも新規事業立ち上げやM&Aを通して、会社規模だけではなく社会全体に好循環をもたらすビジネスを展開していけたらと思います。
調剤薬局事業をメインに、介護など複数の事業を展開
弊社は薬局事業を中心に、介護事業やサプリメントの製薬事業を行っています。愛知県内に薬局を11店舗、介護施設3事業所を持ち、従業員数は200名ほどです。
メインとなる薬局事業では、医療を通じて地域に貢献し薬の提供を通じてお客様の健康な生活を守り支えられるよう日々研鑽を続けています。また2013年からは在宅医療にも取り組み、療養されている方のご自宅に薬を配達して、管理方法や飲み方のご提案をしています。高齢者施設で生活されている方には薬を施設へお届けし、患者ご本人や看護師の方に説明をするとともに、身体の状態や薬の使用状況などを確認し管理しています。
電気工学科から薬学部に転向、ドラッグストア大手でビジネスを学ぶ
私は、本社のある愛知県名古屋市で生まれ育ちました。子どもの頃はテレビゲームが好きで、高校生になり進路を決める頃には、ゲーム制作のため電子工学科のある大学に進学したいと思っていました。理系の大学や学部を見ていくうちに、他者の生活を支え守る医療分野にも興味を持ち、名城大学薬学部に入学しました。大学の同期は、実家が薬局や医師など医療に携わっている方が多く、一方の私は身内に医療従事者がいるわけではなかったので知識もありませんでした。急な進路変更に不安はありましたが、自分ができることをしていこうと決めました。
薬学部の進路は、一般企業の研究開発職やMR(医療情報担当者)、大学院へ進学するなど、薬学の研究を深めていくものがほとんどです。就職活動の時期になり将来を真剣に考えた時に、企業や研究機関に所属をするよりも、自分の裁量で展開できるビジネスを立ち上げたいという気持ちが強くなっていきました。
まずはビジネスを学ぶために、薬局に就職しようと考えました。そこで選んだのが、関東・関西・東海エリアでドラッグストアチェーンを展開していた株式会社マツモトキヨシです。当時地元の名古屋には店舗がありませんでしたが、せっかくなら日本一の企業で勉強したいと思い入社しました。
マツモトキヨシでは、医師の処方箋がなくても購入できるOTC薬を販売していました。4年間働いた頃、若い感受性で自由に旅ができるのは最後のタイミングだと思い、世界一周の旅行をするため26歳で退職。マツモトキヨシでの仕事は楽しく同僚にも恵まれていたので、世界一周旅行を考えなければ、今も働いていたかもしれません。
薬局を引き継ぐ形で創業し、苦労の中で安定を図る
帰国後は改めて調剤について学びたいと思い、調剤薬局に入社しました。組織に属して重要な役割を担っていくことは苦ではありませんでしたが、経営者として自由に事業を展開してみたいという思いで、2008年31歳の時に株式会社ファーマスターを創業しました。この社名は、薬局を表すファーマシーと、数ある薬局の中でも輝く星になりたいという思いを込めたスターを合わせた言葉です。
弊社は、もともと別の方がオーナーをされていた薬局を引き継ぐ形で開業したので、イニシャルコストをかけずに始められました。しかし、当時はちょうどリーマンショックが起きたタイミングだったので、従業員の給料や店舗の家賃など資金的な苦労はありました。報酬からの調整や補填により数カ月を耐え、少しずつ売上を安定させていきました。
振り返ってみると、お客様がつき、ある程度の売上があるお店を引き継げたことは非常に良かったと思います。2店舗、3店舗と数を増やしたいと思っても1店舗目で売上が上がらないとなかなか拡大はできません。創業から事業と人を引き継げたことはありがたく、良いスタートを切ることができたと思います。
事業承継と新規開業により事業領域が拡大
2008年の設立以降は売上を伸ばし、2011年に今池すみれ薬局と徳重ひかり薬局を開業しました。2013年には、めい調剤薬局の営業権を買って事業承継し、知多薬局を開業しました。2013年のめい調剤薬局の事業継承は、先方から経営について相談をいただいたことがきっかけです。今後の展開と将来性を見込み、承継を決めました。従業員の方には承継後も引き続き働いていただき、約10年になります。
M&Aや事業承継後は、買い手企業の方針に合わせてもらうため、継続雇用となった社員の方にもある程度の方向転換をしていただくことになりますが、現場からすればこれは急な変化です。めい調剤薬局でも転換期であることを理解していただくため苦労することもありましたが、もともときちんとした経営をしていた薬局だったので、そこまで大きな変更はなくある程度スムーズに進められました。
2015年には「デイサービスそれいゆ」を事業承継しました。「それいゆ」の経営者は後継者を探していましたが、施設のある瀬戸市は名古屋にある弊社からは地理的に少し離れており、経営統合後のやり取りが大変かもしれないと思い躊躇していました。また、当時は介護の相談窓口として居宅介護支援事業所「すみれケアプランセンター」を開業したばかりであり、介護領域への拡大は、もう少し先になるだろうと考えていました。
しかし、もともと「それいゆ」で働いていた弊社のスタッフから、もし閉所されれば利用者やその家族の方がとても困るし、働いているスタッフも再就職先を見つけなければならず大変になるだろうから、ぜひ承継を検討してほしいという話を聞きました。ゼロから新事業を始めるのは大変ですが、事業継承であればノウハウやスタッフの方を受け継ぐことができるので、チャレンジしてみようと考え、M&Aを決意しました。
承継当時、介護事業の経営につて勉強する毎日でしたが、どこを改善すればよいかのポイントは見えていました。新しいやり方に馴染めず辞めてしまうスタッフの方もいましたが、よりよい経営状況にするため、様々な取り組みを実施しました。
直近でM&Aをしたのは、ひまわり調剤薬局です。非常に忙しい店舗で、薬局の動線の悪さや慢性的な人不足があり、待ち時間も多い状態で引継ぎを行いましたが、弊社の精鋭スタッフを各店舗から集め、私も現場に入りながら全員で毎日改善を続け、スムーズな運営ができるようになりました。こういった苦労もありましたが、今は事業譲渡の安定化が図れたので非常に良かったと思います。
同業他社との差別化ポイントは、従業員が働きやすい環境を整えていること
調剤薬局は、処方箋の薬の監査や調剤、服薬指導、薬歴管理などのサービスが中心であり、競合他社との差別化が難しい業界です。もちろん人の温かみを大切にして笑顔で接するといった点には力を入れていますが、薬局を訪れる患者様は体調が優れず通院している方がほとんどなので、過度なサービス提供はかえって不要と感じる方も多いだろうと思います。また、薬局をチェーン化していけばある程度のマニュアル化が進み、作業効率化のためどの薬局も似た配置になっていきます。
このように業界全体が均質化されている中で、弊社が強みとしてアピールできるのは、従業員の働きやすさに注力していることです。弊社で働く方が、自分の人生や家族との時間を満喫できるように労務環境を整えています。遅い時間まで無理に働かせることはありませんし、休みもしっかり取得してもらっています。従業員に長く働いてもらえれば、会社としても採用のコストが下がりますし、お客様も馴染みのスタッフができて薬局にも愛着を持ってもらえるようになり、満足度が上がります。
ここで働いていれば大丈夫という従業員の安心感と、ここに来れば安心というお客様の信頼感が弊社の良さにもなっていると思います。
ドローン薬局プロジェクトを通じ薬局のあり方に一石を投じる
また、弊社の変わった取り組みとしてドローン薬局プロジェクトという取り組みがあります。調剤薬局から、近くに薬局のない離島や山間部などに住む患者様の自宅まで、ドローンを使った医薬品の配達の実用化を目指して、実証実験をしているところです。このプロジェクトを始めた2017年には、今ほどドローンはメジャーではなく、大手企業が活用しているケースもほとんどありませんでした。
プロジェクトを始めたきっかけは、私の友人がドローンを活用した撮影などを行う株式会社マルチコプターオペレーティングを経営しており、彼と「ドローンを使って医薬品を運んだら面白いし、離島・へき地医療支援にもなるのでは」と話し合いました。複数回の試行後、名古屋市南方にある知多半島から、海を隔て約3km離れた日間賀島(ひまかじま)という離島に向けて、ドローンで薬を運ぶシミュレーションをしてみたところ、想定よりもスムーズであり、実現性が高いと感じました。
当時は、ドローンを含む無人航空機への法整備や医療のデジタル化が追いついておらず、処方箋医薬品や要指導医薬品などは対面での販売が原則となっていました。おそらく誰も取り組んだことはなく、医薬品販売や物流、薬局のあり方に一石を投じるようなプロジェクトでもあったので、多くのメディアの方に取材していただきました。ただ、事業として確立するにはまだ法整備が追いついておらず、大手物流業者もドローンを使った事業拡大を狙っています。その中で、弊社にできる範囲のサービスとして展開していけたらと考えています。
従業員の働く環境を整えていること、そしてドローンを使ったプロジェクトを実施していることなどから、求職者の方がワクワクした気持ちで入社してくれる企業になりました。調剤薬局は画一的になりやすい業種であり、自社HPがないところも多いですが、弊社はHPを通じて自社の考え方や新しいチャレンジの様子を発信し、お客様に弊社の動きを知ってもらいながら、職員も「お客様から見られている」という意識を持ってもらえるようにしています。お客様から寄せられる信頼と、健康を預かる責任を、職員それぞれに自覚してもらいたいと思っています。
また、調剤薬局以外にも介護事業やサプリメントの製薬事業を展開しており、HPを通じて興味をもってもらえればと思っています。事業を拡大しチェーン展開していくことも、大事な戦略の一つです。変化の多い中で生き残っていくためには「成長意欲がある」という印象も行動も大事であり、企業側の面白い取り組みも若手が集まる動機付けになります。
お客様からすれば他とはあまり変わらない薬局のように見えますが、入職前から働き手としての意識を高められているという点でも、同業他社との差別化はできていると思います。
社会起業家の視野と考え方でビジネスを展開
弊社の理念は、2015年頃に定めました。薬局の理念としては珍しく「世のため人のため地域のために、正しい道を歩み行動する」というやや硬質な内容となっています。創業当初はあまり意識していませんでしたが、自社の利益でビジネスを継続しながら社会問題を解決していく「社会起業家」のような考え方が好きなのだと思います。世の中を想い行動できる企業になれば、巡り巡って自分たちにも良い影響がもたらされるはずです。今後も社会起業家的な感覚でのビジネス展開を心がけたいと思っています。
2年前の2021年には、従業員200人全員に従業員満足度調査として、初めて無記名アンケートを実施しました。職場の雰囲気や給料、労働条件や時間、理念についても質問事項に盛り込みました。「理念に共感できる」は76.1%、「初めて知った」は13.8%であり、職員への理念の浸透は想像以上でした。
また「私生活は満足していますか」という質問には、86.2%が「している」と答えています。この調査で私が最も嬉しかったのは「今後もファーマスターで働きたいですか」という設問に、29.7%が「体が動く限り働きたい」と答えてくれたことです。2023年の今年は2回目の調査を実施しますが、率直な意見も受け止め、改善に繋げていきたいと思います。
高齢者の生活をフルサポートする新規事業を開始
2023年現在は、2月に11店舗目の薬局がオープンし、職員が準備を進めてくれています。また来年2024年2月には、110名が入居できる高齢者対応住宅を開設予定です。この事業は数年前から構想しており、食事の支援や介護、薬の提供まで、利用者様の生活をワンストップでフルサポートものです。
現在はデイサービス2施設を運営していますが、高齢者対応住宅は初めて着手する事業となります。現在もデイサービス事業は行っていますが、こちらは日帰りでの通所介護のため「来ていただく」サービスです。一方の高齢者対応住宅は、地域包括ケアのうち「住まい」を担うものであり、安否確認や見守り、生活相談サービスが義務付けられています。食事の補助や介護など、デイサービスでの生活支援を活かせる部分はありますが、適切なサービスを提供するため新たに整備が必要となることも多いため、大きな挑戦となります。
この事業を始めたいと思った背景には、事業連携により老後への不安を軽減できる施設をつくりたいという想いがあります。長生きすることで老後の資金が足りなくなり、生活が困窮する状況を指す「長生きリスク」という言葉がありますが、年金支給額が右肩下がりになっている現在は、年金ではカバーできず家族のサポートを必要とするケースが増えています。
現在、老人ホームに入居した場合は、月15万~30万円ほどの費用が必要となります。一方で年金受給額の平均は14万円前後です。貯金が尽き、家族からの支援も得られず、施設を退去せざるを得ない方も少なくありません。
定年までしっかり働いてきた方の生活を支え、ご家族の負担も減らしたいと考え、現在の一般家庭に見合う、最適な価格帯の高齢者対応住宅の提供が必要だと考えました。
弊社では、食事提供込みの家賃を9万9800円に設定し、貯金を切り詰めることなく年金内で暮らせるようにしています。居室の空間は少し狭くなりますが、他事業との連携により充実した生活を営める環境づくりに努めたいと思っています。
M&Aを通じて社会全体に好循環をもたらすビジネスを展開
私は名古屋で生まれ育ったので、これからもこの地域を本拠地として活動していきます。とはいえ、事業拡大を実施していく中で、東京や大阪に出店する可能性もあると考えています。その場合、何も知らない土地でゼロから事業を始めることは難しいのでM&Aを通じて事業展開していきます。
M&Aで最も大切なことは、譲渡側の企業で働かれている方への対応です。変化を受け入れてもらうのは簡単なことではありません。しかし、地域に事業を残しながら会社を発展させてためには、M&Aをシナジーのための手段として考える必要があると思っています。
弊社では、今後も薬局や介護、製薬などの周辺事業をメインにしつつも、弊社の事業や働くスタッフのサポートとなる事業への参入を検討しています。例えば、薬局や介護専門の人材紹介会社や派遣会社など、医療業界を軸にした異業種への展開も構想しているところです。
今後のM&Aの案件によっては、目標設定も大きく変わると思っています。自社の可能性を狭めないためにも、職員数や店舗数などの数値目標はあえて定めていません。いずれにせよ、弊社が拡大路線であることは間違いありません。これからも新規事業立ち上げやM&Aを通して、会社規模だけではなく社会全体に好循環をもたらすビジネスを展開していけたらと思います。
ツグナラコンサルタントによる紹介
調剤薬局を中心に介護や製薬など多角的に事業展開している企業様です。ドローンを使った医薬品の配達など新たな取り組みにも挑戦中、さらに新規薬局と高齢者対応住宅の開設を予定で地域の包括ケアについてより深く貢献されようとしています。アットホームな職場環境と常に挑戦することを忘れないファーマスター様、これからもそのご活躍が楽しみな企業様です。
会社概要
社名 | 株式会社ファーマスター |
創立年 | 2008年 |
代表者名 | 代表取締役社長 梅田 鉄兵 |
資本金 | 100万円 |
事業エリア |
南大高薬局
459-8016 愛知県名古屋市緑区南大高三丁目1306番地 052-623-2507 |
徳重ひかり薬局
458-0852 愛知県名古屋市緑区元徳重一丁目1612番 052-838-7725 |
|
めい調剤薬局
474-0071 愛知県大府市梶田町2-156-2 0562-85-5110 |
|
知多薬局
478-0066 愛知県知多市新知西町9-6 0562-85-9797 |
|
金山すみれ薬局
456-0013 名古屋市熱田区外土居町5番12号 052-684-9947 |
|
木場りんご薬局
455-0021 名古屋市港区木場町8番地51 052-627-1500 |
|
金山さくら薬局
460-0022 愛知県名古屋市中区金山1-13-11(B2階-地下街) 052-228-8961 |
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おひさま薬局 サンシャインサカエ店
460-0003 愛知県名古屋市中区錦3丁目24ー4 5階 052-684-9520 |
|
ひまわり調剤薬局
490-1111 愛知県あま市甚目寺 五位田158-2 052-446-6750 |
|
おひさま薬局 名古屋駅エスカ店
453-0015 愛知県名古屋市中村区椿町6-9 エスカ地下街 052-459-3711 |
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おひさま薬局 尾張旭店
488-0046 愛知県尾張旭市南栄町旭ヶ丘64番地9 0561-52-0180 |
|
デイサービスそれいゆ
489-0819 愛知県瀬戸市西本町2-8(おわり瀬戸ひびの内科クリニック3階) 0561-82-7766 |
|
有松デイサービスセンター
458-0824 愛知県名古屋市緑区鳴海町有松裏200番地 ウインハート有松住宅棟2階 052-625-6311 |
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居宅介護支援事業所 有松ケアマネセンター
458-0824 愛知県名古屋市緑区鳴海町有松裏200番地 ウインハート有松住宅棟2階 052-627-6680 |
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本社住所 |
459-8016 愛知県名古屋市緑区南大高三丁目1306番地 |
事業内容 | ・薬局事業 ・介護事業 ・製薬事業…健康補助食品の製造・販売 |
URL |
https://pharma-star.jp/
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会社沿革
2008年 | 株式会社 ファーマスター設立 |
2011年 | 今池すみれ薬局を開業 徳重ひかり薬局を開業 |
2013年 | めい調剤薬局の事業承継 知多薬局を開業 |
2015年 | 南大高薬局を開業 居宅介護支援事業所 すみれケアプランセンター開業 通所介護 デイサービスそれいゆ開業 |
2017年 | 今池すみれ薬局を事業譲渡 |
2018年 | 金山すみれ薬局を開業 木場りんご薬局を開業 金山さくら薬局を開業 |
2019年 | おひさま薬局サンシャインサカエ店を開業 |
2020年 | 有松デイサービスセンター開業 ひまわり調剤薬局を事業継承 |
2021年 | 居宅介護支援事業所 有松ケアマネセンター開業 |
2022年 | おひさま薬局名古屋駅エスカ店を開業 |
株式会社ファーマスターの経営資源引継ぎ募集情報
関連リンク
公開日:2023/03/28 (2024/08/31修正)
※本記事の内容および所属名称は2024年8月現在のものです。現在の情報とは異なる場合があります。