ツグナラ
ポストコロナの事業承継
2021.07.11 | 事業承継

ポストコロナの事業承継

新型コロナの影響が長引く環境下、中小企業は政府の緊急融資制度などにより当面の資金確保で多くの企業は継続できています。しかし、その後の事業運営をどのように行えばよいのか、まだまだ見通しが立たない状況です。ただいつの時代も外部環境が危機的な状況下においては共通の法則があります。緊急事態宣言が何度も発令される中永遠にこの状況が続いてしまう感覚に陥ってしまいがちですがいつかはこの状況も終わりを告げます。今回はこの状況が落ちついた後の時期を見据えアフター新型コロナをテーマに述べていきます。

新型コロナの影響が長引く環境下、中小企業は政府の緊急融資制度などにより当面の資金確保で多くの企業は継続できています。しかし、その後の事業運営をどのように行えばよいのか、まだまだ見通しが立たない状況です。ただいつの時代も外部環境が危機的な状況下においては共通の法則があります。緊急事態宣言が何度も発令される中永遠にこの状況が続いてしまう感覚に陥ってしまいがちですがいつかはこの状況も終わりを告げます。今回はこの状況が落ちついた後の時期を見据えアフター新型コロナをテーマに述べていきます。

対応できない企業は退出せざるを得ない

今回の新型コロナの影響で近々に廃業してしまう企業は、新型コロナの影響がなくとも今後10年間で廃業することになる企業です。廃業予備軍とも言える企業の淘汰が一気に短期間で進むことになるでしょう。ここまでは折り込めますが、この状況が長く続くと本来残るべき企業も一緒に淘汰が進んでしまう可能性があります。多くの企業において外注先、取引先の廃業により業務に支障がでるようになってきます。そのためにも、企業は当面の資金確保ができた段階でアフター新型コロナ後の事業構想を練る必要があるでしょう。その取組として挙げられるのが外注先など取引企業のM&Aです。外注先から「来月で事業所を閉めることになりました」との相談が来た際、自社の展開において必要な領域であれば迅速に「社員と取引先を引き継ぎます」と言えるような判断ができるように準備をしておくことが必要です。

既存のビジネスモデルは多くが崩壊する

しかしながら、アフター新型コロナの世界ではこれまでの事業のやり方は大きく変わってきます。今回の騒動で大きく我々の生活を変える出来事は「人との接触を必要としない生活」です。この新型コロナの影響下でニーズが増えているものはEC、宅配、キャッシュレス、オンライン教育などリアルな接触をしなくてもよいサービスです。この状況はアフターコロナ後も続きます。既存のサプライチェーンや商流は大きく変わらざるを得ないでしょう。この影響下でデジタル化を果たした企業はこれまでの企業にとって代わるようになるでしょう。建設業、製造業、卸売業、小売業など業種を問わず旧態依然としたビジネスモデルに固執する会社はことごとく危機に見舞われていくでしょう。

デジタル化を加速させる

新型コロナが収束してもコロナ以前の経済環境が戻るのかというとそれは決して戻ることはないと言えるでしょう。その理由がDX(デジタルトランスフォーメーション)です。アフターコロナ事業のやり方は大きく変わります。半強制的に一気に広がったテレワーク、Eコマースなどの流れはさらに加速することになるでしょう。これまでの概念を破壊して新しい秩序が形成されていきます。働き方についてもさらに副業やフリーランスなどが増加して組織というよりチームで価値を創造していく時代になっていきます。どの会社も自社を見つめなおしデジタル対応を図って行かないと明日はありません。弊社においても2月の末から15名の社員でテレワークを一気に導入いたしましたが、生産性も下がらず、何の問題もなく、むしろ学校や幼稚園が休止されるなか全社員が勤務を継続できました。

経営者、経営幹部の若返りが必須

デジタル化を果たしながら新しい事業モデルに転換していくためには、経営者、経営幹部の若返りがポイントです。後継者、経営幹部がいる会社は今回の新型コロナの影響を機に一気に若返りを図ることをお勧めいたします。世の中はこれまでにない変化の時代を迎えます。若い社員がいない会社はこの流れについていけない状況になります。ドラスティックに若手を登用し、彼ら、彼女たちに会社の将来を託すようなプロジェクトを任せてみることが重要です。いつの時代も歴史を見れば若者が未来を切り開いてきました。

原理原則に則りポストコロナを描く

最後にこのような時ほど原理原則に沿ってテクニカル論に流されないことが重要です。どちらにせよ今回新型コロナによって迫られる変化は、中長期的には日本のすべての企業が対応しなければいけない課題を突き付けてくれています。このような急激な変化の時ほど、長期を図り理念や社員第一主義を掲げて判断をしていくことが経営者には求められます。結論からすればデジタル化、M&Aその体制を整備するための社内システムの構築や人材育成がこの1年間にどの企業においても最も力を入れる必要のある取組です。これらの取組を行いながらポストコロナを描くことが今後20年の事業の基盤を作る大きなチャンスになるのです。

「朝が来ない夜はない」の言葉どおり、半年から1年以内に必ずこの状況も新たな形になるにせよ落ち着きを見せるでしょう。企業経営者にとってはその時が反転攻勢の時です。その際に事業モデルや働き方を万全にして次の商機をつかんでいくことが経営者には何より求められます。後世の人々があの時が転換点だったという時期に我々は生きて、企業活動をおこなっているという自覚を持ち前向きに進んでいきましょう。

水沼 啓幸
Writer 水沼 啓幸
水沼 啓幸
Writer 水沼 啓幸 ()
代表取締役 
中小企業診断士  MBA(経営学修士)  JMAA認定M&Aアドバイザー
2000年3月に高崎経済大学経済学部経営学科を卒業し、同年4月株式会社栃木銀行へ入行。主に、融資、法人営業を経験し、事業承継、中小企業金融に精通している。また、大学院では中小企業において今後問題化すると予想される『後継者の育成方法の研究やその支援の在り方』について深く研究する。2010年4月に財務・金融、事業承継支援を専門とするコンサルティング会社 株式会社 サクシードを設立し代表取締役に就任。2014年より日本で一番の経営人財の養成機関を目指して「とちぎ経営人財塾」を開講、次世代経営者の育成をテーマに活動し、年間80社以上の経営計画策定支援業務を行っている。2020年1月より地域の成長意欲の高い企業を地域資源としての中小企業の引き継ぎ手として登録、PRする地域特化型M&Aプラットフォームサービス「ツグナラ」をローンチ、事業承継をテーマに地域課題の解決を図るべく活動を行っている。
現在、作新学院大学 客員教授、人を大切にする経営学会 事務局次長として全国のいい会社を訪問し次世代の企業経営の在り方について研究活動を行っている。
著書に「地域一番コンサルタントになる方法」出版(同文館出版)、「キャリアを活かす!地域一番コンサルタントの成長戦略」(同文館出版)「後継者の仕事」(PHP研究所)「さらば価格競争」(商業界)共著、「日本のいい会社」地域に生きる会社力(ミネルヴァ書房)共著、「いい経営理念が会社を変える」(ラグーナ出版)「ニッポン子育てしやすい会社~人を大切にする会社は社員の子どもの数が多い~(商業界)共著、「実践ポストコロナを生き抜く術!強い会社の人を大切にする経営」(PHP研究所) 、「事業承継 買い手も売り手もうまくいくリアルノウハウ」(ビジネス社)共著、その他帝国ニュース(帝国データバンク)近代セールス(近代セールス社)等連載執筆多数。

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