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【前編】中小企業のDX推進<br>〜2025年の崖とは?DX推進の基本と国内外の代表事例〜
2022.06.14 | IT活用・DX

【前編】中小企業のDX推進
〜2025年の崖とは?DX推進の基本と国内外の代表事例〜

デジタル化の波が押し寄せ、DX推進が求められる現代社会。中小企業こそ求められるデジタルトランスフォーメーションをどのように推進すべきか、具体的な国内外の事例を用いて前編と後編に分けて解説していきます。

デジタル化の波が押し寄せ、DX推進が求められる現代社会。中小企業こそ求められるデジタルトランスフォーメーションをどのように推進すべきか、具体的な国内外の事例を用いて前編と後編に分けて解説していきます。

日本企業に求められるDX化とは

2025年の崖とは

2018年経済産業省が「DXレポート」を通じて日本の企業に警鐘を鳴らしました。その内容は「日本企業がDX化を推進しなければ、2025年以降の5年間で、最大で年間12兆円の経済損失が生じる」といったものでした。

経済産業省によると、2025年には現在多くの日本企業が抱えている諸問題が顕在化し、国際競争力を失い大きな経済的損失になると予測しているのです。この日本企業に突きつけられた課題に対し、解決の糸口となるのがDX化というわけです。このことが「2025年の崖」と呼称されています。

「2025年の崖」には次のような問題が提示されています。

1.既存のITシステムのレガシー化
…レガシー化とは古い技術や仕組みで構築され、中身が見えづらくなっている状態です。

2.レガシーシステムを維持するエンジニアが足りない(DX人材の不足)
…既存のシステムの構造を理解し、動かせる人材がどの業界でも不足しています。

3.レガシーシステムの保守コスト増
…システム構築の当事者がいなくなっていることで管理に時間、経済的コストが発生します。

4.新しい技術への拒否反応(対応できない)
…クラウドなどの新しいシステムに対応していないため、導入が遅れて行きます。

5.アプリケーションのサポート切れ
…メーカーサポートが終了しているため、修理や管理が困難になります。

特に中小企業に大きな影響を与える壁として立ちはだかるこの問題は各企業がDXを推進し、レガシーシステムを見直し業務効率化を実現、そして新しいビジネスモデルを創出することで解決が出来るのです。

本コラムから前後編に分けて企業のシステム化について準備、対策、全体的な取り組みなどを解説していきます。

DXとは

DX(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション)とは、進化したIT技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革させるという概念のことです。2004年頃にスウェーデンで提唱されたことを皮切りに、2018年頃から日本でもメディアなどで取り上げられるようになりました。この頃から業務の改善・効率化が社会で注目されるようになり、組織や企業文化、制度が見直され、DX化への改革が進められるようになりました。コロナ禍によりその取り組みは一層強化されつつあります。例えば、自宅で業務を行うテレワークがその一例です。

しかし、ただデジタル化するだけでは意味がありません。DX化により業務の効率化につながり、社員一人一人の能力をより引き出し、今まで以上に組織として成長することが重要です。

<DX化がもたらした業務効率化の事例>

・手段…使える端末の増加、電子印鑑、クラウドの活用
・組織内…テレワーク、情報管理、働く時間、副業など企業風土

ありとあらゆる仕組みを効率化し、デジタルツールを活用し続けることで業務改善が進みます。効率化だけではなくその取り組みが定着していくことが必要なのです。

DX化により大成した企業の事例をご紹介します。

ワンストップで全データをデジタル化:Amazonの事例

・Amazon(アマゾン)

Amazonは米国発の言わずと知れたモール型ECサイトです。皆さんも一度は利用したことがあるのではないでしょうか。

実は、Amazonは世界で最もDXに成功したと言われています。創設当初からオンラインでの販売という路線を確立させ、「デジタルを使ってビジネスモデルに変革を起こすこと」に注力していたためです。Amazonはインターネットで買い物をすることがまだ当たり前ではなかった時代から、「最高の顧客体験」を生み出すことで利用者を獲得し、得た購入履歴や閲覧履歴などのビックデータを元にデジタルツールを活用していました。具体的な例として、ワンクリックで即時購入できるボタンや、AIによるおすすめ商品の表示など購買意欲をそそる工夫がなされています。これらの工夫をいち早く生み出したことで、オンラインショッピングでも、まるで実際に接客されているかのような買い物をすることができます。このように、ワンストップで全てのデータをデジタル化し、活用できているところが強みです。

以上のAmazonの事例は、創造的、革新的であるといった特徴が見られます。したがって、ITの浸透と生活の面共により良い方向に進化させていることが分かります。

「サブスク」の先駆け:KINTO(キントー)の事例

・KINTO(キント)

KINTOはトヨタ・レクサスの車をレンタルするサブスクリプションサービスです。テレビCMが有名なため、聞いたことがあるという方も多いかも知れません。

このサブスクリプションサービスとは、月額課金・定額制で契約するサービスを指します。「サブスク」と略されることも多く、ものを買うのではなく、必要な時に借りて利用するのが特徴です。KINTOはこのサブスクリプションの仕組みを車に応用しており、毎月定額を払うことでトヨタ車は3~7年間、レクサス車は3年間利用できます。支払う額の中には車両代やメンテナンス費、車検費用まで含まれるため、少子高齢化や若者の車離れが進む中でも、車を買うハードルを下げ、「サブスク」を広める一因となった革新的なサービスです。ディーラーへ行かなくても車を手に入れられる気軽さから、コロナ禍においてもニーズが高まりました。よって、車の説明や試乗、契約書類の確認を経たアナログな販売方法から、いつでもどこでもWebで契約が完結するというデジタル化に特化した販売方法を提案し、DXを活用して時代に合わせて新たな客層を取り込むことに成功しています。まだ馴染みの薄いサービスですが、浸透していくことで利用者だけでなく自動車開発にも良い刺激を与えることが期待されます。

KINTOの例は、顧客や社会ニーズに合致した製品やサービスのビジネスモデルになっています。DXを模した事業でも、各サービスによって大きな違いがあると分かりました。

次回はDX推進のために企業が取り組むべき内容、便利なツールについてご紹介いたします。

新井 祐介
Writer 新井 祐介
新井 祐介
Writer 新井 祐介
取締役 IT戦略責任者
ITコーディネーター
1978年栃木県真岡市生まれ。真岡高等学校を経て宇都宮大学教育学部卒業後株式会社栃木銀行に入行。
2年間の勤務ののち退職、地元にてweb制作会社の立ち上げに参画。デザイナーとして4年間在籍し、webディレクション・DTPオペレーションを中心に経験を積み、2006年独立。
栃木県内を中心として100件以上のwebサイト制作のディレクション及び実務に関わる。
2014年4月より株式会社サクシードに転籍。

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