成長意欲ある中小企業を後押しする国の施策として、「100億宣言」と連動する「中小企業成長加速化補助金」が創設されました。対象となる投資額は1億円以上、補助率は2分の1、補助上限額は5億円という、かつてないほど大規模な補助金であり、設備投資や生産性向上を目指す企業からの注目が集まっています。
成長意欲ある中小企業を後押しする国の施策として、「100億宣言」と連動する「中小企業成長加速化補助金」が創設されました。対象となる投資額は1億円以上、補助率は2分の1、補助上限額は5億円という、かつてないほど大規模な補助金であり、設備投資や生産性向上を目指す企業からの注目が集まっています。
「中小企業成長加速化補助金」は、「100億宣言」に参画する中小企業を対象とした補助金制度です。
売上高100億円の目標に向けた、設備投資やDX、生産性向上への投資や取り組みが支援の対象となっており、1社あたり最大5億円の補助(補助率2分の1)が受けられます。
高い成長志向をもつ中小企業の大胆な設備投資を国として補助することで、生産力向上を後押しし、仕入れや調達による域内の生産活動の活性化や、さらなる賃上げ、そして地域経済への好影響を生み出す狙いとなっています。
「100億宣言」の詳しい解説は前回のコラムをご覧ください
➡ 中小企業の飛躍的成長を後押しする「100億宣言」とは
会社としての成長志向を明確に示す施策が「100億宣言」であり、その成長を設備投資の面から支援するのが「中小企業成長加速化補助金」です。
中小企業成長加速化補助金の1次公募は2025年6月に受付を終了し、9月に採択結果が発表されています。
中小企業基盤整備機構による公募要領には、「原則、令和8年度末までに3回程度行い、全体で600者程度の事業者等に対して補助金を交付する事務を行う」
とあり、2027年3月末までにあと2回の公募が行われる見通しです。
中小企業成長加速化補助金のテーマは「100億企業への成長」です。
「100億宣言」と連動し、売上高100億円を目指す中小企業の成長を後押しするために、補助対象となる経費の範囲が広く設定されており、工場や物流拠点の新設・増築にかかる建築費なども対象となるのが今回の補助金の最大の特徴です。
補助対象となる投資額は1億円以上、補助上限額は最大5億円にものぼり、戦略的かつ柔軟な投資が可能となります。
中小企業成長加速化補助金の概要は以下の通りです。
「中小企業成長加速化補助金」に申請できるのは、売上高が10億円以上100億円未満の「100億宣言」を行った中小企業です。
ここで言う「中小企業」は、中小企業基本法に基づく中小企業者または法人税法に基づく中小法人を指します。
また、1次公募で交付決定を受けた事業者は、2次以降の公募では採択を受けられません。
補助対象となる経費は、建物、機械装置、ソフトウェア、外注費、専門家経費であり、事業拡大につながる事業資産への相応規模の投資を含みます。具体例は以下の通りです。
※ 注意 ※
中小企業成長加速化補助金で注目すべきは、申請要件です。順に詳細を見ていきましょう。
要件①:補助対象経費のうち投資額が1億円以上(税抜)であること
先述の通り、補助率は2分の1、最大補助額は5億円のため、投資額が1億円の場合の補助額は5千万円、10億円以上の投資は5億円の補助となります。
工場新設や拠点増設、自動化などの大規模な設備投資を検討している事業者様には、心強い 後押しとなるはずです。
要件②:100億宣言がサイトに公表されていること
中小企業成長加速化補助金は、「100億宣言」との連動施策です。
「100億宣言」にて売上高100億円に向けた具体的な目標と取り組みを掲げ、実現可能性が認められれば、採択の可能性も高まります。
なお、1次公募の要領には「補助金の公募の申請時と同時に100億宣言の申請を行うことは可能」とありますが、次回以降は宣言を行っていることが要件となりますのでご注意ください。
「100億宣言」の詳細については、前回のコラムをご覧ください。
要件③:一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画を策定すること
そして成長加速化補助金の最大のポイントが、賃上げと事業計画の策定です。
補助事業が完了した年を基準年として、完了後3年間の「給与支給総額」または「従業員等1人あたりの給与支給総額」の年平均上昇率(基準率)を、事業を実施した都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上にすることが、要件の一つとして挙げられています。
賃上げの計算式は、以下の通りです。
年平均上昇率目標 ={(A/B)^1/3}-1 ≧ 基準率
A:最終年度の「給与支給総額」または「1人あたり給与支給総額」
B:基準年度の「給与支給総額」または「1人あたり給与支給総額」
また、以下の年平均成長率の表は、省力化投資補助金のサイトで公開されている最新の年成長率データです。参考としてご覧ください。
※ 注意 ※
最低賃金は、近年の賃上げの動向により年々上昇を続けているので、所在する自治体の最低賃金 のこまめなチェックが必要となります。
また、賃上げ要件を満たせない場合は、天災などのやむを得ない事情を除き、未達成率に応じて 補助金を返還することとなります。その点も注意が必要です。
中小企業成長加速化補助金は、書面とプレゼンテーションの二段階の審査があることも大きな特徴です。プレゼンテーション審査は、書面審査の通過後に設けられており、社長や会長などの代表権をもつ経営者が、プロジェクトや戦略を説明することになっています。
審査の評価基準は、経営力、波及効果、実現可能性の3項目とされており、書面・プレゼンテーション審査ともに以下の内容が重視されます。
この3項目を「100億企業への成長」のテーマと照らし合わせると、数字目標と同等かそれ以上に、
のような「成長や目標にどのようにアプローチするか」が重視されていることがわかります。
各企業の独自性を活かした実現可能性のある事業計画を、戦略と熱意をもって明確に伝えられるかどうかが、採択の決め手となります。
中小企業成長加速化補助金は、事業者単独のほか、共同(コンソーシアム)申請も可能となっています。共同申請を行う場合は、以下の注意が必要です。
①資本関係にない企業間として共同申請
②企業グループ全体として共同申請
③企業グループ一部として共同申請
④経費取得においてリース会社を利用
共同申請の場合は、単独企業よりも取引先や雇用の規模・範囲が広くなることから、域内に与えるインパクトもより大きくなるものと捉えられます。
一次公募の応募要領には「連携・構成の意義(当該企業グループの一部 でコンソーシアムを組むことが適切である理由)、目的、相乗効果など審査をさせていただく」との一文があるため、シナジー創出を前提とした共同事業の実現可能性を追求していく必要があります。
GビズIDの事前取得
申請にあたっては、GビズIDの事前取得が必須となります。
GビズIDの取得には2週間程度かかる場合があるため、申請時に慌てないよう、余裕をもって取得しておきましょう。
1次公募には、6月9日の締切日までに1,270件もの有効申請が寄せられ、9月には207件の採択が決まりました。
採択倍率は約6.1倍であり、2次公募はさらに多くの申請が寄せられることが予想されます。
2次公募の日程はまだ公開されていませんが、GビズIDプライムアカウントの取得や「100億宣言」の申請などの事前準備、社内や専門家によるダブルチェックを欠かさず行っておくことが、確実に申請するための秘訣です。
「100億宣言」の詳しい解説はこちら➡中小企業の飛躍的成長を後押しする「100億宣言」とは
人と経営が見える!ツグナラ企業記事はこちら➡https://tgnr.jp/
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