ー今回の事業譲受に至ったきっかけを教えてください
お相手企業からご相談をいただいたことがきっかけです。当時の(有)西田運輸は初代社長(以下、故西田氏)が病死され奥様が社長に就任し経営をされている状態でした。ただ奥様は運送会社経営の経験やノウハウがなくお困りの様子でしたね。ずっと財務内容も良く安定経営をされていたので、このまま奥様が社長として牽引していくことで今後の事業経営にご不安だったようです。そこで今のうちに継いでもらえないかと相談をいただきました。
ー相談を受けられたときの率直なお気持ちをお聞かせください
聞いた時の気持ちとしては、心の片隅に想定していたとはいえ、やはりと思ったのが正直なところです。
(有)西田運輸は設立以降、弊社の運送事業の一翼を担ってきた会社です。故西田氏は元々弊社の社員で、当時の弊社社長と取締役とで話し合い出来たのが(有)西田運輸です。なので約40年の付き合いですね。この40年は弊社との関係性も良く、ここまで一緒にやってきました。ただ、以前から具体的に後継ぎや承継について相談いただいていたわけではありませんでしたし、どうやらご家族にもそのあたりについては明言されていないようでした。おそらくもっとご自身で続けたいお気持ちがあったのかもしれません。
ー相談からクロージングまではスムーズにいきましたか
特に問題なくいきました。こちらとしては引継ぎのご相談自体が突発的なことでしたが、これまで一緒に歩んできた40年でコミュニケーションがしっかりとれていましたので、これといって弊害になるものはありませんでした。ただ、先方の従業員の方たちは初代社長が病死されたときに本事例のようになるかもと頭によぎる人もいたと思います。ベテラン社員の方もいらっしゃいましたので、いくらこちらが間口を大きく広げていても新しい環境に飛び込むことが難しいとご判断される方がいらっしゃるだろうなとは思っていました。
ー今回の事例は案件としてよりも日頃の取引先との関係構築の側面が現れていると思いますがいかがでしょうか
そうですね。確かに弊社と(有)西田運輸は会社としては上下の関係です。ただ、弊社の取引先への考え方的には"そっちは下なんだから"みたいな考えはありません。あくまでチームです。同じ業界、同じ地域で商売をさせてもらっている以上、仲間なんですよね。この40年絶えずコミュニケーションを取ってきましたし、困ったことがあっても利他の心でここまできました。心情的には上下ではなく寄り添っているイメージですね。
ー双方の従業員の反応はいかがでしたか
いい意味で変わっていません。元々チームだったところからより強固なチームになった感じですね。40年のコミュニケーションはトップ同士だけではなく会社同士がしてきていたのだと実感しました。それが目に見える形ではありませんが、従業員同士に自然と浸透していて"では今日から一緒に仕事しますね"となった成約後もとてもナチュラルで、すでに前を向いている状態でした。成約して数年経ちますが問題といえるようなものはありませんね。
ー本事例から思うことはありますか
後継者不足や経営者の高齢化、今回のように社内で後継者について準備がされていない状態で経営者が亡くなってしまうケースなど私たちが事業を存続していく中で想定しておかなければならない事柄は山のようにあります。今回の事例についてはまさに外注先との日頃の関係性が重要になった事例です。弊社がツグナラ企業として皆様に認めてもらっている以上、常日頃自社の理念や思想、ステークホルダーや地域への想いなど確固たるものを追及する必要があると思います。"ただ儲ければいい、自社だけ成長すればいい"というような独りよがりな考えでは、この先誰からも愛されない会社になってしまいます。
外注先から気軽に相談をされる会社であり続けたいと思っています。
改めて、40年切磋琢磨一緒に業界を盛り上げようと頑張ってきた元(有)西田運輸のみなさま、そして故西田氏、奥様、ご家族様、あの日引継ぎについて相談していただきありがとうございました。事業譲受先にお選びいただきましたことに感謝しております。皆様の想いを大切に、より強固なチームで邁進してまいります。
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