帝国データバンクの調査において「向こう一年以内に日本の中小企業約140万社のうち約31万社の中小企業が廃業する危機に瀕している」(2019年)とのショッキングな結果が発表されました。中小企業白書等においても、このまま中小企業の廃業が続くと雇用にして650万人、GDPにすると22兆円が消える可能性があると言われ続けています。廃業予備軍といわれる企業においても黒字または、取引先からの要請で経営を継続している企業も多く、1年以内に廃業がレポートの通りに増えることはないでしょう。しかし、新型コロナは中小企業の廃業が進んでいます。
帝国データバンクの調査において「向こう一年以内に日本の中小企業約140万社のうち約31万社の中小企業が廃業する危機に瀕している」(2019年)とのショッキングな結果が発表されました。中小企業白書等においても、このまま中小企業の廃業が続くと雇用にして650万人、GDPにすると22兆円が消える可能性があると言われ続けています。廃業予備軍といわれる企業においても黒字または、取引先からの要請で経営を継続している企業も多く、1年以内に廃業がレポートの通りに増えることはないでしょう。しかし、新型コロナは中小企業の廃業が進んでいます。
これらの課題を解決する方法の一つの柱がM&Aを含む第3者承継による地域企業の活性化です。2020年、中小企業においては引き継ぐ側も、受け継ぐ側双方ともM&Aにどう携わるかが企業経営における大きな潮流になってきます。
2021年は地域において「事業承継・M&A」が喫緊の課題としてどの業界でも取り上げられます。地域企業同士で行われるM&Aは雇用の維持、技術や経験の承継から社会的価値が高く評価されます。そのためM&Aに対する取り組みは企業イメージを向上させる大きな要因にもなってきます。一昔前では、ネガティブなイメージにとらえられたM&Aが今では地域においてとても価値が高い企業活動になっているのです。
しかし、業界では一般的に1社譲渡を希望する企業に対して9社の譲受を希望する企業が名乗りを上げています。常日頃から事業戦略の中で意識しておかないと、相談された案件に迅速に対応できません。そのため弊社のお客様には日ごろから経営計画や方針書の中にM&Aに対する取り組み指針を明示していただくことを推奨しています。M&Aのチャンスは一瞬で目の前を過ぎ去ります。日ごろから業界や事業領域として展開を考えている分野の企業情報に対しアンテナを高くしておくことがポイントです。
日本、特に地域は本格的な人口減少局面にはいりました。今後、人口減少が日常の経済や雇用に大きな影響を与えてきます。しかし、企業経営者としてはこの環境変化をネガティブにとらえるのではなく、チャンスにとらえることが何よりも重要です。これまで本質的に良い経営を行っている会社にとってはチャンスでしかありません。
さらに言うなれば30代~40代の後継経営者にとっては大きなチャンスです。関連する事業をM&Aで引き継ぐことにより本来、事業拡大に資する時間をかけずに自社のリソースとして確立することが可能になります。先日M&Aで外注先の事業を引き継いだ経営者は「本来20年かけないと構築できない技術やノウハウが短期間で得ることができた」とおっしゃっていました。その会社は引き継いだ事業を新規事業として自社の成長事業に位置付け価値向上を図っています。
地域におけるM&Aはどちらかがどちらかを資本の論理で支配するという旧来のイメージとは大きく変わってきています。相手の企業を地域の大切な資源と捉え新たな価値を共に創造できる友好的かつ思いを重視したM&Aが地域企業には合っています。したがって、2020年地域企業の成長戦略は「連携」や「共創」がキーワードになってきます。そのようなM&Aが可能な企業は業種を問わず成長する機会に恵まれることと思います。
かつては、中小企業の事業承継といえば親族内承継がほとんどでした。そのため、事業承継の対策も親族内に承継する前提でとらえられていたため、相続や税制に関する対策がほとんどでした。しかし、ここ5年未満の承継を見てみると65%以上が親族以外の「役員・従業員」「社外の第三者」への承継と大きく変わってきています。特に増えているのが「社外の第三者」であり、この項目には当然M&Aも含まれます。今後、経営者保証ガイドラインに沿った運用がさらに進んでいくことで第三者により承継しやすくなります。その結果M&Aも加速度的に増えていくことが予想されます。
「経営者の在任期間別の現経営者と先代経営者との関係」
「出典:中小企業庁 事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会」
また第三者による承継を政策的に後押しするために昨年末に経済産業省により「第三者承継支援総合パッケージ」が策定されました。官民挙げての事業承継支援がこの中には盛り込まれています。まさに中小企業支援における総力戦といった様相を呈していますので是非ご一読いただければと思います。
※2019年12月20日に経済産業省は、後継者不在の中小企業に対して、第三者による事業承継を総合的に支援するため、「第三者承継支援総合パッケージ」を策定しました。
この連載でも以前に「魅力的ではなき事業はだれも引き継ぎたいとは思わない」と述べました。企業経営はいかに第三者に魅力的な会社にしていくかが重要な取り組みになってきます。これは人材の確保や生産性向上にもつながる論点です。
地域においては自社の周辺事業のデジタル化を図って新たな価値を創造するような事業や取り組みを前提としたM&Aは今後増えてきます。例えば売上1億円、利益はトントンの事業を引き継いで、ITを活用したモデルに事業モデルを転換する、またはデジタルツールを活用し生産性の高い事業に作り替えていくようなM&Aです。
しかし、これまでその業界だけでやってきた経営者や経営幹部のみでデジタル化への対応やビジネスモデルを転換していくことは難しいのが現状です。そこで出番となるのがそれぞれの業界でデジタル化に精通した後継経営者を中心とした若い経営人財です。
現在弊社においても後継者のいない小さな会社の事業引き継ぎの相談が相次いでいます。そのような会社を地域内の若い経営者が引継ぎ、新しい事業に転換、価値を向上させることで地域活性化につながっていきます。
以上のように2020年は中小企業を取り巻くキーワードはまさに「M&A」です。皆様新年の年初方針の一つのテーマとして社内で議論していただければ幸いです。
この著者によるコラム
ほかのコンサルタントコラム
© Copyright 2024 TGNR Kanagawa All rights reserved. "ツグナラ" and logomark / logotype is registered trademark.